不動産トピックス
クローズアップ カビ対策編
2007.05.28 10:09
ビルの衛生環境を保つためにも、今の時期からのカビ対策は非常に大切である。特に、築年数が経ったビルの日陰部分や地下室、水周りの区画などは、表面のカビを取り除いても再び生えてきてしまい、費用と労力を裂かなければならない。今回はカビを防止し、清潔さを保つための製品を紹介する。
出光テクノファイン 繊維にも使用できる安全性の高さが特徴 独自粒子の働きで防カビ防菌を実現
出光テクノファイン(東京都墨田区)が開発・製造し、同グループのカナセキユニオンなど3社の特約店が販売する「コーキンマスター」は、粒子の名称であるとともに、それを使用した製品の名前である。
平成17年7月7日に発表されて以来、病院や老人ホーム、大規模高層ビルの清掃などに利用されている。
院内感染を防ぐため、無機・有機の両方を調合する形で開発。また、ハロゲンフリーでダイオキシンが発生しないため、身体に与える影響を最小限にとどめる。現在特許出願中である。
使用される粒子は身体に安全で、下着や学童用の上履きにも採用され、現在、繊維評価技術協議会で認定済みだ。
耐性菌問題が取りざたされているが、細菌は複数の薬剤に対して耐性が低い。その点に着目して、複数の薬剤を調合、耐性菌が発達しにくい製品を開発した。
「単体の薬剤に対しての耐性は持たせやすいのですが、複数の薬剤に耐性をもたせるのは難しいのです。また、有機物と無機物の両方の成分を併せることで、カビ・細菌・藻類への有効数が376という結果になりました。当社の製品は、カビや細菌を殺すものではありません。根が生やせないようにすることで、寿命によって自然死し、増殖を防ぐといった性質のものです」(岩井氏)
カビの寿命は長くて2週間程度。シャンプーでの実験では、0・03%に希釈した溶液で清掃した場合6ヵ月発生しないという結果を得ている。
TOTOオキツモコーティングス ナノレベルの分子構造で生殖能力抑制 細かな色の注文にも対応 光触媒で清浄な空間提案
TOTOグループのTOTOオキツモコーティングス(東京都新宿区)が開発、製造する「ハイドロテクトカラーコート」は光触媒コーティング材である。
銀と銅を使用しナノレベルの光触媒に付着させ、自然に表面に粒子が浮き出るように開発した。光触媒は露出することで機能を発揮するが、コーティング材に埋もれてしまう例があった。
この製品では、その点を露出しやすい粒子を使用することで克服した。
また、特に汚れやすい陸屋根の端面や塀の垂直面、窓開口部周辺でも防汚性を発揮するのが特徴。塗膜の表面の光触媒を活性化しカビや藻類の繁殖能力を抑制する。
加えて、紫外線をガードし対候性を上げることで劣化を抑え、対カビの効果の持続力を上げた。
「『ハイドロテクト』は、塗膜表面が水になじみやすい親水性を持っているのでお手入れが簡単です。また、防カビ性能については、シャーレの中に塗装したかけらを置いたままでカビを培養すると、カビが塗装片を避けて育ち、ドーナツのような模様を形成するといった実験結果が出ました」(久我氏)
商品のラインナップには、外装用のEXタイプと内装用のECO2000がある。外装用の色は360色から選ぶことができ、幅広い用途に対応した。
内装用は基本16色で、混ぜ合わせることで100色程度を用意。特殊色のニーズには、問い合わせ後2・3日程度で確認できるとのこと。
クリーンアート 防カビ・安全性・効果持続性3拍子そろった防カビ施工 界面活性剤不使用で安全性を提供
クリーンアート(千葉県柏市)が製造、販売、施工まで手がける「MD123」は、防カビ・安全性・効果持続性を重要視して開発された防カビ剤である。
軽井沢の別荘を一棟まるごと使った実験施設では、1部屋あたりの空気中に、1万以上のカビが浮遊する。その環境下でも「MD123」を塗った場所は、7年以上経過してもカビが生えていないことを確認した。通常色は白濁で塗布後透明になり、塗装後下地の色味を邪魔しない。
200種類以上のカビ・藻・菌に効果があり、また界面活性剤を使用しないことで安全性にも配慮した。
「施工する際の手間を省くために界面活性剤を使えば、分離もせず楽になりますが、安全性の確保のため不使用にこだわりました」(小川氏)
同社が施工を依頼された中には、建物オーナーのカビの危険性に対する認識不足を感じさせるケースもあったという。
「カビが育ちすぎてエノキのような長さになっているところもありました。日本ではカビが生えるのが当たり前だと考えている方もいますが、実際にカビで過敏性肺炎やアレルギーなどを引き起こすこともあるので、放置せず対策を取ることが大事です」(小川氏)
同社では、「購入者に安心を提供すること」を大切にして、日曜日でも使い方などの問い合わせに対応している。また、素材自体が無色のため、ペンキに混ぜて使用することができ、「MD123」を混入して返送する細かなサービスも行う。
菊水科学工業 下地から徹底した結露防止で梅雨も安心 珪藻土を用いた自然素材調湿効果で過ごしやすく
「ケツロナイン」は、菊水科学工業(愛知県名古屋市)が開発した結露防止塗材である。塗厚1mmで1㎡あたり600gの結露水を吸収し、強い塗膜性能を特徴とする。計算上では、一般的住宅の6畳の部屋で11㎏分の結露水を吸収することになる。
珪藻土は化石となったケイソウが土になったもので、表面にはミクロンレベルの無数の空洞がある。その1つ1つが水をためる器の役割をし、吸湿、有害物質の分解をする。日本古来の土壁をイメージした。
また、珪藻土だけを使用するのでなく、特許取得の科学的吸着物質を配合している。
配合された吸着物質によって調湿性があるため、湿度の高い時には吸収し、低い時には放湿するなどといった、一見相反する効果を持っており、カビの原因となる結露から躯体を守る。科学技術庁長官奨励賞も受賞しており、各方面からの評価も高い。
平吹き状模様、小凹凸状模様、スチップル状模様と3種類の模様で肌触りも楽しめる。また、土壁をリアルに再現した「ケツロナインじゅらくシリーズ」は、土壁そのままの肌触りで、吹付け式の施工だ。現在は土壁の性質から、主に地下室や水まわりの壁や天井に用いられることが多い。
また、「ケツロナイン」は表面用の塗装材であるため、下塗材が必要である。下塗材には、「カビフージ」が適応する。「カビフージ」は名の通りカビを防止する下地で、モルタルやコンクリートに対応するAタイプと、石膏ボードやしっくい、ビニールクロスに対応するBタイプがある。
結露防止仕上げ工法と防藻・防カビ仕上げ工法が選択可能で、用途と予算に合わせてカスタマイズが可能だ。