不動産トピックス

【今週号の最終面特集】成長ベンチャー入居へ AMのリーシング戦略

2022.07.04 10:57

テナントコスト4割カットで入居を後押し
赤坂にオープンの「EFFICE」オウンドメディア活用で早期成約
 不動産AM事業を展開するプロフィッツ(東京都千代田区)は赤坂エリアに「EFFICE」をオープンした。内装設計やリーシングではフロンティアコンサルティング(東京都千代田区)と協業。特にリーシングでは同社が運営するオウンドメディア「つながるオフィス」やSNSを活用して見込み客へダイレクトアプローチする手法を採用。功を奏して早々の企業誘致に成功している。

投資家からの相談が契機 2社で半年間かけ検討
 物件は「赤坂」駅から徒歩3分の場所にあるマンションの1~2階。2フロア合わせて約86坪。以前もオフィス区画として賃貸されてきた。入口を入ると廊下があり、1階奥に部屋がある。2階へは内階段でつながっていて、登ると執務スペースが広がっている。
 このオフィスは前テナントが退去した後、空室となっていた。その活用について、購入検討者がプロフィッツへ相談。そこに温めていた「EFFICE」コンセプトを提案した。  プロフィッツのソーシング・アクイジョン&ビジネスディベロップメント部長の多幾宏平氏は「これまでも協業実績のあったフロンティアコンサルティングとこれからのオフィスあり方、オフィス移転ニーズ、市場、競合に関するワークショップを半年間かけて行っていました」と話す。それはオフィスそのものから、成長する企業の経営課題を解決するオフィスのコンセプトを作っていくことであった。

リニューアルのポイントは生産性向上やリクルートに
 「EFFICE」の募集窓口であるフロンティアコンサルティングの担当は、SOI事業部の神崎沙耶氏。同社ではオウンドメディア「つながるオフィス」を展開。居抜きオフィスなどの特集や物件紹介を行っており、ベンチャー企業のニーズや誘致へのノウハウが蓄積されている。今回のオフィスづくりに際してもそれらの知見が活用された。  「人材採用力の強化」、「創造性・生産性向上」、「コストカット」。この3つが「EFFICE」の特長となっている。そのためにオフィスの美観向上やこれまでデッドスペースとなっていた場所の有効活用、また働き方のトレンドに沿った執務スペースをつくっている。
 「たとえば1階の入口を入って執務スペースに行くまでに廊下があるのですが、活用しづらく以前まではデッドスペースとなっていました。この部分を有効に活用するため、今回のオフィスではデスクやソファなどを置くことで、来訪者のウェルカムラウンジとしての役割を持たせるとともに、社員が気分転換しながら働くことのできるスペースとなっています。奥の執務エリアには集中スペースやオンラインでのミーティングなどができる個室も設けています」(神崎氏)
 2階はデスクエリアやミーティングルームのほかに、壁面のホワイトボードを利用し集まってブレスト会議を行ったり気分転換でしながら働ける「HUB」、チームミーティングやチームランチなどができる「ギャザリングスペース」なども設けた。ひとつのオフィスで多様な働き方ができる環境を整えることで、個々の社員の生産性や創造性の向上を図っていく。

年内4~5棟開発へ 坪2.5万円でオーナーも収益増
 多幾氏は今後の「EFFICE」の計画について、「年間に4~5案件のオープンを目指したい」とする。展開する物件の面積は20~100坪を想定する。すでに「神保町」駅から徒歩4分の場所にあるビル1階でのオープンも決定している。
 赤坂のEFFICEでは募集賃料ベースで、坪当たり約2・5万円。従前に比べて収益も向上し、バリューアップ分はしっかりと反映することができている。入居する企業にとってもセットアップされていることなどから初期費用を軽減。無駄のないレイアウトや昨今の多様化した働き方に対応することで、実際の坪面積以上の社員人数を収容することができる。「オーナー、入居企業双方にとってWIN-WINのビジネスモデルとして提案していきたい」(多幾氏)と自信を見せた。
 コロナ禍での縮小需要は落ち着きを見せ、直近ではベンチャーなどの成長フェーズにある企業が採用戦略の強化を見据えてオフィス拡張計画を立てるケースが増えている。中小規模のオフィスが需要を取り込んでいくソリューションとしても期待される。


3つの「E」も企業にマッチ
プロフィッツ ソーシング・アクイジョン&ビジネスディベロップメント部長 多幾宏平氏
 「EFFICE」という名称は3つのE(Economic経済性、Empower組織活性、Ecologic環境への配慮)とOFFICEを掛け合わせて命名しています。成長企業の経営ニーズに応えられたことは、多くの企業様から関心や引き合いを頂ける結果にも結び付いています。物件数を拡大していくことで、より多くの企業の成長をオフィスの提供を通じて後押ししていきたいと思います。また、セットアップ・居ぬきオフィス市場は供給が多くなっており、「EFFICE」の価値がしっかり伝わるよう「EFFICE」のWebサイトを通じてのマーケティング施策も重要課題です。

ワンランク上のオフィスを意識
フロンティアコンサルティング SOI事業部 神崎沙耶氏
 成長フェーズにある企業にとって今後の人材採用に向けて、働きやすさやオフィスのイメージ向上はポイントになります。「EFFICE」につきましてもそういったポイントを意識して内装を企画していきました。具体的には会議やオンラインなど様々なミーティングに対応できるスペースを用意したことや、執務に集中したりリラックスした話し合いができるエリアを設けています。1階入り口から執務エリアまでの廊下には壁面にミラーを貼ることで、美観向上を目指しています。今後の新しい「EFFICE」のなかでも物件の特性に応じて企業のニーズに応えられるオフィスをつくっていきたいと考えています。

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