週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
歌舞伎町一丁目東地区まちづくり協議会 新宿ゴールデン街で地上50階の再開発構想 建物劣化で防災面の機能更新必要 約1940坪の敷地に複合施設計画
2006.10.23 11:26
東京都新宿区、靖国通北側の花園神社の一角や「新宿ゴールデン街」を含む約1940坪の土地で、街づくり構想が進んでいる。今年5月には、新宿ゴールデン街南部分の地権者と周辺ビルの地権者によって、「歌舞伎町一丁目東地区まちづくり協議会」が発足した。
協議会の会長を務めるのは、新宿ゴールデン街南部分の管理・運営を行う「花園街商業協同組合」理事長の萩原征男氏である。同組合は昭和22年に発足、現在の組合員は17名で、約150坪の土地を保有している。
協議会では、少なくとも来年度中に準備組合を発足させたい意向。建物はホテルやオフィス、娯楽施設などの用途が考えられ、地上50階建て規模の超高層ビル計画も持ち上がっている模様だ。
作家などの文化人に愛され、小説や映画にも度々登場する「新宿ゴールデン街」だけに、開発を惜しむ声も聞こえるが、戦後以来の建物を使用し続けている店舗も多く、防災面などで機能更新が必要だったとのこと。
「初代組合長であり『新宿ゴールデン街』の名付け親にして、私の父である清光は、店子に『ここは踏み台にする場所、いつかは表通りに出なさい』とよく言っていました。当地域では小資本でも商売を始められますが、地震や火災や発生して建物が倒壊すれば、店子の借家権はなくなってしまうのです。独特の風情があるこの地域を残したいのは山々ですが、防災の問題は無視できません」(萩原氏)
理事に就いてから、何度も新宿区と協議してきた同氏によれば、周囲の地域でも再開発構想が膠着した前例が多く、区はこれまで開発に乗り気でなかったという。しかし、時限立法である都市再生特別措置法に加え、地下鉄13号線の開通と、地下道「サブナード」の延伸決定を受け、構想が進み始めたそうだ。周囲では開発に反対する地権者もいたが、野村不動産の関連会社がそうした物件を取得したことも好材料だ。現在はオブザーバーである、東京電力の変電所の移転問題が残るだけだという。
「駅周辺の回遊性の改善を望みます。高層ビルが建つ場合『ゴールデン街』をどんな形で残すかも問題です。シンガポールの川沿いのクラークキーのようになればいいと思っています」(萩原氏)