不動産トピックス
クローズアップ IoT活用編
2018.02.19 16:13
IoTを不動産に導入しての活用が進んでいる。商業施設や住宅などでの活用可能性は大きく、またレンタルスペースなどではIoT機器を導入することで運営者の手間が減り、ひいては無人運営も可能となる。使用者の快適性にも直結する分野だが、オーナーにとって賃料への反映が不明確なために、普及は一段遅れている。それでは実際に導入し活用を始めている事業者はどのようなメリットを得ているのか。賃料上昇ではなく、コスト削減で目立った効果を見込んでいるようだ。
NTT/バカン 空港施設内での空席状況を一括表示 成田国際空港で共同実験
東日本電信電話(東京都新宿区、以下NTT東日本)、バカン(東京都千代田区)はIoTとAIを活用し、成田国際空港のフードコート(第3ターミナル)、吉野家(第2ターミナル)、北ウェイティングエリア(第2ターミナル)の各施設の空席状況をデジタルサイネージやスマートフォンへ一覧表示する共同実験を2018年2月19日から3月22日まで実施する。
今回、成田国際空港での共同実験に至った経緯は何だったのか。バカン代表取締役CEOの河野剛進氏は「成田国際空港線では早朝のLCC便などを利用する方が夜間、第3ターミナルのフードコートや北ウェイティングエリアなどで過ごしているが、それらの間の移動には徒歩で約15分かかる。一方が混雑していた場合に他方へ移動するべきか否かに有効な判断材料がこれまでなかった」と指摘する。今回の共同実験を通して「IoTとAIの活用により空席状況をリアルタイムで解析・配信することで、滞在場所選択の際の負担を軽減するとともに、店舗側には送客促進による集客拡大についての効果検証を行います」という。
実際にはフードコート、吉野家、北ウェイティングエリアにカメラやセンサーを配置、画像データやセンサーデータを取得する。AIを活用した画像データの解析結果やセンサーデータから割り出した3施設の空席情報を、空港内6カ所に設置したサイネージへ一覧表示する。また空席情報はWeb上にも表示し、スマートフォンなどからでも確認できる。
空港という場所柄、多くの外国人が利用することも想定される。河野氏によると「一定時間ごとに英語と日本語が切り変わります」とのこと。「今後は『VACAN』の標準サービスとして、さらに多言語化を進めていけるように順次開発を進めていきます」と意気込みを示した。
空港施設での共同実験によって、今後活用できる場所が広がりそうだ。
and factory 「IoT学生寮プロジェクト」スタート NPO法人と協業
and factory(東京都目黒区)はNPO法人NEWVERYと協業し、「IoT学生寮プロジェクト」を2月より開始した。このプロジェクトは日本初のスマートホステルなどIoT事業展開の実績を持つand factoryと学びのコミュニティづくりに実績を持つNEWVERYの両者が協力することで、学生寮における共同生活の課題をIoTによって解決するだけでなく、学生の協働体験を通じてIoT機能やその利用方法を洗練させ、次世代のビジネスを創出することを目的としている。
プロジェクト第一弾としてNEWVERYが運営する学生寮「チェルシーハウス国分寺」にand factoryが提供するIoTシステムを導入する。これにより共同生活で頻繁に起こるトラブルを抑制するとともに学習や作業効率の向上を図る。また学生自身が手掛ける地域住民向けのイベント開催などのより大きな共同課題に集中して取り組める環境づくりを目指す。
寮へのIoTシステムの実装は6月を予定している。
ジェイ・エス・ビー 学生寮にIoTで快適性向上
全国で学生マンションの企画開発・仲介斡旋・運営管理までをトータルで行っているジェイ・エス・ビー(京都市下京区)は石川県野々市市にて食事付き学生マンション「学生会館UniE`meal金沢工大前」の運営を3月1日より開始する。「UniE`mealシリーズ」は同社が自社で企画、開発、所有する食事つき学生会館だ。
館内には同社プロデュースの食堂「UniTimekitchen」が併設。栄養バランスのとれた料理が館内調理で朝夕2食提供される。
同館の特長は最新のIoT技術を利用したスマートハウスサービス「ホームウォッチ」を導入していることだ。エアコンや照明などの家電をスマートフォンで遠隔操作でき、また不審者が侵入した際のアラート機能などを備えている。
3月2日、3日の両日に建築主、建設不動産業界向けの完成内覧会を開催する。見学希望者は同社担当まで要予約。