不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2018.02.19 16:20
都内2月オープン施設は個性派多し
「変なホテル」は銀座に初登場
全国で5店目 ビジネス客見込む
H.I.S.ホテルホールディングス(H.H.H 東京都新宿区)による、ロボットと最新設備を導入し生産性の向上を目指すホテル「変なホテル東京 銀座」が2月1日にオープンした。東京では2拠点目、全国では5拠点目のホテルとなり、訪日需要の高まる都内中心エリアへは初進出となる。
同ホテルは東京メトロ有楽町線「新富町」駅から徒歩2分に位置。客室数は全98室。築地や銀座など東京の名所にも徒歩圏内であるため、レジャーのみならずビジネス利用も見込み、61室とシングルルームの設定を増やしているのが特徴。
先だって開業した「変なホテル東京 西葛西」と同様、全客室に自動クリーニング機、無料貸し出しの携帯端末、ChromeCast、iRemoconを導入している。
「変なホテル東京 西葛西」は東京メトロ東西線「西葛西」駅から徒歩4分に位置し、客室は13・1㎡のスタンダードダブルルーム、15・9㎡のツインルーム、18・7㎡のデラックスツインルームの3タイプで合計100室。
リヴホテルはレトロモダンをテーマに
リヴホテル(東京都港区)では2月1日、レトロモダンをテーマにしたホテル「SAKU REN JIMBOCHO/サクレン神保町」(東京都千代田区)をオープンさせた。
「音」「美容・健康」などに特化した独自サービスを展開する。全32室、5タイプある客室は、畳や障子など和の要素を要所に取り入れているのが特徴。インテリアデザインとコンセプトメイクは、100件以上のホテルや旅館の経営コンサルティングを手掛けてきた咲楽(東京都渋谷区)が担当し、運営管理は、咲楽のグループ会社であるケラススホテル&リョカン(同)が担当する。
レセプションエリアには、幻の蓄音機とも言われる1926年製造の米国ヴィクター社製手巻蓄音機ヴィクトローラ「クレデンザ」を設置し、ノスタルジックでレトロな空間を演出。
全32室の客室は、畳や障子などの和の要素を各所に取り入れ、落ち着きのある洗練された空間を創出した。広めのバスルームや、シモンズ社と共同開発した最高級マットレス、美顔器やマッサージチェアなどを導入している。
ボルテックスはプロジェクト第一号
ボルテックス(東京都千代田区)は2月1日、東京・上野に「HOTEL EMIT UENO(ホテルエミット上野)」をオープンさせた。同案件は、ボルテックスが開発を手がける初のホテルプロジェクト「HOTEL EMIT(ホテルエミット)」シリーズの第1弾。
同施設が位置する上野エリアは、近年のインバウンド需要の高まりを背景に注目されている。上野と浅草を結ぶ浅草通り沿いに立地、上野駅にも近く、観光・ビジネス需要が期待できる。
ホテルの付加価値として重視される運営業務を、シダックス大新東ヒューマンサービス(東京都新宿区)が一括受託する。
ボルテックスは、収益不動産を核とした資産形成コンサルティングをメイン事業に展開。これまでオフィスビル、商業施設などさまざまな投資案件の開発に注力し事業領域の拡大を図ってきた。今回、初となる自社開発ホテル「HOTEL EMIT UENO」の開業を機に、企業ブランドを戦略的に発展させていきたいという。また3月1日には、第2弾となる「HOTEL EMIT SHIBUYA(ホテルエミット渋谷)」(東京都渋谷区)もオープンさせる予定だ。
コスモスイニシア宿泊事業に参入
グローバルエージェンツ(東京都渋谷区)はこのほど、コスモスイニシア(東京都港区)から、新ホテルブランド「APARTMENT HOTEL MIMARU」の運営を受託し、ブランド1号店となる「MIMARU東京 上野NORTH」を2月8日にオープンさせた。
同施設はJR山手線「上野」駅から徒歩8分に位置。鉄筋コンクリート造地上8階地下1階建て。客室は40室。ランドリールームを併設する。
キッチンやリビング・ダイニングスペースを備え、4名以上のグループでも過ごせる34㎡から52㎡まで。「和」のテイストで統一感を演出した室内には、キッチンやダイニングスペースを全室に確保し、快適な中長期滞在を可能にした。
ブランドロゴマークは、世界の「世」の異字体である「卅」という漢字がモチーフとなっており、世界中から訪れる利用者と日本とを結ぶ役割を果たせるようにという思いが表されている。
グローバルエージェンツは隣人交流型賃貸住宅「ソーシャルアパートメント」36棟約2000室、ライフスタイルホテル4棟350室を運営しており、ホテル事業では初めての運営受託の取組みとなる。
UDSは中国でウェルネスリゾート
UDS(東京都渋谷区)と中国現地法人 誉都思建筑咨詢(北京)有限公司(中国・北京市)では、両社が全体コンセプトと共用部デザインコンサルティングに参加した「ウェルネスリゾートPARK ROCHE(パーク ロシェ)」を、1月22日に大韓民国・江原道にオープンさせた。
同施設は、2月9日に開幕する平昌オリンピックのアルペンスキー会場となる韓国北東部のスキーリゾート地、江原道(ガンウォンド)旌善郡(ジョンソングン)に位置する。鉄筋コンクリート造、地下2階、地上12階。敷地面積は1万1547㎡、延床面積3万1214㎡、客室数204室。
付帯施設はレストラン、カフェ、スパ、プール、サウナ、フィットネス、温室、ライブラリーなど。
韓国の都市開発、ハウジング、ホテル、複合施設開発・運営を手掛ける現代産業開発が開発した高級ウェルネスリゾート。ヨガ、瞑想、スパ、フォレストヒーリングなどのウェルネスプログラムを備えている。
民泊新法施行直前 各社協業によるサービスが拡充
ホームアウェイは韓国企業と翻訳
エクスペディアグループで、世界190カ国で200万件以上の登録物件を有する、世界最大級のバケーションレンタル会社ホームアウェイ(米国テキサス州)はこのほど、173カ国で750万人以上に利用されている、韓国の総合翻訳プラットフォーム会社Flitto(フリット 韓国ソウル市)と物件オーナーに向けた翻訳サービス提供において業務提携を締結した。
この提携により、英語・中国語をはじめ、最大18言語で物件概要の説明文を用意することが可能になるため、幅広い言語での物件タイトルや物件説明文の掲載ができ、物件売上の最大化が期待できる。さらに、フリットに登録している3000名以上のプロ翻訳家の中から翻訳技術に長けているだけではなく、民泊物件説明や旅分野に詳しい人を指名し、直接連絡を取りながら翻訳依頼ができるため、アピールしたい点をよりわかりやすく盛り込んだ物件タイトル、説明文を用意することができる。
日本政府観光局(JNTO)によると、2017年における訪日外客数は前年比19・3%増の2869万1000人と、2016年2404万人を450万人以上上回り1964年以降過去最高となった。このように、日本が旅行先として世界的に注目されている現状や、日本人物件オーナー・海外利用者からの要望を受け、今回の業務提携に至ったもの。
フリットはクラウドソーシングを活用し、173カ国750万人以上の使用者が翻訳を依頼、受諾する空間です。18言語に対応し、翻訳が必要なときには要請者として、外国語ができる場合は直接翻訳家として活用することができる。また、最近は人工知能翻訳サービスも展開しており、言語データの構築・販売事業も拡大。ソウル市の観光推進にも協力しており、ソウル市主催の観光スタートアップコンペにて1位を獲得した。
ホームアウェイは、エクスペディアグループに属し、テキサス州のオースティンに本社を置く世界最大級のバケーションレンタル会社。
百戦錬磨はJALと地域活性化事業を
一方、日本航空(JAL 東京都品川区)と百戦錬磨(宮城県仙台市)はこのほど、包括的業務提携を締結しました。
民泊を活用したインバウンド事業や地域活性化事業を推進していくのが目的。JALは地域間交流人口の拡大に力を入れており、特に、海外に向けた魅力の発信や利用しやすい運賃の設定など、訪日外国人の地方送客によって地域活性化の取り組みを進めている。一方、百戦錬磨はこれまで、自治体の許認可を持つ施設のみを取り扱う、民泊予約サイト「STAY JAPAN」の運営を通じて、合法的な民泊事業を推進してきた。両社の共通の目的である「交流人口の拡大による地域活性化」を目指し、双方の強みを最大限活用しながら協業していく。
具体的には3つ。1つ目は「地域間交流人口拡大に向けた地域の魅力再発掘」。観光ポテンシャルが高いにもかかわらず、宿泊インフラが十分整備されていない地域などをモデル地域に選定し、その地域ならではの観光資源を活かしたシンボリック施設の開発、住宅宿泊事業法の活用による地域全体の民泊の普及・促進、イベント民泊の開催などを行う。
「地域の魅力発信による、訪日外国人旅行者の地方送客の促進」は、「JAL Guide to Japan」をはじめとする地域の魅力を伝える訪日旅行者向けメディア連携の強化や「STAY JAPAN」、JAL関連メディアを活用した地域プロモーションの実施を予定する。
「販売チャネル連携、共同プロモーション企画などによる相互送客」は、民泊ダイナミックパッケージ商品の開発を拡充。そのほか、訪日外国人向け国内線運賃(JAL Japan Explorer Pass)の「STAY JAPAN」上での販売や、「STAY JAPAN」とJALサイト連携、マイレージ連携などの実施を予定している。
今回の提携を契機に両社の強みを活かし、観光による交流人口の拡大、新たな雇用の創出、文化財や自然資源など観光資源の保全など、地域の特色を活かした再生・活性化を目指していきたいという。