不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.11.21 16:29

ファーストキャビンHD 「ファーストキャビン西梅田」リブランドオープン 関西初の直営店として
 飛行機のファーストクラスをイメージしたコンパクトホテル「ファーストキャビン」を運営しているファーストキャビンHD(東京都港区)。同社では、2020年4月より休業していた「ファーストキャビン阪神西梅田」(大阪府大阪市)を関西初の直営店とし、9月16日に美と健康のホテル「ファーストキャビン西梅田」としてリブランドオープンさせた。簡易宿所というカテゴリーゆえに制約も多いが、同社の米良裕幸社長は、アフターコロナに向け中長期的な成長戦略を描いている。

「心と身体が充実」コンセプトを体現
 「ファーストキャビン西梅田」は、阪神電鉄本線「福島」駅徒歩約2分に位置。延床面積約1500㎡、キャビン数147キャビン、ロビーラウンジ、カフェバー、ライブラリー、大浴場、パウダールームを併設する。
 同ホテルは、一晩泊まることで疲れた身体を癒すリラックス加工した部屋や、大浴場を用意する他、無農薬にこだわったオーガニックカフェバーを新設。手軽に都心に泊まれ、心と身体が充実するコンセプト「STAY SMART」を体現してもらう。
 世界のトップアスリートに支持されているファイテンと提携し、泊まることで疲れを癒す空間を提供する。客室の壁面や、天井に同社の独自技術「メタックス」を吹き付けた「ファイテンル ーム」を室数限定で販売し、理想の寝姿勢を保つマットレス「星のやすらぎ エアロクレイドル」を全室導入する。
 大浴場には、美肌や身体のリラックスが期待できる「ファイテンウォーターシステム」を採用し、宿泊者の健康をサポートしする。またロビーには、ライブラリーを新設し、新しい趣味や習慣に出会えるような様々なライフスタイル本を用意する。
 館内には無農薬にこだわったオーガニックカフェバーを新設。朝は美と健康をサポートするヘルシーブレックファーストやアサイーボウルなどを提供し、夜はオーガニックビールや身体にやさしいフードメニューも取り揃える。
 ホテルで取り組む新しい健康法「ファーストファスティング-青木式16時間断食プラン-」を販売する。「16時間断食」の提唱者である、あおき内科・さいたま糖尿病クリニックの青木厚医師監 修の下に独自開発したプランで、初心者でも取り組める手軽さが特徴。空腹時は我慢せず食べられる「レスキューフード」としてナッツやスムージーを用意し、独自の筋トレプログラムを提供する。
 ファーストキャビンHDでは現在、羽田空港・関西国際空港の他、東京、大阪、福岡などの主要都市を中心に9施設を展開しており、「ファーストキャビン西梅田」は関西初の直営店となる。

DX化を推進し事業拡大 新規ビジネス開拓も
 今回同社では、さらなる事業拡大を進めるため、ホテルのDX支援、マーケティング支援を行うコネクタージャパンと業務提携を締結。今回の共同運営で顧客分析を強化するとともに、今後の出店スピードを加速させていきたいという。
 同社は今後、リブランディングとともに、コロナ後を見据えた成長戦略を描く。大きなテーマは「収益力アップ」と「新規事業の開発」だ。
 同社は不動産テックを活用した新築投資用マンションの企画開発を行うタスキ(同)と、資本業務提携を締結し、ホテル運営のスマート化を図っていく。
 具体的には、タスキの技術力を基に、ファーストキャビンHDのDX推進をサポートし、テクノロジー基盤の導入、デジタル人材の育成支援を図る。
 また、タスキ商品のペルソナとする東京都心でアクティブに活動する若い世代に向け、自宅、職場とは別の「第3の場所」として「キャビン」を提案。コロナ禍後のライフスタイルを実現させる空間を提供する。新しい形として、テレワークキャビンやサブスクリプションによる新しい居住スタイル、ペットホテルなどの空間創造に取り組んでいく。
 両社の営業活動で有効活用可能な事業用地、空きオフィス、空き店舗等の空間情報を共有し、新規出店の用地開発など、不動産オーナーに対するクロスセル・アップセルの提案による収益機会の拡大に取り組んでいく。

UDS 「SOKI」ブランドを金沢に初出店 大和ハウスリアルティマネジメントより受託
 UDS(東京都渋谷区)は石川県金沢市袋町に、大和ハウスリアルティマネジメント(東京都千代田区)より受託し企画、設計、運営を行う「SOKI KANAZAWA(そきかなざわ)」を11月19日に開業させた。
 同ホテルは、JR「金沢」駅より徒歩15分。敷地面積935・80㎡、延床面積4612・36㎡、S造、地上8階建て。客室数130室、大浴場、レストラン「空潮/空汐(そらしお)」を併設する。
 同ホテルが位置するのは、金沢市民の台所と呼ばれる近江町市場の目の前、かつて商人が行き交い「市」が栄えたエリア。ホテルから徒歩15分圏内では、ひがし茶屋街、金沢城、兼六園、金沢21世紀美術館などの主要観光地のほか、歴史文化あふれる金沢ならではの食や工芸など、金沢の魅力をアクティブに楽しむことができる。
 同ホテルでは、コンセプトを表現する上で、空間やコンテンツを「つくり込みすぎないこと」を大切にし、CIBONE、ISSSEY MIYAKE、LEMAIRE、 ARTEK等の商空間のインテリアをはじめ、都市の遊休地を一時的に占有。一般へ解放する運動「SKWAT」などで幅広く活躍するDAIKEI MILLSをインテリアデザイナーとしてパートナーとして採用した。金沢らしさを感じ土地に根付いた場を構築するために、地元の素材や職人が製作したアイテムを多く採用。木や石、土や鉄など、自然由来の素材を使用した。 
 「SOKI」ブランドが目指すのは「あるがままの自分を取り戻す、無為自然に過ごす旅」。名称は「素(す)の器(うつわ)」を由来とし、ありのまま(=素)の飾らない本質を追求しその土地の自然や風土、素材を嗜む場所(=器)という意味を持つ。
 2020年11月静岡県・熱海市小嵐町に開業した「SOKI ATAMI」は、宿に滞在しながら現代湯治で心身をととのえる養生体験を提供する温泉宿として展開してきた。今回SOKIブランド2拠点目として都市部で開業する「SOKI KANAZAWA」では、まちの観光を楽しんだ後に心身を癒し、ほっとできる滞在を通して、リフレッシュと気づきを得る旅の体験を提供する。
 大和ハウスリアルティマネジメントは、「不動産事業・ホテル事業」を展開する大和ハウスグループの企業。「不動産事業」は、土地オーナー、テナント企業、投資家様に都心から郊外まで規模の大小を問わず、不動産価値の最大化を図るためのソリューションを提供している。
   UDSは、事業性と社会性を実現するしくみ=「システム」で都市を豊かに楽しくすることを目指し、国内外でまちづくりにつながる事業の企画、設計、店舗運営を手がけている。企画から設計、運営までを一連で手がける独自性に基づいたコミュニティが生まれる場づくりを強みとしており、日本のデザインホテルの先駆けとなった「CLASKA」などの不動産リノベーション事業や、子どもの職業体験施設「キッザニア東京」など独自の仕組みをもつ施設の企画、設計、運営において多くの実績を持つ。

アパグループ 「西葛西」駅前に開発用地を取得
 アパホテルネットワークとして建築・設計中、海外、FC等を含む全国最大級の709ホテル10万8286室を展開する、アパグループ(東京都港区)はこのほど、東京メトロ東西線「西葛西」駅前にホテル開発用地を取得した。取得会社はアパホーム。
 同案件は、東京メトロ東西線「西葛西」駅より徒歩1分の駅前立地。都内中心部の「大手町」駅や「日本橋」駅へ乗り換えなしで移動可能で、「東京ディズニーリゾート」へも好アクセスであることから、ビジネスだけでなくレジャーなどの幅広い需要を見込み、今回の取得に至った。
   完成後は全158室の「アパホテル〈東京 西葛西駅前〉」として、2024年5月の開業を目指す。
 江戸川区内では、「アパホテル〈TKP東京西葛西〉」(全124室・FC・2017年12月1日開業)を営業中であり、同計画を含めると計2棟・282室となる。両ホテルとも「西葛西」駅前に位置しており、相互に連携を取りながら運営を行っていく。今後も東京23区内で、駅前開発用地の取得を中心に、アパホテルネットワークの拡充を強化していく。 
 同グループは、2010年4月にスタートした「SUMMIT 5(頂上戦略)」を継承し、2022年4月より新たな5ヶ年計画「AIM5~APA Innovative Movement」を始動。アフターコロナにおけるニーズの変化やDX化の波を捉えながら、 国内で圧倒的なトップホテルチェーンとなるべく、2027年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指していく。

Sanu セカンドホームのサブスク拡大
 セカンドホーム・サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」(運営元・Sanu 東京都中央区)は、「Renovation Series(リノベ棟)」を、12月から来春にかけ4つ連続開業。既存拠点の長野県白樺湖に加え、千葉県一宮町、静岡県伊豆高原・伊豆下田の初進出エリアへ展開する。
 サヌ セカンドホームとは、月額5・5万円で「自然の中にもう一つの家」を持つセカンドホーム・サブスクリプションサービス。サブスクに登録すると、都心から好アクセスの自然立地にあるキャビンを自由に選んで滞在できる「都市から日本各地の美しい自然に繰り返し通い、生活を営む」新しいライフスタイルを提供する。 カーボンネガティブを実現する独自の建築モデルとテクノロジーの活用でスピード感をもって拠点開発を進め、2021年11月にサービス開始、2022年7月に7拠点50棟が完成・運用を開始した。




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