不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.02.05 11:25

楽天グループが民泊サービスを拡大 建築大手と連携し新たな商品も

レオパレス21と「特区」での運用代行
 楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)の動きが積極化している。
 同社は、アパート賃貸事業・開発事業を展開しているレオパレス21(東京都中野区)による「特区民泊」向け物件への運用代行サービスを提供することとなった。
 楽天LIFULL STAYは民泊施設・簡易宿所オーナー・不動産事業者向けの「全部運用代行パッケージプラン」を提供しているが、レオパレス21への提供は初めて。 
 同プランは、集客、空室管理、問い合わせ対応、清掃など、宿泊運用に関わる一連の業務を楽天LIFULL STAYが一括して行う運用代行サービス。民泊として空室等の遊休資産を運用したいものの方法が分からないオーナーや、運用に時間を割くことのできないオーナーが気軽に民泊を開始するために必要なサポートを提供する。現時点でのサービス対象エリアは、東京23区内、京都市内、大阪市内、福岡市内、沖縄本島および宮古島。今年前半には札幌・名古屋、その後順次拡大していく。
 レオパレス21は今回、「特区民泊」が実施可能な東京都大田区に所在する自社物件を対象に、楽天LIFULL STAYと連携して「特区民泊」向けに改装を行っていく予定で、同社として初となる民泊物件の提供となる。同社は、今回の連携を通じて得た知見やノウハウを、今後の既存物件の空室対策やオーナーの収益力向上、高収益商品の開発につなげていきたいという。

ハイアスAC社と戸建て賃貸住宅 
 同社はまたハイアス・アンド・カンパニー(ハイアス社 東京都品川区)と民泊向け戸建型宿泊施設の供給における業務提携を締結した。 ハイアス社は住宅・不動産・建設業界に特化した経営コンサルティング会社で、全国の会員企業向けに戸建賃貸事業の支援を行っている。楽天LIFULL STAYは、「Rakuten STAY HOUSE」とハイアス社の運営する高性能デザイナーズ住宅「WILL STYLE」のコラボレーションによる戸建型宿泊施設ブランド「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE」を共同で開発する。このブランドでは、断熱性能・防音性能に優れ、低価格で建設可能な、快適な宿泊空間を提供していく考えだ。また、「WILL STYLE」の主力商品である「ユニキューブ」のデザインを適用しており、今後はより多くのラインアップを取り揃えていく。供給される宿泊施設は、ハイアス社のパートナー企業を通じて、2018年2月より販売開始予定。
 「Rakuten STAY」は、民泊・簡易宿所の運営を希望する法人・個人を含む不動産オーナーに対し、楽天が「Rakuten STAY」ブランドを貸与し、楽天LIFULL STAYが、導入のコンサルティングから施工、清掃などの運用まで、委託会社の協力を得て一括して運用代行を行うサービス。利用者は「Rakuten STAY」を導入した施設に宿泊すれば、どこでも一貫したコンセプトに基づいた設備、アメニティーグッズの利用や付帯サービスを受けることができるようになる。
 ハイアス社が展開している戸建賃貸住宅商品「ユニキューブ」に代表される「WILL STYLE」ブランドは、断熱欠損のない施工が可能な断熱材を用いた「デコスドライ工法」を全棟で標準採用しているのが特徴。これまで全国でのべ3000棟を超える供給実績がある。
オンライン予約サイト AIでサービス
 世界最大級のオンライン宿泊予約サイト「Booking.com (ブッキング・ドットコム)」の日本法人であるブッキング・ドットコム・ジャパン(東京都港区)は、新たに開始したサポートサービスのチャットボット「Bookingアシスタント」のパイロット版へのアクセスを、全世界の英語での予約へ拡大する。
 このサービスは、カスタマーサービスのサポートと独自の人工知能テクノロジーを融合するメッセージ・プラットフォーム。これを利用することで、ユーザーはチャット形式のインターフェース上で、宿泊関連のリクエスト等を送信したり、タイムリーなサポートを受けることが可能になる。 具体的には自然言語処理技術を活用し、支払い、アクセス情報、チェックイン・チェックアウト、予約内容の変更、キャンセル、駐車場、ベッド関連、ペットの受け入れ、インターネット環境等のサブトピックをよくある質問やリクエストに対応する。より多くのユーザーからの質問に対応することで、より多くの質問内容を認識できるように学習していく。同社は、人口知能技術でさらに多くの質問に対応できるように学習させ、現在では90種類以上ものサブトピックを素早く認識し、正しく対応できるようになる。現在は、ユーザーからの宿泊関連の質問の3割に自動で5分以内に返答できるようになったという。
 仮に処理できない質問を受けた場合は、質問内容によって同社のカスタマーサービスや宿泊施設からのサポートを要請し対応していく。
 同社のパートナー施設にとって、「Bookingアシスタント」は時間の節約に役立つ新機能。チャットボットが簡単な質問に回答することで、ユーザーが確認のために宿泊施設に直接連絡することが不要となり、またチャットボットは対応する質問の数が増えれば増えるほどトピックを認識する能力が伸びていく、という訳だ。 
 ブッキング・ドットコムが26カ国1万9000人の旅行者を対象に行った最近の調査によると、半数は返答があるのであれば、対応する相手が人間でもコンピューターでも構わないとのかいとうがあった。また、同社のデータによると8割のユーザーは自分で必要な情報を入手することを好む傾向にあり、新サービスは電話やメールなど今までのカスタマーサービスへの問い合わせ方法に代わって、旅行者の需要を取り込むことが可能になる。

ロワジール那覇に新客室  
ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)が運営する「ロワジールホテル 那覇」(沖縄県那覇市)ではイースト館に客室を新設、1月1日より販売を開始した。 8室の新客室は、同ホテルでは初となるメゾネットタイプで4名まで泊まれ、グループやファミリー需要を見込んでいる。広さは23㎡+ロフト部分7㎡、天井高は2・7m。高い天井が開放的かつ非日常的な空間を演出し、白やラスティック調の白木を組み合わせることで沖縄の海や砂浜を思わせる客室となる。バスルームは洗い場付きの独立タイプを用意。大開口の窓を設け、外光を最大限に取り入れ室内を明るく演出する。
沖縄県庁が昨年12月に発表した入域観光客数概況によると、沖縄県への入域観光客数は平成26年より、国内客、外国客ともに過去最高を更新し、今後も好調に推移する見込みであるとのことから、同ホテルでも多様化する幅広いニーズにお応えできるよう、今回メゾネットタイプを新設したもの。
同社は、「ホテル・アンドルームス」、 「ロワジール」、「ハタゴイン」、「チサン」などのブランドや「インソムニア 赤坂」、「雨庵 金沢」を有し、 2018年1月現在、従業員約1200名、ホテル数48軒、総客室数約7304室の運営、フランチャイズ、アセットマネジメントをしている。

沖縄UDSが宮古島にオープン 
UDSグループの沖縄UDS(沖縄県那覇市)は、日建ハウジング(沖縄県那覇市)と共同開発により、「HOTEL LOCUS」を1月22日、沖縄県宮古島市平良字下里に開業させた。
同施設は、近年観光客が急増し、下地島新空港開業を控えさらなる観光の盛り上がりが期待されている沖縄・宮古島に竣工。宮古空港より車で約分の平良港に面する全室オーシャンビューが特徴だ。宮古島ならではのマリンスポーツなどはもちろんのこと、島に点在する食や、文化、スポット、人など「HOTEL LOCUS」の目線でセレクトしたアクティビティを用意する。
館内は、宮古島の豊かな自然を最大限感じてもらえるよう、シンプルな空間の中に、手仕事を感じる家具やファブリック、アートワークなどを取り入れている。窓などの開口部分や色彩、照明計画で外部の自然環境をできる限り取り込む工夫を取り入れることで、内外を一体的に感じられる空間を目指した。
客室のラグやクッションなどには、宮古の民工芸の魅力を伝えるオリジナルテキスタイルを採用。同テキスタイルはかつて沖縄に暮らし、現在は世界のブランドで活躍するテキスタイルデザイナー島塚絵里氏をパートナーに迎えて開発したもので、糸を績むこと(UMU)、植物を編むこと(AMU)、宮古上布の絣柄(KASURI)をモチーフにした4つのデザインを展開している。

ベッセルホテルが札幌に開業へ 
ベッセルホテル開発(広島県福山市)は、2019年5月に「ベッセルホテル カンパーナすすきの(仮称)」(北海道札幌市)をオープンさせる。このほど建設工事を着工した。 同施設は、地下鉄南北線「すすきの」駅から徒歩5分に位置し、すすきの・大通り公園まで徒歩圏内にある。敷地面積は1579・31㎡、延床面積1万1067・41㎡、地上13階、塔屋1階。 
客室数は全296室。デザインコンセプトは、和紙や障子、木調などの「和」をイメージするテイストを多く取り入れた「和モダン」になるという。ツインルーム、トリプルルーム、フォースルームなど複数で泊まれる部屋するほか、洗面化粧台・バスルーム・トイレが独立した客室もあり、家族や友人同士など幅広いターゲットの利用を同社は期待している。また、2階にはサウナ付き大浴場、「ベッセル」ブランドの特徴樽、18歳以下子供は両親や祖父母と同室での添い寝無料も採用する。
同施設は、JA三井リース建物とサンケイビルが共同でホテルを建築し、竣工後にベッセルホテル開発が賃借して、ホテル運営を行う。設計はエーエーアンドサン、施工は岩田地崎建設。
 ベッセルホテル開発は2010年以降、「ベッセルホテル」 「ベッセルホテル カンパーナ」「ベッセルイン」の3ブランドで現在、全国で19施設を運営している。




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