不動産トピックス

ビルオーナーのための建築・設備最新情報

2006.08.14 16:30

<リスクに挑む>若築建設 RC構造物の健全度を調査・診断 診断業務の支援システムを開発
 経年劣化した鉄筋コンクリート構造物の健全度を調査・診断するシステム「RC-
Doctor」を若葉建設(東京都目黒区)が開発した。
 同システムは、調査結果に基づいた健全度診断と今後の劣化進行予測を行うエキスパートシステムと調査方法、対策工法のデータベースシステムをパッケージ化したものだ。技術資料として224ページの調査診断マニュアルも、とりまとめた。
 一般的に、鉄筋コンクリート構造物での調査診断作業は、まず構造物の環境条件や設計条件の調査、現地での目視による調査を行い、その調査結果を基にして劣化機構と劣化の程度の診断を行う流れ。診断のための情報が少ない場合は、非破壊検査やコンクリート片の化学的な分析などの詳細調査を行う場合もある。劣化進行の予測を行って、構造物の寿命の長さを推測し、さらに構造物の現状と寿命の長さとを勘案して、対策方法を検討する。
 今回開発したシステムは、コンクリートに関する一般的な知識を持つ技術者なら誰でも診断業務を行えるように開発されたツール。調査結果を入力・分析することで、広範な知識が必要なコンクリート診断士などに依存することなく診断業務が行える。同社では、システムを社内に周知して展開することで、標準化した診断を提供していく狙いがある。
 また、不動産の金融商品化などで高まっている既存の構造物を効果的に維持管理したいというニーズにも応えていく。

<建築トピックス>郡界建設工業 アスベストを無害化する「MF工法」 ポリマー材料で危険部位を長期間保護
 郡界建設工業(愛知県豊明市)は、アスベストの特性・性能を活かしつつ無害化することが可能な「MF工法」によるアスベスト対策を提案している。
 MF工法は、アスベストを無害化、飛散防止するために研究開発された「アスベロン」というポリマー材料と、上塗りコーティング材「アスベラック」を用いてアスベストを封じ込めるもの。工法の概念は以下の通りだ。
 ①アスベスト繊維・微粉末の表面をアスベロンで均一に被覆し、無害化。
 ②アスベスト繊維・微粉末間を伸張性の高いアスベロンで連結し、飛散を防止する。
 ③アスベストに対し濡れと接着性に優れ、また、耐候性にも優れたアスベロンで長期にわたりアスベスト表面を被覆・保護する。
 ④防炎・防火の性質を持ち、上塗り塗料との接着性に優れる材料で被覆する。
 ⑤伸張性・耐久性を持ち、防炎・防火性のアスベラックで閉じ込める。
 「MF工法にはアスベロンによる押さえ、吹きつけ、特殊工具による注入含浸、不織布などの貼り、アスベラックの吹きつけ、仕上げなど、大きく分けて4つの工程があります。施工㎡単価は、2万円程度です。エレベーターシャフトや機械室などでは工程を簡略化することで若干コストを抑えることもできます。各工程の費用は㎡5000円が目安です」(専務取締役村瀬正和氏)
 「MF工法」を開発したのは、村瀬氏の兄である界面科学技術機構代表の村瀬平八氏。同氏はシュトゥットガルト大学に留学し、山形大学、信州大学客員教授を歴任した工学博士だ。
 「兄が開発したこの工法を世に広めていくのが私の役割だと考えています」(村瀬正和氏)
 なお、「MF工法」は現在、代理店を募集しており、群界建設工業もその内1社だ。
 「MF工法」は、特殊な工具を用いてマニュアルに添った施工を行わなければ無害化の性能を発揮できない。そのため、代理店になるには、技術研修において実際の現場で施工を体験し、認定される必要がある。

NTTファシリティーズ/東邦ガス 情報通信装置向け空調の開発に着手 冷水から熱交換した冷媒で直接冷却可能
 NTTファシリティーズ(東京都港区)は、これまで研究開発を進めてきた情報通信装置向けの空調技術と、東邦ガス(名古屋市熱田区)が個別空調の熱源として吸収冷温水機を利用する際の熱搬送技術を組み合わせて、情報通信装置向け空調システムの実用化開発に着手する。
 「冷媒ポンプユニット」では、建物の配管から供給された冷水とガス状の冷媒を熱交換させ、凝縮した液状の冷媒をポンプにより圧送。「冷媒ポンプユニット」は、情報通信機室に設置する。情報通信装置室内の空調には冷媒を用いるため、漏水による機器トラブルの恐れがなく、空調の熱源には、大型冷凍機や地域冷暖房施設などを自由に選択できるため、コージェネレーションシステムを利用することで、エネルギー利用効率の向上も図れる。情報通信装置を冷水から熱交換した冷媒で、直接冷却できる空調システムが実用化されれば世界初となる。平成19年度上期の製品化を目指す。

東芝ライテック 店舗向けダウンライトを新発売 見た目をすっきりさせた演出照明
 東芝ライテック(東京都品川区)は、店舗向けのシステムダウンライト「チェイスウィング」シリーズを8月11日から順次発売する。
 従来、百貨店や高級専門店で使用されていたスポットライトなどによる演出照明は、近年ではショッピングセンターをはじめ様々な商業空間で広く普及している。一方で店舗の天井面は、ベース照明や演出照明などの多灯化により雑然となりがちなため、見た目をスマートに仕上げることのできる照明器具へのニーズが高まっていた。
 6種類のハウジング(1灯用・2灯用・3灯用、各2色)と16種類の灯具(ユニバーサルタイプ4機種・ダウンスポットタイプ4機種、各2色)をラインアップ。2灯用・3灯用のハウジングは、別売の連結金具でつなぎ合わせることにより、4灯・6灯で使用することもできるなど、空間にあわせた、フレキシブルな対応が可能だ。

清水建設 「総合地震防災システム」を販売開始 地震時建物被害も予測 設備機器も自動で制御
 清水建設(東京都港区)は、今月から気象庁が運用を開始した「緊急地震速報」を活用した「総合地震防災システム」の開発を完了、9月1日から販売を開始する。
 同社では、平成16年から、「緊急地震速報」を活用した「地震情報直前伝達・警報システム」や生産ライン等の制御を行う「機器・設備制御システム」を開発し、本・支店などでの活用を展開。また一部の企業にシステムの試験提供を行ってきた。
 これらのシステムに加えて、広範囲に事業展開している企業の建物群の被災度を即時に予測する。
 地震被災度予測システム」を開発して組み込み、同システムを完成した。建物の被害まで予測するのは、同システムが初めてだという。
 システムはサーバーを含めたハードウェアとソフトウェアの以下のパッケージで構成される。
 ①「即時情報伝達・警報システム」…地震情報に基づき、様々な伝達ツールを使い警報を発令し、二次被害防止する。
 ②「地震被災度予測システム」…地震情報に基づき、事前にデータ入力した建物に関する所在地、構造及び地盤条件などの諸情報を基に、建物の被災度を3段階で予測して地図上に表示。
 ③「機器・設備制御システム」…強い揺れが予想される場合に、エレベータやセキュリティシステム、設備機器の制御を行うほか、生産施設やプラントなどの緊急停止を行う。
 なお、システムの販売価格は400万円だ。

シャープ ワイヤレスカメラシステム開発 ドアスコープ簡単取付 ユーザー自ら施工可能
 シャープ(大阪市阿倍野区)は、業界初の玄関のドアスコープに取り付けるだけで、モニターで訪問者を確認できるワイヤレスカメラシステム「HN-D100」(モニター卓上型)、「HN-D150」(モニター壁掛型)を発売する。
 玄関のドアスコープに新開発のドアカメラを取り付けて、映像をワイヤレスで専用カラーモニターへ送信。専用工事や配線が不要で、簡単に設置できる
 セキュリティへの意識の高まりからテレビドアホンのニーズが高まっているが、賃貸住宅やマンションといった集合住宅などで、テレビドアホンを後付けするには、共用部分の工事が必要で、事実上取り付けが困難となっていた。同社では、ユーザーが簡単に取り付けられる「集合住宅向け訪問者モニタリングツール」として提案していく。
 なお、販売価格はオープンで、卓上型モニターは月産1万台、壁掛型は5000台製造する予定だ。

松下電器産業 「便ふた」と「貯湯タンク方式」で120%の省エネ 伸縮するノズルを搭載した温水洗浄便座
 松下電器産業(大阪府門真市)は、世界で初めて2段階に伸縮するステンレス製ノズルを搭載した温水洗浄便座「ビューティ・トワレ」SZシリーズ全3機種を10月1日より発売する。
 従来は別々だった「おしり用」と「ビデ用」のノズルを1本にまとめ、更にそれぞれを専用ノズルで洗浄する事により清潔性を高めた。使用時には必ず毎回「使用前・使用後・立ち上がり時」の3回でノズルを自動的に洗浄するので、清掃の手間を省きながら清潔に使用することができる。
 機能面では、おしり用とビデ用ノズルの1本化によって空いたスペースに、ノズル駆動用のモーターを搭載する事で、「おしり洗浄」「パワー洗浄」「ワイドビデ洗浄」「おしり/ビデのムーブ洗浄」と6つの洗浄を切り替える木のを搭載。使用時の快適性を高めた。また、新開発の「0・85ℓ小型保温貯湯タンク」と、便座からの放熱をおさえる、「便ふた」を採用し、貯湯タンク方式で120%の省エネを達成した。なお、販売価格はオープンである。

岡村製作所 耐火構造間仕切壁「セーフウォールFP」発売 天井工事を伴わず防火区画変更可能
 岡村製作所(横浜市西区)は、耐火構造間仕切壁「セーフウォールFP」の販売を開始した。
 近年、建築にフレキシビリティが求められる一方、建築の資産価値は、安全性や機能性などの建築自体の価値によって決まる時代になっている。高性能な建築では、より安全性が高く、レイアウト変更に追従した可変性の高い防火区画が求められている。
 「セーフウォールFP」は、天井裏と天井から下の間仕切部分を別構造にするので、あらかじめ天井裏の想定される位置に耐火壁を設置しておけば、天井工場を伴わないで防火区画の変更をすることができる。
 同社が販売するスチールパーティションと合わせたデザインで、オカムラのオフィスパーティション「セーフウォールW」シリーズと違和感なく設置可能。高密度な構造で、耐火構造に加えて遮音性にも優れた性能を発揮する。

神戸製鋼所 ドア・引き戸・天井材など内装建材として採用見込む
 神戸製鋼所(神戸市中央区)は、シックハウス症候群の原因の一つとされる屋内空間のホルムアルデヒドを吸着・分解する塗装鋼板「コーベプレコート・エアブリーズ」を開発・商品化した。塗装鋼板にシックハウス症候群を軽減させる機能を持たせたのは世界で初めてだという。
 吸着機能を有する添加剤と分解機能を有する添加剤をそれぞれ塗料に混入させたこと、またホルムアルデヒドの分解効果を長期に渡り持続させるために触媒反応を利用したことが技術開発のポイントである。同製品はそれ自体にホルムアルデヒドを含まず、且つホルムアルデヒドの吸着・分解効果が長期にわたり持続。これらの特性を活かし、間仕切り・ドア・引き戸・天井など主に内装建材用途での採用を想定する。今夏よりテストを経て販売を行う予定であり、2年後を目途に月間1000tレベルの受注を目指す。
 なお同社では、これまでに、耐指紋性、放熱性など、特殊な機能を付与した特長ある製品を商品化した実績がある。

TOTO トイレの臭いを消す「トイレQBウォール」発売 珪藻土基材と光触媒で常在臭を吸着して分解
 TOTO(北九州市小倉北区)は、トイレ空間に常に漂う臭い(常在臭)を吸着・分解する内装用吸着分解建材「トイレQBウォール」の販売を開始した。集合住宅や小型ビルで使用されるビニールクロス壁は、それ自体がトイレのにおい成分を吸い込み悪臭源となっていたが、トイレQBウォールは壁面に付着したにおい成分を珪藻土基材が吸着するとともに、表面に残存したにおい成分を光触媒で分解するため、におい成分を壁表面に残さず、トイレにしみついたアンモニア残存量を従来の16分の1に抑える。また、珪藻土基材は調湿機能を有しているため、トイレ空間を快適な状態に保つ。
 910mm×1820mm×t6の希望小売価格は1枚1万8900円。天井材と組み合わせた空間セットプランは19万575円から用意している。

<新サービスレビュー>松下電工/NTTコミュニケーションズ ビル設備のネットワーク化で提携 空調・照明・防災など一元管理
 ビル設備を集中管理することで、ビルの管理コストは下がる。エネルギー使用状況を分析すれば省エネも可能だ。それにも関らず、通信回線を利用してビル群をネットワーク化するケースはまだまだ少ない。最新のビル設備管理のネットワーク化について見ていく。

 松下電工エンジニアリング(大阪市中央区)と松下電工(大阪府門真市)は、NTTコミュニケーションズ(東京都千代田区)と協業し、ビル設備管理のワンストップサービスを開始した。
 空調機や照明、防災、セキュリティ機器、ポンプなどのビル設備は、従来それぞれの制御システムで運用され、各ビルにオペレーターが必要であったが、近年では大手貸ビル会社などを中心に複数の設備機器を一元管理するシステムや、VPN回線などを利用して複数のビルを集中管理するネットワーク管理システムの普及が進んでいる。しかし、VPN回線を使用するには、ハイコストなシステム導入やビルオーナーや管理会社が個別に通信事業者と契約する必要があるなど、複雑な手続きが必要であったため、中堅の貸ビル会社や管理会社には、群管理システムの導入が困難だった。
 このビル設備管理ネットワークサービスでは、松下電工がWeb対応で複数の設備機器を一元管理可能な「エミットシリーズ」、入退出管理システムなど機器類を提供。NTTコミュニケーションズが回線接続サービス、ネットワークセキュリティ・データセンタなどプラットフォームサービスを担当する。松下電工エンジニアリングは、両社の機器、サービスを用いて、ビルごとに合わせた効率的な管理が可能なソフトやシステム構築を行う。
 ビルをネットワーク管理することで、管理コストが削減できる他、設備のトラブルをいち早く察知して、トラブルを防止、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)によるデータ解析で設備の最適運転を図り、省エネ対策に役立てることもできる。また、既設設備への導入や段階的な導入も可能で、ローコスト、短後期を実現。VPN回線を通じて、監視カメラの画像をサーバーに蓄積管理するなど、ビル管理のアウトソーシングに役立てることも可能だ。
 サービスの対象は、ビルオートメーション設備が導入されている1万㎡以上のビル。複数のビルを所有・管理する貸ビル会社および管理会社に向けて提案を行い、平成22年度までに5000件の契約を目指す。

TOA カメラシリーズラインアップ強化 屋外用ドーム型カメラ等7機種投入
 TOA(神戸市中央区)では、高機能・低価格な防犯カメラ「コンパクトヴイ」カメラシリーズのラインアップを拡充し、カメラ3機種と、周辺機器4機種の販売を開始する。
 カメラの新商品は屋外用ドーム型デイナイトカメラ2機種とドーム型カラーカメラ1機種。周辺機器は4台用と9台用のカメラドライブユニット、4分割カメラドライブユニット、ヒーターユニットを発売する。
 なお、屋外用ドーム型デイナイトカメラは、水平解像度500TV本の高画質を実現し、3倍バリフォーカルレンズ(手動ズーム)を標準装備した屋外用防犯カメラシステム。昼間はカラーで撮影し、夜間など周囲が暗くなると自動的に感度の高い白黒モードに切替える「デイナイト機能」を搭載する。販売価格はオープンである。




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