不動産トピックス

【今週号の最終面特集】リーシングに効果あり スタートアップ対象サービス

2022.12.26 10:40

オーナー協力でのブランディングも可能
スタートアップ向けのオフィス移転PM「ノボルバディ」
 これまでスタートアップの移転及びオフィス探しは、彼らの納得のいく形で出来たケースは稀であった。移転に向けて準備(動いている)の段階から作業負担は多く、日々の営業活動も疎かになるほど。そんなスタートアップを広報やPRまでを一貫して支援するサービスがある。オーナーも彼らと協力すれば、スタートアップ等が対象の区画を常に高稼働へ繋げることができるだろう。

広報/PRを支援 成長含めてサポート
 NovolBa(東京都渋谷区)は今年8月、スタートアップ向けのオフィス移転PM、チームビルディング(目標達成に向けたチーム作りなど)、広報やPRまでを一貫して支援する「ノボルバディ」サービスを開始した。
 ノボルバディは同社がオフィス移転の右腕となり、スタートアップの成長も含めて全面的にサポートするサービス。スタートアップにとって、オフィス移転はチーム作りに大切な機会。しかし移転に掛かる業務は膨大で、営業活動以外に採用やPRなどに注力することも難しい。移転業務に時間・労力を費やせないのが実情だ。日頃からスタートアップとの付き合いが多い同社は前述の課題に着目。同社がオフィス移転業務を請け負うことで手間を減らすだけでなく、チームビルディングや広報支援に繋げることで、企業のチーム力向上や優秀な人材確保に価値を与える。
 ノボルバディ最大の魅力は移転PM。スタートアップがオフィスを構築する際に発生する要件整理、レイアウト設計、工事から入居までの様々な折衝と調整業務をワンストップで行う。企業の成長ステージに合わせてプランを用意。起業直後のシード期向けには、最短2週間で移転可能なサービスを。アーリー期以降(ミドル期、レイター期も)には戦略的なオフィス計画を策定し、最低限のコストで構築するサービスを提供する。またオフィス家具のサブスクサービス「家具ホーダイ!!」を組み合わせれば、家具購入の初期コストを大幅に削減。移転後も月額内で家具の入替えが可能だから、常に使いやすい空間にアップデートできる。
 営業担当の林昌毅氏は「シード期・アーリー期にシェアオフィスやコワーキングスペース等を利用していたスタートアップが、次なる成長過程での移転先となる小規模オフィスがないことをよく聞きます。昨今ようやく、その様なオフィスが増えてきたようですが、まだまだ少ないのが実情です。これらの需要に、中小ビルオーナーの持つオフィスが上手く対応できると当社は見ています。オーナーがスタートアップに寄り添うことで誘致に繋げることができ、たとえ退去しても新たなスタートアップの入居が決まるサイクルが構築されると思います。ノボルバディはスタートアップ向けですが、当社はオーナーと協力してのブランディングやリーシング対策も可能です」と語った。
 その他にもオプションで、オフィス作りワークショップの設計・実施、移転の広報・PR支援も提供している。基本サービスは、移転相談が無料で、移転PMは5万円から。オフィス作りワークショップは3万円から。広報・PRは5万円からとなる。スタートアップの実情を知ることで、自社のリーシングにも役立てられるかもしれない。

導入コストを抑えて売買賃貸管理を一本化
 今年の「不動産ソリューションフェア」に出展したLiv art(群馬県安中市)は、今月から売買・賃貸・管理の三大業務を一本化した「Liv art クラウド」システムを展開している。中小規模の不動産事業者やいわゆる「街の不動産屋さん」といった小規模な不動産業者から好評とのこと。
 2014年1月設立の同社は、他の不動産会社と同じ様に過去業務管理システムでの悩み・課題に直面したことがあった。これまでの業務管理システムは、売買、賃貸、管理と分かれていた。業務ごとに各システムを導入しなければならず、中には購入費用が数百万円、更に年間で数十万円掛かるシステムも散見された。都心や政令指定都市に本社を構える大手不動産会社なら導入できるかもしれない。だが、地方都市の不動産会社や中小企業では導入のハードルが高くなる。これまでにも業務管理システム、更に不動産事業者向けの管理システムはあったが、未だコスト面での課題が残る。
 Liv artはこのコスト面に着目。コストを抑えながら、売買、賃貸、管理のシステム一本化を検討する。そして完成したのが「Liv art クラウド」。売買・賃貸・管理の三大業務を一本化した業務管理システムで、初期費用10万円と月々4万円(税別)が掛かるだけの安値が強み。後付けなどのオプションサービスは無く、不具合等はバージョンアップで対応する。掛かるコストも分かりやすく、マンパワーの少ない企業でも導入しやすいことが魅力である。
 実は同サービスが意外なところから注目されている。起業したての不動産事業者や個人・少人数で展開する不動産企業などだ。特に売買仲介や賃貸仲介を行う少人数企業から評価を得ている。起業したばかりであるとシステム利用のコスト圧縮はとてもありがたい。加えてマンパワーのある業務はできないため、どうしても「Liv art クラウド」のような、売買・賃貸・管理の一本化した管理システムは必要になる。代表取締役の前島正樹氏は「当初は業務の効率化や簡略化を図りたい、既存の業務をスリムにさせて営業機会を増やしたい、ペーパーレスやデジタル化が進んでいない、といった中小規模の不動産会社から問い合わせが多いと思っていました。ところが感触としては、ベンチャーや個人事業主からも問い合わせがあります。ベンチャー含め、昨今は少人数で事業を運営する企業を対象としたサービスが増えています。それだけ需要があることが分かりました」と語り、引き続き反響は良いと想定する。ビルオーナーや中小規模の管理会社にも適しているため、更なる普及が期待される。




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