不動産トピックス

クローズアップ 機能ガラス編

2006.07.03 17:15

日本板硝子 ガラスから環境建築造りに寄与 多彩なラインアップ ビルのニーズに対応
 Low-Eガラスは、放射熱の伝わりを低減させる、その結果、熱が室内に入る量が減るため、冷暖房の使用量を少なくすることで、省エネを実現する。ビル単体でのコスト削減だけではなく、CO2排出削減につながる。日本の住宅すべてでエコガラス(板硝子協会磯崎氏の原稿参考)を使用すると2003年に日本の家庭から排出されたCO2の約2割が削減できるという試算がある。
 「現在、世界的に、環境建築といった考え方がどんどん強まっています。環境建築を構築するにあたり、ガラスの果たす役割は大きいと考えています。ガラスの性能を上げることにより、より良い環境建築ができます」日本板硝子硝子建材カンパニー建材硝子部担当部長池内清治氏(東京都港区)は言う。
 同社のLow-Eガラスのラインアップは、「ペアマルチ」シリーズ。池内氏は、同社の特長はバリエーションが豊富で、ビルのデザイン要求に応じることができる点を挙げている。

旭硝子 Low-Eでも高い供給能力強み サンケイビルなどへ多数の導入実績
 「窓は建物に占める割合が大きいものの、断熱、遮熱、防犯などについて弱点をもっています。弱点がありながらも、利用されるのは、光が入るからです。弱点を補うために、開発が進んでいるのが、機能ガラスです」と旭硝子日本事業部企画・統括グループ主席の小田健一氏(東京都千代田区)は言う。機能ガラスの中で、注目が高くなっている1つ、Low-Eガラスは、ガラスの内側に金属の膜をコーティングすることにより、放射熱をカットし、外からの熱を伝わりにくくする。「住宅では7~8年前から普及が広がり始めました。現在の普及率は、複層ガラスのうち住宅も含めて2割程度ではないか」、と同氏は見ている。
 同社のLow-Eガラスのラインアップ「サンバランス」には、高遮熱、断熱タイプ、高断熱タイプ、防犯タイプを揃えている。高遮熱断熱タイプでは、東京サンケイビルなどに導入実績がある。同社の強みの1つとして同氏は、「供給能力の高さ」を挙げている。

板硝子協会 エコガラスの名前で普及拡大期待
 「遮断複層ガラスは、新築される高層ビルでは、ほとんどのケースで採用されているようです」。板硝子協会 調査役の磯崎氏は言う。遮熱性複層ガラスは、現在、Low-Eの名前が普及している。
 Low-Eガラスとは複層ガラスの外側のガラスの内側の面に、特殊金属膜をコーティングしたもの。この特殊金属膜が赤外線の放射率を下げ、熱の伝わりを小さくする。外からの熱の伝わりを小さくすることで、室内の温度を上昇することを抑えることができる。また複層ガラスはもともと、断熱の効果があり、特殊金属膜を内側のガラスの内側の面にコーティングすることで、室内の熱をより逃げにくくし、より断熱性を高くすることもできる。  「機能ガラスは、大きく分けて、安全・安心の機能を要求されるものと、環境保全を要求されるものがあります」と磯崎氏は言う。Low-Eガラスは環境保全分野で、特に注目されているという。今後は、ネーミングをLow-Eからより親しみやすいよう「エコガラス」として、さらなる普及に努めていく。

フィグラ 複層ガラスの中にコントローラ挿入 ガラス表面に金属膜 電気通し窓を暖める
 フィグラ(東京都港区)のECOSSシリーズは、複層ガラスの中に、光のコントローラーシステムを組み入れている。コントローラによって、夏の直射日光は反射するように、反対に冬の暖かな日差しを取り込むことが可能だ。「普通の複層ガラスと比べ、光のカロリーを5分の1までカットできます」(フィグラ 代表取締役副社長 加藤秀規氏)。同製品は東京品川にある松下電器産業・情報システムセンターなどへの導入実績があり、また、「社会全体のCO2削減の流れの中で、引き合いが増えている」と加藤氏は言う。
 また同社の窓暖も冷暖房のランニングコストを削減に寄与する製品である。同製品はガラスの表面に透明な特殊金属膜が溶かし込んであり、ガラスの両端に電極を配置し、電極間の金属膜に電気を通すことで発熱する。
 窓からの冷たい空気の侵入を防ぎ暖房費を削減できる、結露防止、さまざまな効果を発揮する。

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