不動産トピックス

不動産管理新潮流

2006.06.12 17:48

<大手BMの決算短信>業界全体は増収減益 サービス価格水準の低下に苦しむ各社 厳しい状況で利益生む体質へ転換図る 好成績の企業はPM・PFI事業に注力  株式を公開している独立系大手ビルメンテナンス(BM)会社の平成18年度3月期決算が出揃った。各社の営業状態から下げ止まらぬ受注価格の問題など様々な要因で厳しい局面に立たされているBM業界の現状を分析していく。
 各社の決算短信に目を通していくと、オフィスビル空室率の改善や大型ビルの新規供給など本来プラス材料であるはずの現象が起こっているにも関わらず、メンテナンス受注価格の上昇にまで至らないとある。不動産証券化の進行などによって発注者の意識が資産の保全よりもキャッシュフローの最大化に向かう傾向があり、ビル管理コストの低減が強く求められていることがその理由だ。例えば東京美装興業のBM事業セグメントの経営成績を見ていくと、新規受注の増加により売上高279億8200万円と1.7%の増収でありながら、原価率の上昇で営業利益は5.4%の減収。白青舎も同セグメントの売上高64億3600万円の3.1%を計上したが営業利益は10.2%の減少となっている。
 一方で増収・増益を実現している日本管財の建物総合管理のセグメントを見ていくと売上高485億4900万円で6.6%増、営業利益6億1200万円で9.9%の増という状況だ。再開発物件や PFI事業への積極的な取り組みや連結子会社の日本プロパティ・ソリューションズを機軸としたPMの業容拡大が寄与している。また、ビケンテクノもBM事業のセグメントで137億9600万円(16%増)、営業利益14億3200万円(6.3%増)を計上しているが、PM事業における不動産ファンドからの受注拡大が寄与したようだ。
 PFIやPMに関してはここに取り上げているほぼ全社が取り組んでいるが、日本管財およびビケンテクノは早い段階から専門子会社を設立して取り組んでおり人員やノウハウの面で先行している印象がある。東京美装興業もPM分野やFMにおけるアウトソーシング分野で実績を重ねているが、今期の場合ジョンソンコントロールズとの提携解消などマイナス要素も多かった。
 増収増益であった三幸は原価・販売費を圧縮するためにロボット導入など独自の取り組みを行う一方で、中小規模のビルオーナーに向けて提案型営業を行うソリューション提案型企業への転換も図っている。また、大成も大型ビルの群管理開始などに先行費用が発生し大幅な減収となったが、成長要因と考えているようだ。ハリマビステムも増収減益だったが、PFIやPMへの積極的な取り組みで体制の強化を図っている。
 なお、BM業界では経済回復の影響で今後サービス価格の水準が改善するという期待する一方で、現在の価格が固定化されるという不安を抱えている。エレベーターの問題などもあり、今後闇雲な値引き要請は減少することが予測されるが旧来の状態に戻ることは考えられない。厳しい状況下でも適正なサービスを提供しながら利益を出せる企業体質への転換が求められている。


【短信】 三菱電機ビルテクノ役員人事
 三菱電機ビルテクノサービス(東京都千代田区)は、6月28日開催の株主総会で役員人事を行う。常務取締役本社冷熱事業本部に石川正美氏、常務取締役本社経営企画部に塩沢豊氏、常務取締役本社ビルソリューション事業本部に石毛宏之氏がそれぞれ昇格。三菱電機ビルシステム事業本部ビル事業部長横山正敏氏が非常勤の取締役に、横浜支社副支社長(兼)経理部長の中井規雄氏が常任監査役に新任する。

セコムテクノサービス役員人事
 セコムテクノサービス(東京都中野区)では6月22日開催予定の定時株主総会における役員人事で、セコム近畿本部本部長の吉本岳生氏が常務取締役に、システム業務部長兼購買部長の上原孝氏が取締役に昇任する。




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