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森ビル 全社員対象の震災訓練実施 被災者受け入れから1週間後まで想定し「逃げ込める街」に

2023.01.23 11:12

 森ビル(東京都港区)は、2023年1月17日に全社員約1600名を対象とした震災訓練を実施した。
 訓練は毎年行われているもので、今年の訓練では、「帰宅困難者受入対応を始めとする初動訓練」と「発災約1週間後までの震災対応長期化を見据えた訓練」を実施した。
 昨年5月、東京都より首都直下地震の被害想定が見直され、インフラやライフラインの停止期間の長期化や一時滞在施設での滞在の長期化など、発災後、様々な「長期化」に対する懸念が示されると共に、それらに対応できるような震災対策組織の構築が求められるようになった。
 こうした課題に加え、森ビルでは「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」と「麻布台ヒルズ」という2つの大型プロジェクトが今年開業することも見据え、昨年より社内の震災対策体制の強化を図ってきた。また、震災などの有事に迅速な初動活動を行うため、森ビルでは事業エリアの近隣に居住する社員約200名を防災要員として位置づけ、いざというときに動ける体制を整えている。
 訓練では、まず初動の強化訓練として、従来の物件の被害状況を取りまとめる班や入居者の安否確認を行う班に加え、帰宅困難者対応活動を行う「逃げ込める街班」を設定。備蓄倉庫から備蓄品の内容や運び出す際の確認、実際に帰宅困難者を受け入れるフローの確認を実施した。
 今回は防災要員に加え、訓練対象を増員。発災時に街を訪れていた来街者を安全かつ迅速に受け入れられるよう、初動対応人員を組織化することで、さらに初動受け入れ態勢を強化する狙いがあるという。
 また、同社の災害対策本部では、発災当日の夜間までを「発災から震災組織の立ち上げ」、「社内外の被害情報を収集・共有し、全部署が被害様相の共通認識を形成」、「情報整理・課題抽出・報告、一部は本部役員による決定」、「課題の抽出と方針の決定、長期化に対応した体制の構築」の4つのシーンに分けて訓練を実施した。長期化を見据えるという観点で、各部署では、発災日の夜間体制や、2日目以降の人員ローテーション、社員の休息の確保などを含めたプランの作成を行った。
 同社災害対策室専門役員の中江川潤氏は、「今回の総合震災訓練では、各社員が発災時に最初に起こすべき行動を確認すると共に、当社の都市づくりへの理念や企業文化を社員に浸透させることができたと感じております。いつ起こるとも知れない災害に対して、引き続き備えを進め、1つでも多くの想定外をなくし引き続き備えを進めていく所存です」と話している。




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