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森ビル 「虎ノ門ステーションタワー」今年秋に開業
2023.01.30 10:31
グローバルプレーヤーを惹きつける多用途複合の超高層タワーが誕生
森ビル(東京都港区)が参加組合員として参画し、虎ノ門一丁目・二丁目地区市街地再開発組合(東京都港区)が推進する「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が今年秋に開業する。今月24日には記者説明会が執り行われた。
「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」は地上49階地下4階、延床面積23万6640㎡の多用途からなる複合タワー。今年7月の竣工を目指し、建設は最終段階に入っている。森ビルによる虎ノ門一帯の開発は、2014年5月竣工の「虎ノ門ヒルズ 森タワー」を皮切りに、2020年1月竣工のビジネスタワー、昨年1月に竣工したレジデンシャルタワーと続いた。国家戦略事業特区に指定されたことも後押しし、9年という異例のスピードで進化・拡大を遂げた。
ステーションタワーの低層階には商業、中~高層階にはオフィスとホテル、最上部には情報発信拠点を整備する。地下2階~地上7階には約80店舗の商業空間が誕生。地下鉄駅前広場と直結した「T-マーケット」のほか、国内大手セレクトショップのベイクルーズによるエリア初の大型セレクトショップ、都心最大級の総合ウェルビーイング施設などが名を連ねる。1階、11~14階には客室数205室、標準客室約27~34㎡の「ホテル虎ノ門ヒルズ」。「街のホテル」をコンセプトに据え、レストランやカフェのほか、リラクゼーションルームやミーティングルームを備えたラウンジなどを設えている。
9~10階、15~44階は基準階面積約3400㎡のオフィスフロア。コアから窓面まで約18・5mという広大で開放的な無柱空間を実現。働き方のスタイルなどに応じた自由なレイアウトを可能にしている。各バンク上層フロアの東西面2カ所、計8カ所には、ワーカー同士のコミュニケーション、コラボレーション促進を目的として、吹き抜け空間や上下階をつなぐ階段をあらかじめ設けた「マグネットゾーン」を整備。建物の外側から視認性が高く設計されたマグネットゾーンには、「建物内部での様々なアクティビティが街全体へと広がっていく」「街全体をワークプレイスとして活用する」というメッセージを込めている。
代表取締役社長の辻慎吾氏は「オフィスは現時点で約3分の2が成約。7月の竣工時には80%、年内に100%の稼働を目指していきたい」とした。
ステーションタワーの最上部の45~49階と一部8階には延べ約1万㎡の情報発信拠点「TOKYO NODE」を整備。メインホールと3つのギャラリー、レストラン、スカイガーデン&インフィニティプール、ラボを設えた。メインホールの「TOKYO NODE HALL」は天井高最高11・6m、座席数338席、ホール面積460㎡の防音構造のホールで、皇居を臨む東京の眺望を背景に、様々な演出・パフォーマンスの場として活用できる。リアルイベントに加えてバーチャル配信を可能とするデザインを採用。ビジネスイノベーションの発表や音楽ライブ、ディナーパーティまで幅広いニーズに対応した。
さらに今回の開発では、交通結節機能を強化。開放的な地下鉄駅前広場の創出に加え、桜田通り(国道一号線)上に「虎ノ門ヒルズ 森タワー」のオーバル広場へ接続する、幅員20mの大規模歩行者デッキを整備する。段階的かつ一体的な都市づくりにより、地上・地下・デッキレベルの重層的な交通ネットワークを強化・拡充することによって、「世界と東京都心を繋ぐ新たな玄関口」としての「虎ノ門ヒルズ」の交通結節機能が大幅に強化されることとなる。
国際新都心・グローバルビジネスセンターの形成を目指し、進化・拡大を続けてきた虎ノ門ヒルズの開発は、ついに最終フェーズまで進んだ。昨年には環状二号線と高層タワーが一体的に整備されたことで、羽田空港方面からの往来も飛躍的に向上した。森ビルは虎ノ門の開発を通して、東京の都市力向上・魅力ある都市づくりに貢献していきたいという。