不動産トピックス

過熱する投資市場の現場から

2006.01.16 10:09

東京建物 「TOKYOリ・デザイン」の一部を譲渡 平成18年3月の竣工を予定錦糸町エリアの大規模再開発
 東京建物(東京都中央区)は、(仮称)「TOKYOリ・デザイン」プロジェクトの事務所棟の約50%ならびに商業施設をAIGグループに490億円で譲渡する。
(仮称)「TOKYOリ・デザイン」プロジェクトは、JR総武線「錦糸町」駅徒歩5分、東京メトロ半蔵門線「錦糸町」駅徒歩3分に位置する、錦糸公園を南に臨む旧精工舎跡地面積2万7335・31㎡の敷地で行われている大規模再開発。地上32階・地下2階、延床面積約6万7800㎡からなる事務所棟(仮称)「錦糸町オフィスタワー」、地上9階・地下2階と地上8階・地下2階延床面積約5万540㎡からなる商業施設(仮称)「錦糸町エンターテイメントモール」、そして地上45階・地下2階延床面積約8万9300㎡の住宅棟(仮称)「Brilliaタワー東京」で構成される大規模再開発である。
物件の引渡しは3月の建物竣工を経て、6月に行う予定となっている。
 東京建物グループは、同物件の譲渡後も、同プロジェクトの将来に亘る価値向上を目指して、開発区域全体のタウンマネジメントを行うほか、プロパティマネジメント、管理組合運営、施設管理等の業務を行っていくこととなる。
 なお、東京建物は、今回の件をデベロッパーとしての開発能力と不動産マネジメント能力を結集した成果とし、今後も資産運用及び運営管理業務の一層の拡大と周辺関連業務の受注拡大による事業収益の獲得を目指すビジネスモデルを積極的に推進していくという。

<データで見る投資市場>ニッセイ基礎研究所編 成長業種の賃貸ビル利用により需給関係は安定オフィスワーカー減少続く 賃貸ビルの利点理解は進む
 不動産投資、とりわけオフィスビルを取得する際に重要な要素となるのが、稼働率である。そこで、投資家の懸念となっているのが、金利の上昇タイミングであることは言うまでもないが、賃貸市場にとっての注目は2010年問題である。
 大手シンクタンク、ニッセイ基礎研究所が発表した最再考「2010年問題」による展望は以下の3点。
 ①すでに減少傾向にある東京23区のオフィスワーカーは、団塊世代が定年退職する2005年から2010年にかけてさらに約10万人減少し、その後も長期的な減少局面が続く。②しかし、賃貸オフィス市場では、今後、一人当たり床面積拡大による需要増加効果は期待できないものの、事務所利用以外のビル需要と、成長業種によるオフィス需要の増加が続くものと見込まれる。また、企業の賃貸ビル指向もさらに強まると予想される。③このため、オフィスワーカーの総数が減少しても、景気が著しい後退局面にならない限り、賃貸オフィス市場の需給関係は大きく崩れることなく、安定的に推移する可能性が高い。
 同社は、従業者に占めるオフィスワーカーの割合や賃貸ビル利用比率を業種別に設定することで、オフィスワーカーが減少しても賃貸オフィス需要が増加する可能性が確認できたとしている。東京23区において、従業者が増加したのは、医療・福祉、情報通信業、教育・学習支援業、不動産業の4業種で、ほか製造業、卸売・小売業、金融・保険業、建設業など従来の基幹産業ともいえる業種は減少している。このうち賃貸ビル利用比率は従業者が増加した成長業種では高く、減少した業種では低いとみたという。また、成長業種では従業員の平均年齢が若く、団塊世代定年の影響も受けにくい。
 これに加えて、建築・設備の陳腐化、機能更新のための追加投資、管理の非効率化、減損会計のリスクなどの不動産所有リスクの高まりを背景に、企業の不動産所有意識が変化し、また従業員数や会社規模の拡大・縮小など理容ニーズの変化に柔軟な対応が可能な点から賃貸ビルの利点が理解されるというわけである。

アイディーユー マザーズオークションを活用してデューデリジェンスサービス提供 パシフィックマネジメントと共同で新会社設立
 アイディーユー(大阪府大阪市)は、パシフィックマネジメント(東京都千代田区)と共同で、不動産のデューデリジェンス業務を行う新会社「マザーズDD」を設立する。
 マザーズオークションに出展される不動産について、一定の基準に基づいたデューデリジェンス(デューデリジェンス業務には不動産の建物調査、地震リスク調査、有害物質調査、土壌汚染調査などリスク情報の調査を中心としたサービスを含む)を行う①マザーズオークションの機能としてのデューデリジェンス②金融機関等を顧客対象とした担保不動産に関する簡易デューデリジェンスサービスの提供③オークションデータベースを活用した不動産情報サービスの提供、がマザーズDDの主な事業内容だ。
 アイディーユーが運営しているインターネットオークション「マザーズオークション」に出展される不動産について、同社並びにパシフィックマネジメントが保有するデューデリジェンスのノウハウを活用することにより、公平、透明、合理的な不動産オークションマーケットの創造を目指す。

<投資会社新戦略>リサ・パートナーズ 旅館・ホテル事業再生支援業務の機能を強化 専門家2名を招聘し新会社設立
 リサ・パートナーズ(東京都港区)は、旅館・ホテル等の事業再生に関する機能の強化を目的とし、オペレーション改善にフォーカスした再生支援会社、グッド・リゾート(港区)を設立した。
 同社は、全国の地域金融機関と連携した事業再生支援業務を行ってきているが、会津東山温泉における3館の一体再生、名門クラシックホテル「日光金谷ホテル」への出資、加賀温泉郷の高級旅館「矢田屋」など、とりわけ、ホテル・旅館の再生支援について様々な良質案件に関与してきている。
 各地域に存在する温泉旅館やリゾートホテルへの再生支援案件は、今後も多く寄せられる見込みで、企業再生のシナリオ作りや財務的なアドバイスにとどまらず、出資や直接的な事業運営支援へと、各社から同社グループへの期待は拡大しているという。
 今回の件により、新生銀行(東京都千代田区)において、ホテル・旅館等のM&Aや再生業務に豊富な実績を有する栗原聡氏と、ニューオータニ(東京都千代田区)の元取締役で、ホテル運営に関して30年のキャリアを持つ佐々木成人氏を招聘し、グッド・リゾートは今後、リサ・パートナーズグループのアドバイザリー機能の重要な一翼を担うこととなる。

ニューシティレジデンス投資法人「ニューシティレジデンス高輪を取得 泉岳寺」駅徒歩1分の好立地取得価格は109億9500万円
 ニューシティレジデンス投資法人(東京都港区)は、「ニューシティレジデンス高輪」を取得した。
 同物件は、都営地下鉄浅草線「泉岳寺」駅から徒歩約1分に位置する、平成17年8月竣工、地上12階建て、1万4216・78㎡の共同住宅である。
 物件取得にあたり、築浅であること、交通利便性等の立地条件を重視するビジネスマン等の賃貸需要が見込めること、同物件が立地する「泉岳寺」駅に近接する地域において、JR東日本がその中期経営構想にて、大規模用地開発構想を公表している山手線品川駅田町駅間にある品川車両基地に近接し、更なる利便性の向上が見込まれることなどを取得にあたり評価した。
 なお物件取得先は、ニューシティ・リアルエステイト・トレーディング・エイト(東京都港区)で、物件取得価格は109億9500万円となっている。
 物件名については、現在、ニューシティアパートメンツ高輪となっているが、同投資法人による受益権取得後、名称を変更する予定だ。

プロスペクトレジデンシャル投資法人 プロスペクト・グラーサ広尾を40億円で取得 平均築年数を低減してポートフォリオ充実図る
 プロスペクトレジデンシャル投資法人(東京都千代田区)は、プロスペクト・グラーサ広尾の信託受益権を取得する。
 プロスペクト・グラーサ広尾は、JR・東京メトロ「恵比寿」駅徒歩約9分、東京メトロ日比谷線「広尾」駅徒歩8分に位置する平成17年11月竣工、地上14階・地下1階建て、延床面積4989・36㎡の共同住宅。21〜75㎡前後の1K、1LDK、2LDKを中心としており、主に単身者や子供のいない夫婦向けの物件である。
 今回の物件取得について同投資法人は、東京、新宿方面への良好なアクセスという立地優位性、新築優良物件であること、また新築物件の投資比率を高めるとともに、平均築年数の低減を図ることで、ポートフォリオの充実を図ることとなる。
 物件取得先は菱和ライフクリエイト(東京都渋谷区)で、取得価格は40億円。青山リアルティー・アドバイザーズによる鑑定評価額は41億円だ。信託受託者は中央三井信託銀行で、信託期間は10年間となっている。
 取得資金については、取引金融機関より、42億5000万円を借入れる。
 なお、物件取得予定日は2月3日を予定している。今後の運用状況の見通しについては、平成18年2月1日から7月末日において予定の変更はないという。

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