不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2023.03.27 10:18

いちごグループ 「博多ホテルズ」から「ワンファイブホテルズ」へ 全国展開を加速
 ホテル・飲食店の運営事業などを行う博多ホテルズ(福岡県福岡市)は5月31日付で、現社名から「ワンファイブホテルズ」へ変更する。
 同社は、「開業の地である博多に根をおろし、地域の方々とともに生き、ゲストに思いを馳せ心を尽くし、仲間とともに成長を喜ぼう」を信条に、「博多ホテルズ」として地域とともに成長を目指してきた。 その後、ホテル運営事業を北海道、関東、関西、中国など、博多以外のエリアにも展開。専門的なノウハウでホテルの開業や運営をサポートする業務、コールセンター対応の業務を受託するなど、継続した変革と挑戦により事業領域を拡大してきた。
   このような背景から、企業としての提供価値が大きく広がるタイミングで「ワンファイブホテルズ」に社名変更し、新たにスタートすることにした。
   同社はいちごの100%子会社として、グループの目指す“日本を世界一豊かに。サステナブルインフラの「いちご」”を実現すべく、中長期的なビジョンとして「ふとした出会い、かけがえのないものに」を掲げている。同社では今後も、様々な挑戦を行い、新しい価値を生み出す力を最大化することで、事業の拡大・推進を目指していきたいという。
 同社では現在、アフターコロナの運営改革の一環として、複数ホテルのバックヤード機能を1か所に集中させる「カスタマー・インタラクティブ・センター(CIC)」を設置。業務の効率化による労働環境向上を図っている。
 CICは、ホテルシステム大手との共同開発によるシステムを採用し、コールセンターやセキュリティ機能などを持つ。もちろん、旅館業法に則り各ホテルには一定数のスタッフが常駐しているが、フロントには自動チェックイン機を配置し、問い合わせは基本的にモニターを通じてCICスタッフが対応する。宿泊者は何もなければフロントスタッフと顔を合わせる必要がなく、コロナ禍での非接触を実現した。
 通常、ビジネスホテルでは、ひとりのマネージャーが売り上げもコスト管理も行っているが、CICでは客室の値付けやマーケティングも含めて集約させ、一つの施設では対応できない機能を持たせた。

TRIAD 「ANAクラウンプラザホテル京都」地上権を取得
 TRIAD(トライアド 東京都港区)では、京都の世界遺産「元離宮二条城」を眼前に望む「ANAクラウンプラザホテル京都」および地上権を取得。それに伴いLAETOLI(ラエトリ 東京都港区)が運営する不動産クラウドファンディング「COZUCHI(コヅチ)」で、72億円の募集を開始した。
 同ホテルは、約2400坪の広大な敷地をもつ。京都市は観光都市として国内外から注目を浴び、MICE関連の宿泊需要も高い都市。物件が位置する京都市営地下鉄東西線「二条城前」駅徒歩1分という立地の良さは希少性が高いうえ、近年は増加する中小規模の宿泊主体型ホテルに比べ、本物件のような4つ星以上とされる大型ホテルの供給は限定的だ。さらに京都市は2025年に向けて、都市のブランド力向上や、旅行単価上昇を期待する観光政策を掲げており、大手ホテルグループのリブランドや、ホテル開業ニーズはより一層高まると考えられる。
 今回のプロジェクトでは、同物件に対し約3年間バリューアップを行い、収益物件としての売却という利益最大化を目指す。
   同社は、多様な資金調達スキームを活用することで、総資産1000億円を目指し、10億円以上の不動産取得を進めていく。権利関係が複雑な物件、老朽化に伴う建て替え問題をはじめ密集地の防災問題や再開発による都市の一次的な空洞化など、都市の様々な問題に積極的に取り組むなど、「まちの価値」を高める一翼を担っていきたいという。また、国内外問わず、優良な不動産に限定した不動産小口化を通し、直接金融を拡大させ、誰もが流動性のある資産運用を可能にする環境の創出を目指す。

タイ・大手チェーン日本1号店開業 セントラルグループ高級ブランド大阪に
 Centara Osaka Japan (東京都中央区)は、タイを代表するホテルチェーン「センタラ ホテルズ&リゾーツ」の日本第一号店となる「センタラグランドホテル大阪」(大阪府大阪市)を7月1日に開業させる。
 同ホテルは、タイのセントラルグループが手掛けるホテルチェーン「センタラ ホテルズ&リゾーツ」が手掛けるアッパーアップスケールのホテル。なかでも「センタラグランド」は世界各地の一等地に位置する大型のホテルブランドとして展開しており、日本第一号店となる「センタラグランドホテル大阪」は、関西国際空港から車で約45分、南海電鉄「なんば」駅より徒歩4分のところに位置する。 
 同ホテルは飲食店や映画鑑賞、ショッピングなどが楽しめる、難波エリアのランドマークとしてながらく存在感を発揮している「なんばパークス」の新拡張エリア「なんばパークス サウス」内に開業する。
 同ホテルは、地上33階建て、客室数515室、レストラン&バー、スパ、フィットネス、クラブラウンジ、宴会場などを併設する。
 館内のインテリアデザインは、「タイと日本の美と文化の融合」をコンセプトに、センタラ ホテルズ&リゾーツの基盤であるタイの文化と、日本独自で築いてきた文化や美意識を融合させた空間が特長。
 全515室の客室は、6~31階にわたり3つのフロアタイプに分かれ、フロアごとに異なる大阪の景観を望むことが可能。全てのフロアにコネクティングルームやファミリールームを備え、幅広いニーズに応じて27㎡から56㎡の広さのある様々な客室を用意。客室のデザインは、大阪でも古くから親しまれてきた伝統芸能の代表格「能」をイメージし、各客室のベッド側の壁面には能舞台からインスピレーションを受けた「松」が描かれている。

ナインアワーズ 「ウェルキャビン天神」再生事業スタート
 ナインアワーズ(東京都千代田区)では、宿泊再生事業第5号案件として、福岡市中央区天神にある「ウェルキャビン天神」の運営を3月20日よりスタートさせる。
 同ホテルはキャビンタイプで、「天神南」駅より徒歩2分に位置、116室(男性専用)。最新設備と優れた立地条件を備えていたが、2021年5月にコロナ禍の影響により休業を余儀なくされていた。同社は、自社開発のホテルシステムや、マーケティングノウハウ、ミニマルなオペレーションを駆使し、同ホテルの再開業、収益最大化を担い再生を開始したもの。 
 同社の宿泊再生事業は、既存運営会社の事業継続が困難な施設を対象に、既存ブランドを維持しながら同社が事業開発で培ったノウハウを用いて運営に介入、事業再生を請け負う。これまでに心斎橋(140室)はじめ、新宿(1号案件436室)、横浜(2号案件169室)、金沢(3号案件120室)、神戸(4号案件127室)を手掛けている。
 宿泊業界で独自のカテゴリーを目指す「ナインアワーズ」は、ホテル滞在中の「シャワー」+「睡眠」+「身支度」という3つの基本行動の本質を捉え、機能性と品質を追求。部屋という空間概念を捨てて身軽に使いこなすことで街とダイレクトにつながり、宿泊に限らず、24時間利用客の都合に合わせて仮眠やシャワーのみでも利用できる、都心ならではのトランジットスタイルを提案してきた。

京都東急ホテルリニューアル
 京都東急ホテル(京都府京都市)では、ホテル客室4階「スタンダードフロア」の改装を実施した。
 今回の改装では、和紙のアートワークを施したテレビボードをアクセントに、和モダンを基調とした調度品を取り入れ、京都ならではの「和」を演出した。 また、オープンクローゼットを採用することにより、室内空間を広げ快適なスペースを提供する。ホテル館内の案内や周辺の観光情報を部屋のテレビから確認できるインフォメーションシステムを搭載したテレビの導入や、枕元にUSBポート・コンセントを設置するなど機能性・利便性も追求した。

小野写真館が施設運営拡大
 ブライダル事業・和装レンタル事業・フォトスタジオ事業などを運営する小野写真館(茨城県ひたちなか市)ではこのほど、トップサービス(栃木県那須郡)と株式譲渡契約を締結、2月1日より那須ログコテージ「フィンランディア」を運営することとなった。
 今回のM&Aは「温泉旅館(桐のかほり咲楽)」「赤ちゃんアルバムアプリ(BABY365)」「ゲストドレスレンタルECサイト(dressy)」に続く、コロナ禍で4度目のM&Aとなり、宿泊施設としては2施設目の運営となった。新たなエリア出店により宿泊事業とフォトウェディング事業の拡大を目指す。

カラカミH&R リゾート3施設売却
 Karakami HOTELS&RESORTS(北海道札幌市)は、北海道内に所有するリゾートホテル3施設を売却する。
 「洞爺サンパレスリゾート&スパ」、「ザ・レイクスイート湖の栖」はベルーナへ、「ニュー阿寒ホテル」は個人へ、3月8日に売買契約を締結し、3月31日に資産譲渡を予定。なお3施設とも当面は同社で運営受委託する。
 中長期経営計画の実現に向けた「資産配分の見直しによる経営基盤の強化」、「抜本的な事業構造改革による新たな収益源の創出」の観点から、今回の決定となったもの。創業当初より同社が注力してきた「大規模リゾートホテル」の保有運営形態から、「スモールラグジュアリーホテル」への方針転換、また、オフアセット化による運営受託を主軸とした新たな収益基盤の構築を目指す。




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