週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

全国初の「空き家新税」導入 京都市で

2023.04.17 14:45

 京都市が導入を目指す「空き家新税」について、総務省は松本剛明総務大臣が3月24日、同意したと発表した。
 「空き家新税」の正式名称は「非居住住宅利活用促進税」で、所有者に対して固定資産税に加えて新たに税金を課すもの。設立の背景として、市では、若年層の人口流出が課題となっていた。その一方、子育て世帯の住宅供給数が不足していること。非住宅が増加し、空き家が10万戸を超えることなどから、地方税法に定められていない地方税のうち、使途の制限されない普通税である法定外普通税として創設を提言した。
 施行は2026年4月から。賦課期日は26年1月1日からとし、普通徴収で納付を求める。対象は市街化区域内に所在する非居住住宅で、家屋の固定資産評価額が100万円以上、導入6年目からは20万円以上としている。
   課税対象となる「非居住住宅」は、住宅のうち、「その所在地に住所を有するものがない」ものを指すという。住民票の有無にかかわらず、居住実態の有無によって判断する。調査方法について、京都市行財政局税務部税制課大田係長は「システムを用いて固定資産税などのデータと住民票をマッチングして確認する。住民登録がない場合には所有者に居住状況を確認する文章を送り、現地調査を行う」と話す。
 「その所在地に住所を有するものがない」かどうかは、賃貸マンションや戸建ては棟単位で、分譲マンションは戸単位で判定する。 賃貸住宅では、どのような場合に課税免除の対象となるのか。市では、オーナーが1棟所有している合計3室のアパートを事例に挙げている。(1)1室はオーナーがセカンドハウスとして使用、他2室は居住者ありの場合は課税対象外。(2)2室は空室、他1室は賃借人がいるがセカンドハウスとして使用している場合は課税対象としている。ただし、オーナーが相当な対価を得てその賃料収入を確定申告し、同アパートを減価償却資産としているなど事業の用に供していると認められる場合は、課税免除だという。所有者でどちらか判断しかねる場合には問い合わせをするのが得策だろう。
 対象となるのは、市街化区域にあって、家屋の固定資産評価額が100万円以上(導入6年目からは20万円以上)の住宅。

年間税収は8~9億見込む
 一方、課税免税となるのは大きく4つ。(1)デベロッパーが販売中の分譲マンションや、賃借人を募集中の住宅で、所得税法等における減価償却資産とされているものなど、「事業の用に供しているもの」。(2)1年以内に、賃借人の募集を予定している住宅や、住宅を利用した店舗等を開業予定のもの。(3)固定資産税において非課税又は課税免除とされているもの。(4)歴史的建造物など。
 課税額は、家屋価値割額および、立地床面積割額の合算額によって算出する。
 また、入院中や改築中、5年以内の転勤期間中であれば減免されたり、所有者の死亡や居住者が死亡したことにより非居住住宅となった際などは猶予されたりなど優遇措置もある。
 課税対象は1万5000件で、税収は年間8~9億円を見込んでいる。「税収を期待している訳ではない。利活用が進めば当税に関して減収になるが、住民が増え別の税収になるとともにストック住宅が流通し、住民が増加することに期待したい」(京都市行財政局税務部税制課大田係長)




週刊不動産経営編集部  YouTube