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三井不動産 物流開発を加速 新規6物件を開発 累計投資額は今年度中に1兆円へ

2023.04.24 11:12

 三井不動産(東京都中央区)が、ロジスティクス事業(物流施設事業)における新規開発物件を公表し、今後の事業計画を策定した。国内新規6物件を開発し、累計総投資額は今年度中に1兆円に達する見込み。

サポート部署も新設 DXで物流課題解決
 三井不動産の物流施設開発事業が新たなステージに上がろうとしている。同社のロジスティクス事業は現在、稼働中の施設が国内43物件、海外1物件、延床面積約370万㎡。開発中の施設は国内15物件、海外3物件。計62物件で、総延床面積は約530万㎡に達する。2012年4月のロジスティクス事業開始からの累計総投資額は、2023年度中に1兆円に達する見込みとなった。
 事業計画には、物流の省力化・機械化ニーズに対応する専門部署として「イノベーション推進室」の新設も盛り込まれた。同社ではこれまで、物流DX機器のショールームの開設や、物流総合コンサルティング会社の設立などを行ってきた。「イノベーション推進室」の新設で、顧客の課題解決や物流戦略サポートにさらに注力していく構えだ。
 同じく顧客サポートの一環として、4月18日に、物流コンサルティングプラットフォーム「MFLP&LOGI Solution」の提供を開始した。約50社の物流サポート企業と連携し、顧客の課題を各社の持つ最先端技術と結びつけることで、最適なソリューションを提案する。
 また、2022年11月には、三井ショッピングパーク公式通販サイト「&mall(アンドモール)」の物流拠点として、自動化機器を導入した「EC特化型物流センター」を開設し、自社利用を開始している。他のEC事業者との共同利用も視野に入れており、ECに特化した物流施設のベンチマークともなる施設だ。
 新たなニーズの取り込みにも力を入れる。物流施設内の敷地を活用したドローン配送の実証や、従業員満足と「D&I(多様性を生かすこと)」を追求した就労環境づくり、自然エネルギーの導入などにも取り組む。
 物流業界ではEC市場が拡大する一方、長時間労働や労働力不足が課題とされ、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」も待ち構える。三井不動産では、社会環境の変化に対応し、多様なニーズに応える物流施設を開発・運営するとともに、サステナビリティを推進。持続可能な社会の実現に貢献するとしている。




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