不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.11.20 16:57

デベロップ モジュール型ホテルを栃木県佐野に 震災復興従事者向け施設移設
 デベロップ(千葉県市川市)は2007年の設立以来、海上輸送用コンテナを利用したトランクルームビジネスを展開、これまでに全国で約6000室の運営実績を持っている。
 同社は近年、コンテナ型モジュール建築を採用したホテルを展開。10月28日には新たに「HOTEL R9 SANOFUJIOKA(ホテル アールナイン サノフジオカ)」をオープンさせた。
 同ホテルは、東北自動車道佐野藤岡ICから車で約7分に位置、敷地面積985㎡に客室40室を配置する。客室は11㎡のシングルルーム24室と11㎡2段ベッド仕様のツインルーム16室の2タイプ、全室シモンズ製ベッドを採用し、VODなどの設備やアメニティ、35台分の駐車場も完備する。「館内はビンテージデザインコンセプトで統一し、居心地の良い空間つくりを目指しました。1階にはラウンジスペースもあり、ビジネスマンはもちろん、ご家族やご友人同士でのご旅行でもご利用いただけます」(取締役 荒川慈郎氏)という。価格は5600円から。
 同ホテルが位置するエリアは、東北自動車道のほか、北関東自動車道、国道50号、県道9号などの主要幹線道路が通る交通の要衝で、市内の7つの工業団地に90社の企業が拠点を構える北関東の一大産業集積地。このためファミリーだけでなく、ビジネスユースも期待できる。
 このホテルは宮城県石巻市で東日本大震災復興従事者のための宿泊施設として利用されていた「ホテルサンプラザアネックス」のコンテナモジュールを移設し、新たにビジネスホテルとしてリニューアルしたもの。「ホテルサンプラザアネックス」は2012年1月に竣工した41室のホテルで、コンテナ設置から約2週間で完成し、その後5年間にわたって利用されてきた。「ホテルとしての一定の役割が終了したことから、今回移設して新ホテルとして開業させました」(荒川氏)。
 デベロップが展開しているコンテナ型モジュール建築は、現地での組み上げによって大幅に工期を短縮できるほか、人件費の削減や建築後の移設・再利用化によって産業廃棄物の抑止などといった特徴がある。つまり、同規模の他のホテルと比べて、20%程度建築コストを下げることができるという。
 「ホテルを出店する場合、他のホテルの価格を見ながら、それよりも安い価格でできるように建築計画を建てて行けます」(荒川氏)という。
 構造も一般的な在来工法に比べ、壁や筋交いが少ないラーメン構造のため、間仕切りなしの空間が確保できる。また、耐力壁が必要なく、自由に開口部も作れるため、自由度の高い設計・デザインが可能だ。
 デベロップのコンテナ型モジュール建築は、事業計画から、製造・建築・アフターサービスまでをトータルでサポートできるのが特徴。そのカテゴリーは、住宅から店舗、大型施設まで用途は多岐にわたる。
 ホテル事業に関しては、原則自社で土地を取得、建築、運営をしていく。しかし、ある程度多店舗化に成功した時には、FCも考えていきたいという。既に2階建てメゾネットタイプ11棟が稼働している。また「R9」ブランドとしては、伊豆エリアでの出店も計画しており、早急に10店舗体制にまで持っていきたいという。
 「コンテナ型モジュール建築の特徴を最大限に生かし、地域の需要や社会状況の変化に柔軟に対応しながら、地域に貢献できるのが『R9』の使命だと考えています」(荒川氏)。


ベッセルホテル開発 「ベッセルホテル」札幌に2棟目建設
 ベッセルホテル開発(広島県福山市)は、2019年5月に「ベッセルホテル カンパーナすすきの(仮称)」(北海道札幌市)をオープンさせる。このほど建設工事を着工した。
 同施設は、地下鉄南北線「すすきの」駅から徒歩5分に位置し、すすきの・大通り公園まで徒歩圏内にある。敷地面積は1579・31㎡、延床面積1万1067・41㎡、地上13階、塔屋1階。客室数は全296室。デザインコンセプトは、和紙や障子、木調などの「和」をイメージするテイストを多く取り入れた「和モダン」になるという。ツインルーム、トリプルルーム、フォースルームなど複数で泊まれる部屋とするほか、洗面化粧台・バスルーム・トイレが独立した客室もあり、家族や友人同士など幅広いターゲットの利用を同社は期待している。また、2階にはサウナ付き大浴場、「ベッセル」ブランドの特徴である、18歳以下の子供は両親や祖父母と同室での添い寝無料も採用する。
 同施設は、JA三井リース建物(東京都中央区)とサンケイビル(東京都千代田区)が共同でホテルを建築し、竣工後にベッセルホテル開発が賃借して、ホテル運営を行う。設計はエーエーアンドサン(東京都千代田区)、施工は岩田地崎建設(札幌市中央区)。
 また、同社が運営している「ベッセルイン心斎橋」(大阪府阪市)ではこのほど、全客室133室を禁煙にリニューアルした。
 このホテルは2017年5月の開業より、禁煙フロアと喫煙フロアに分けて分煙をしていたが、宿泊客の禁煙室へのニーズが増加していることに対応したもの。「これにより、禁煙のお客様やご家族連れのお客様には更に快適にご利用いただけます」(同社)。
 全客室禁煙にリニューアルするにあたり、1フロア15室の喫煙室と、廊下のクリーニングを実施。また喫煙者のため、1階ロビーへ24時間利用可能な喫煙ブースを設けた。
 「ベッセルイン心斎橋」(大阪府大阪市)はベッセルホテル開発としては、18施設目のホテル、「ベッセルイン」ブランドとしては7施設目のホテル。
 ベッセルホテル開発は2010年以降、「ベッセルホテル」「ベッセルホテル カンパーナ」「ベッセルイン」の3ブランドで現在、全国で19施設を運営する。同社の瀬尾吉郎社長は話す。「当社のホテルは、今後の開業予定を含めると23施設運営することとなります。札幌市に出店するのは、『ベッセルイン札幌中島公園』に次ぎ2施設目となります。また『ベッセルホテルカンパーナ』ブランドとしては沖縄、京都、2018年開業予定の名古屋に次ぐ4施設目のホテルとなります」という。同社は現在、2020年まで30店舗の開業を目指す。

<拡大する新施設>民泊仲介最大手が全日空・ピーチと連携
 民泊仲介の世界的企業であるAirbnbの日本法人であるAirbnb Japan(東京都新宿区)は、全日本空輸(東京都港区)、Peach Aviation(大阪府泉南郡)と、パートナーシップ契約を締結した。Airbnbが日本のエアラインとのパートナーシップを締結するのは、今回が初めて。
 各社のマーケティング力を活用し、国内の新しいユーザー層へ「新しい旅のスタイル」を提案し、国内旅行に対する興味や新しいニーズを喚起していく予定。今後は、全国に多彩なライフスタイルを広めることによって、地方経済の活性化などにも力を注いでいきたいという。   具体的には、11月6日より「ANA-Airbnb暮らすように旅しよう♪キャンペーン」特設サイトを開設し、このサイトを経由してAirbnbを予約し宿泊すれば、宿泊代金に応じてマイルが貯まるようになる。また、Airbnb宿泊の新規予約で使えるAirbnbクーポンがもらえる。
 特設サイトでは、「京町屋に泊まろう」「国内リゾート生活」「週末別荘生活」「日本を知ろう!」「農業体験」という5つのテーマに沿って様々な宿を紹介していく。
 Airbnbが5月に実施した調査では、「旅行を通じて日常生活に新しい刺激が欲しい」と回答した人は全体で約7割という結果となっており、そのニーズは高まっている。同社は、町家から、豪華な一棟借り、週末プチ移住、古民家や農業体験が予約できるだけでなく、墨絵体験、味噌作り体験、ナイトカヤック体験など自分の旅のスタイルやパッションに合わせた「自分だけの旅」を提供している。
 「今回、世界的エアラインであるANA、Peachと手を組むことにより、この新しい旅のスタイルを啓蒙し、地域への送客を含めた地方創生への貢献を目指していきたいと考えています」(Airbnb Japan社長 田邉泰之氏)。
 Airbnbは2008年創業。アパートやヴィラから、古城やツリーハウスまで、世界191ヶ国6万5000以上の都市にある宿泊先を提供している。


「サンルート」が京都で2店目
 「サンルートホテルチェーン」を全国で展開している相鉄ホテルマネジメント(神奈川県横浜市)は、京都市下京区に「(仮称)ホテルサンルート京都木屋町別邸」をオープンさせる。2018年を目途に計画しているもので、完成すれば同エリア内で既に稼働している「ホテルサンルート京都」に続く2店目となる。  
 同ホテルはJR「京都」駅より車で7分に位置し、「ホテルサンルート京都」の一軒先の敷地にて計画しているもの。客室数は75室、レストラン、コインランドリーを併設する。
客室面積25㎡以上を確保し、バストイレ別の水廻りを採用したツインを中心に、「全室にゆったりとした居室性とグレード感を備え、国内・海外を問わず、2名以上のレジャー・観光客層をメインターゲットとしています」(同社)。


アパがオフィスビル取得
 アパグループ(東京都港区)はこのほど、石川県金沢市上堤町にあるオフィスビル「金沢南町ビルディング」を取得した。
 同ビルは、金沢市内中心地の百万石通り沿いに面し、JR北陸本線「金沢」駅から徒歩14分、オフィスが集中する南町交差点から徒歩1分、繁華街の香林坊・片町エリアも徒歩圏内に位置する。竣工は1987年3月、敷地面積は887・17㎡、延床面積5163・19㎡、構造は鉄骨鉄筋コンクリート・鉄骨造陸屋根9階建て。
 アパグループ創業の地である金沢市内では、「アパ片町No.1ビル」のほか、「アパ片町第3ビル」など5棟を既に所有しており、同案件は6棟目の所有ビルとなる。同社は今後も金沢市内では、ホテル・住宅事業に続く、第三の事業と位置付け、ビル事業も積極的に展開していくという。




週刊不動産経営編集部  YouTube