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今月末竣工の「物流ビル新A棟」地上7階建てのマルチテナント型物流施設
2023.08.14 11:37
三菱地所グループの東京流通センター(東京都大田区)が開発を手掛ける「物流ビル新A棟」。今月末に竣工を迎える。
「物流ビル新A棟」は、地上7階建ての免震構造によるマルチテナント型物流施設。1971年9月に竣工した「物流ビルA棟」の建替えプロジェクトで、昨今の社会環境変化・物流ニーズ多様化に対応する価値創造拠点として生まれ変わる。延床面積は約20万2000㎡(約6万1000坪)。貸付面積は約15万5000㎡(約4万7000坪)。東京モノレール「流通センター」駅から徒歩1分に位置し、首都高速羽田線「平和島」出入口から約1km。また首都高速湾岸線「大井南」出入口から3kmと、物流施設としては駅近で通勤しやすく、都心エリアへの配送拠点として優れている。区画は最小476・40㎡(約144坪)~1フロア約2万6500㎡(約8030坪)。同エリア最小クラスの倉庫区画を備えつつ、事業ステージに合わせて柔軟に対応可能。1階は冷凍冷蔵優先区画フロアで、2~3階は小規模区画。4~6階はレイアウトの自由度が高い大規模区画フロアである。
入居テナントの働きやすさ・快適性も意識している。倉庫の四隅にコアエリアを設け、かつオフィスと共用部も配置。1~3階は小区画エリアの為、東西壁面に屋外歩廊を造り、歩行者と車両動線を分離させた。車両は倉庫エリアの中央を走行する。分離させることで歩行者は、安全かつ快適に各専有部内へアクセスできる。また就業者のリフレッシュも兼ねた広めの休憩室を1階の南と北の各エントランス周辺に配備。終日施設内で勤務する就業者の需要も加味し、コンビニやコインシャワーなども設ける。
営業部 営業二課の林田啓誉係長は「新A棟は『倉庫+α』といった、オフィスやショールーム、メンテナンス拠点等による複合的な用途を意識して構築しました。例えば、精密機器のパーツセンター。24時間365日稼働が可能な新A棟で、テナント工事で様々なパーツを取り揃えたオフィスを造りつつ、洗浄や検品等の各種付帯作業も可能なメンテナンス場を設けられます。豊富な電源容量と給排気・換気設備等も設置。倉庫、オフィス、メンテナンス場を集約することで、物流の効率化、各部門の連携性向上、コスト削減も実現します」と語った。その他にも食品会社の冷凍冷蔵倉庫、生活用品卸会社の物流センターとしても造作可能。
アメニティスペース 気分転換で利用可能
屋上駐車場も特徴だ。約440台駐車スペースを確保し、構内に車両待機スペース約20台分も整備。利用頻度の多い企業や緊急の配送時にも対応できる。また屋上アメニティスペース、電気自動車の充電スタンド、入居テナント用の非常用発電機設置場所も確保。特にアメニティスペースは2カ所造り、就業者の気分転換も兼ねた屋上空間として利用可能。
敷地内施設の再開発第一弾として2017年6月に竣工した「物流ビルB棟」。新A棟に近接しており、施設内にはモデルルームを設置した。モデルルームでは新A棟で利用可能な各区画、倉庫+αのマルチユース事例、ラストワンマイル拠点に適する都心部への良好なアクセスなどを先行して体感できる。更に同一敷地内にあるセンタービル9階では同社が運営する物流テックを集積し、共同で課題解決を目指すコワーキングショールーム「TRC LODGE」も見ることができる。
林田氏は「中長期視点で物流業界全体の課題解決や価値創造を目指す、『TRC LODGE』を運営しています。保管・荷役・ピッキング・包装・配送といった物流の各工程の効率化・省人化に加え、SDGsやBCP対応等を含む物流業界全体の課題解決に向けた幅広いソリューションを紹介しており、出展企業と来場者との交流や情報収集、マッチングの場としても活用頂けます。現在新A棟は入居テナントのリーシング中です。物流関連企業やメーカー、荷主企業、その他2024年問題への対策として都心部で物流拠点の構築を検討する企業などからの問い合わせが多いです」と語った。