不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2023.09.25 10:52
タイ発の「Kokotel」日本第一号店 リロバケーションズが新ブランドスタート
会員制リゾート事業、ホテル・旅館運営再生事業を担うリロバケーションズ(東京都新宿区)は、同社が運営・管理する「シンプレスト函館」(北海道函館市)を9月12日に「ココテル函館」としてリブランドオープさせた。同ホテルはタイのカジュアルホテル「Kokotel」ブランドの日本進出第一号店となる。
同社は、タイで展開するホテルブランド「Kokotel」を運営するKoko Global Hospitality (Thailand) Co.,Ltd.(KGH社)に対し、2019年より出資、2023年春より集客支援や従業員派遣等のサポートを実施してきた。今回、KGH社の更なる発展に寄与すべく、同社運営施設である「シンプレスト函館」を「Kokotel」へとリブランドしたもの。
「シンプレスト函館」は、「函館」駅から車で15分に位置。客室数32室・ドミトリー10床。同社運営施設の中では数少ないビジネスホテルタイプの宿で、「Kokotel」との親和性が高いことから選出。リブランドでは屋号変更の他、内装も「Kokotel」仕様へと改装した。
客室は洋室ツイン、ダブル、ドミトリーとビジネスや観光用途に合わせた3タイプを用意。館内施設は、レトロな喫茶スペースや旅行者同士でコミュニケーションもとれるシェアラウンジを併設した。
「Koko Global Hospitality」は、2015年2月設立。「Kokotel」ブランドを中心にタイ国内で約20施設のホテルを運営している。将来的には6つの大陸と10か国で1000を超える施設のグローバルホテルオペレーターを目指しているという。
「Kokotel」は、友人や家族などグループ専用に設計された客室&カフェをコンセプトとしたカジュアルホテル。
リロバケーションズは、「ゆとりろ」「風雅」「天翠」などをはじめとした、個性的なホテル・旅館を全国39か所で展開している。経営の厳しいホテル・旅館の再生案件や売却案件に対し、グループ力を生かした再生ビジネスを手掛けてきた。企業や健保組合にとって負担になっている保養所などを得意としているが、既存の旅館の再生も手掛け、多くは客室が50室前後と比較的小規模なものが多く、他社が手掛けない施設が多いのが特徴だ。
土地建物の取得はもちろん、「支配人派遣」「保証」といったコンサルティングから、「予約業務代行」「自社サイト集客拡大プログラム」「リノベーション・ブランド提案・支援」など、オーナーの意向に合わせた再生メニューを用意、90日間での黒字化を目指した様々な支援を行ってきた。現在、全国でリゾートホテル、旅館を運営・運営代行をしている。
同社は全国のリゾート施設と提携し、ポイント制による会員向け施設を提供。強みは会員という強固なストックビジネスモデルだ。これを生かし、集客力を高め、経営の安定化を進めていく。
星野リゾート 「旧奈良監獄」を「星のや」に 2026年春にオープン予定
星野リゾート(長野県北佐久郡)では、同社が運営している「星のや」ブランドとしては、国の重要文化財「旧奈良監獄」(奈良県奈良市)を活用したホテル「星のや奈良監獄」(同)を2026年春にオープンさせる計画だ。
同施設は星野リゾートと「旧奈良監獄保存活用株式会社」による協定書の締結に基づき、旧奈良監獄の赤れんが建造物の魅力を最大限に活かした空間で、ラグジュアリーホテルに生まれ変わる。
「星のや奈良監獄」の建築面積は、6226㎡・ミュージアム(仮名称)1762㎡、延床面積が「星のや奈良監獄」1万343㎡・ミュージアム(仮名称)2168㎡。敷地面積10万478・80㎡(付帯ミュージアム含む)、客室数48室。レストラン、ラウンジを併設する。
旧奈良監獄は、明治政府が監獄の国際標準化を目指して計画し、明治41年に完成した、五大監獄の一つ。赤れんが造の建物は、歴史的価値が高く意匠的にも優れた近代建築であるとして、国の重要文化財として指定されている。明治政府が国の威信をかけて取り組んだ監獄の近代化によって建てられた秀麗なれんが建築には、明治政府の不平等条約解消への悲願と建築技術が集結。元収容棟は、ハビランド・システムと呼ばれた建築が取り入れられ、看守が立つ監視所を全体の中心に据え、複数の収容棟が放射状に伸びているのが特徴だ。今日に至る日本の「近代監獄」を象徴する収容棟となっている。
旧奈良監獄保存活用は、国(法務省)との間で締結した「公共施設等運営事業実施契約」に基づき、旧奈良監獄のれんが建造物の耐震改修工事や史料館、その他付帯施設の開業準備を進めている。
今後「星のや奈良監獄」のホテル運営に加えて、旧奈良監獄の歴史や施設を知ることのできるミュージアム施設の運営計画についても検討中だという。
JLLがホテル売買を支援
総合不動産サービス大手JLL(本社・米国シカゴ)のホテルズ&ホスピタリティグループは、国際的な投資家グループが保有する「ホテルリソル京都 河原町三条」について、三井物産デジタル・アセットマネジメントが組成する特別目的会社(SPC)への売買取引を支援。
同ホテルは2018年開業、和モダンをテーマにした客室数144室を有し、京都でも観光エリアとして人気の高い河原町商店街、先斗町や祇園へのアクセスにも便利な河原町通沿いに位置している。この取引は既存マスターリースが引き継がれ、「リソル」ブランドによる運営も継続される。
JLLの分析によると、2023年上半期の日本のホテル投資額は、前年同期比65・4%増の2030億円となり、大幅な投資回復傾向となった。今後も多くの案件が予定されていることから、この傾向は下半期も続くと予測されている。
三井物産デジタル・アセットマネジメントは、不動産・インフラなど実物資産を裏付けとしたデジタル証券ファンドの組成、運用、販売を一気通貫で展開する日本初のデジタルネイティブなアセットマネジメント会社。デジタル証券で資産運用できるサービス「ALTERNA(オルタナ)」の提供を通じて、将来のために安定した資産形成をしたい人に、新たな選択肢を提供していく。
フリーゲート 料理旅館をリニューアル
フリーゲート白浜(大阪市中央区)では、和歌山県南紀白浜エリアに2023年1月まで料理旅館として営業していた建物をリニューアル。この度温泉宿「くろしお想(KUROSHIO SOU)」としてオープンさせた。
同施設は、JR「白浜」駅よりタクシーで10分の場所に位置する。客室数は11室。館内や客室には、和歌山県内の地場産業工芸品やインテリア、紀州材を取り入れた和モダンな空間を演出。客室はガーデンビュースタンダードルーム8室、コーナージュニアスイートルーム(半露天風呂付)3室。ロビーライブラリー、セレクトショップ、ダイニング、男湯・女湯、貸切風呂、日本庭園、テラスを備える。
食事は、東京都南青山にあるミシュラン一つ星の日本料理店〈てのしま〉の林亮平シェフが監修。食べて健やかになる「mindful」、現代的なアレンジを加えつつもあくまで「authentic」で削ぎ落した日本料理、器にもこだわりシンプルモダンに美しく「inspiration」を呼び起こす、を軸に和歌山の郷土料理をベースに現代語訳した日本料理をコンセプトにした料理を提供する。
長生館 テントサウナ付きプラン販売
「風雅の宿 長生館」(新潟県阿賀野市)は、4000坪もの大庭園でプライベートサウナ体験が楽しめるテントサウナ利用付き宿泊プランのモニター販売を開始。
開湯から700年。新潟県阿賀野市にある村杉温泉は、玉川温泉や三朝温泉に並ぶ全国トップレベルのラドン含有量を誇るラジウム温泉。かつては団体客を中心に賑わいを見せていたが、コロナ禍により客層が個人へとシフト。個人客向けのサービスは無いかと模索してきた。
こうした中、益々盛り上がりを見せるサウナブームを受けて、同施設でも独自のサウナ体験を提供できないかと検討していた2023年春に、薪ストーブ製造の国内トップメーカーであるホンマ製作所(新潟市南区)からテントサウナ設置の提案があったという。
サウナはラジウム源泉を使用したロウリュが一番の特徴。また、庭園に三棟ある茶室風貸切露天風呂の内一棟を「ラジウム水風呂」としてセットで利用可能。村杉温泉の源泉は約26℃と低いため、サウナ利用時はそのまま源泉かけ流しで「ととのいの場」として利用することも可能だ。
テントサウナには燃焼性能が高い三次燃焼機能式の薪ストーブを搭載。設置は簡単ながら中は広く、6名まで入ることができる利便性の高さが特徴だ。
「アゴーラ福岡」リブランド開業
「アゴーラ福岡山の上ホテル&スパ」(福岡市中央区)は9月1日より、屋号を「HILLTOP RESORT FUKUOKA(ヒルトップリゾート 福岡)」に変更した。
同ホテルは、1967年創業、福岡の老舗ホテルである旧山の上ホテルを2013年9月にリブランドオープンした施設。毎年好評を得ているクール&ラグジュアリー ビアテラスの他、コンセプチュアルな客室であるエリアFの誕生など、常に進化を続けてきた。9月に10周年を迎えるにあたり、長年親しまれてきた「山の上ホテル」という屋号を「HILLTOP RESORT」と変更することで、さらなる進化と飛躍を目指すという。