不動産トピックス
クローズアップ シェアリング編
2023.10.02 10:09
不動産でシェアというとシェアオフィスやシェアハウスが思い浮かぶが、今やシェアリングエコノミーはあらゆる分野に拡大。ビル経営と親和性の高いものもあり、物件の価値向上にも寄与できそうだ。
シェアリングエコノミー協会 「シェア事業支援パック」を発表
会員同士のサービス相互利用による事業の成長に期待
シェアリングエコノミー協会(東京都千代田区)は先月5日、会員17社と提携した「シェア事業支援パック」を発表。13日にはその詳細に関する記者発表会を開催した。
同協会は、シェアリングエコノミーの市場環境の発展を目的として、2016年に設立した一般社団法人。シェアリングサービスの事業者をはじめ、法律家やシステム開発会社など全国各地に多くの会員企業が在籍。会員数は現時点で392社に上る。
今回リリースした「シェア事業支援パック」では、同協会の会員同士がお互いのサービスをお得に使い合うことができる。第1弾として、会員企業のうち17社が連携。会員企業の一社であるZVC JAPANは、ZOOM Meetingの3カ月の無料優待を実施。またスペースマーケットはビジネス利用が初回20%オフになるなどの特典を用意している。
プロジェクトの責任者である法人事業部長の牧島弘樹氏は発表会の中で、「会員同士がサービスを相互利用することで、各社のサービス拡充・向上につなげられるのではないかと考えました。シェアリングサービスに限らず専門家や団体保険など様々な会員企業と連携しているため、様々なニーズに応えることが可能です」と話した。
会員企業のうち創業3年以内のベンチャー企業や中小企業が8~9割を占めている。サービスの相互利用が事業成長につながるという期待も大きい。個別取材で牧島氏は「『シェア事業支援パック』を通じて、当協会の活動の外部発信と、会員企業の満足度向上につなげて行きたいと思います」と語った。
分譲マンション居住者用LUUP 三井不レジの物件で展開
電動キックボードや電動アシスト自転車などのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」を展開するLuup(東京都千代田区)は、6月から新築分譲マンション居住者専用モデル「Luup for Residential(ループ・フォー・レジデンシャル)」を提供している。
居住者は、専用のスマートフォンアプリを通して、居住者専用ポートから電動キックボードや電動アシスト自転車に乗車できる。通常料金より割安な料金設定で、今後「LUUP」設置エリア内の都心分譲物件を中心に展開を予定している。
第一号物件として三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)が分譲するマンション「パークコート神宮北参道 ザタワー」で稼働が始まっており、今月には「パークホームズ浜松町」でも稼働開始予定。2025年3月には「パークタワー西新宿」でも稼働開始を予定している。
Luupでは、今回の取り組みを通じて「居住者が快適に移動できる範囲を広げ、日々の暮らしをより豊かにすることを目指す」としている。
飲料用容器シェアリングサービスの実証実験 「恵比寿ガーデンプレイス」で実施中
サッポロ不動産開発(東京都渋谷区)は9月1日から11月30日まで、運営する「恵比寿ガーデンプレイス」でステンレス製の飲料用容器のシェアリングサービスの実証実験を実施している。
PETボトルや紙コップなどの使い捨て容器の削減を目指したもので、「恵比寿ガーデンプレイス」内で働くワーカーが対象。事前に発行されたQRコードを使って容器を借り、使い終わったら返却。何度でも利用できる仕組み。返却された容器は「恵比寿ガーデンプレイス」内で洗浄し、繰り返し利用する。
容器は「恵比寿ガーデンプレイス」内のカフェ店舗などで使用でき、一部店舗では飲料テイクアウト代の割引を受けられるほか、共用区画に設置した無人カフェマシーンも利用できる。昨年の実証実験ではオペレーションに問題ないことが確認でき、オフィス内で使用される飲料提供用紙コップの廃棄量を72%削減できたという。
同社では取り組みを通じて、ワーカーの楽しく快適なオフィスライフの実現とゼロウェイストな未来の実現を目指すとしている。