不動産トピックス

今週の一冊

2024.03.04 10:20

財務3表一体理解法 「管理会計」編
著者:國貞 克則
出版:朝日新聞出版
発行:2024年2月28日
価格:957円(税込)

 本書は2012年に出版された「財務3表実践活用法」の改訂版であり、今回の改定で「原価計算」や「キャッシュフロー・マネジメント」などについて新たに書き下ろしを加えている。
 財務3表とは、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書のことである。会計の専門家でない者にとって会計は理解するのが非常に困難な分野で、特に簿記や仕訳の勉強経験のない者にとっては財務会計は理解が困難な分野であった。しかし、財務会計はルールが事細かに決まっていることから、適切な勉強法に基づいて学べば財務会計を理解することは可能である。そこで生み出されたのが「財務3表一体理解法」である。
 「財務3表一体理解法」とは、前述した財務3表を一体にして勉強することが特徴。そしてこの財務3表が、事業の全体像である「お金を集める」、「投資する」、「利益をあげる」という3つの活動を説明していることを明らかにしたと著者は説明する。管理会計は財務会計とは異なり、1962年にできた「原価計算基準」に則っているなどの一部の例外を除けば、明確な定義やルールが存在しない。一方、管理会計は事業をマネジメントするための会計であることから、事業の全体像である「お金を集める」、「投資する」、「利益をあげる」という3つの活動を意識しながら勉強することによって、管理会計の全体像とその基本的な考え方が整理された形で理解することができるのだ。本書では管理会計の解説として、原価計算、予算による事業マネジメント、キャッシュフロー・マネジメント、投資評価や企業価値評価の方法、事業再生の考え方について触れている。
 「マネジメントの父」と呼ばれる経営学者のピータードラッカーは「企業にとって第一の責任は、存続することである」と述べている。そして前述した3つの活動は、企業の存続という目的の上ではすべての企業に共通する。本書は原価計算や管理会計に関して会計の専門家以外の者でも理解ができるよう執筆され、ドラッカー経営学のエッセンスが多分に盛り込まれている。企業という組織の成長に向けてドラッカー経営学を学び、管理会計を含めたマネジメントを機能させるきっかけとして頂きたい。




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