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過去最大のMBO方式RBMが英系ファンドに株式譲渡 ビルマネジメント事業の将来性に期待も
2000.02.14 17:22
リクルートビルマネジメントが株式を英国系ファンドに譲渡し、リクルートグループからの離脱を発表した。経緯を見てみよう。
リクルートビルマネジメント(東京都港区・以下RBM)はリクルートのビル事業部が独立する型で平成2年に設立されたマネジメント会社でテナント営業・管理・サブリース事業などが主な業務。
今回の一件についてRBM側はこうコメントする。
「親会社のリクルートが所有ビルの売却など不動産を手ばなす方向で動いている中でリクルートの名前でビルマネジメント業務を行うのはいかがなものかという意見は社内に以前からありました。現在では売上げに対する親会社所有ビルの割合も減少していましたから昨年6月にこちらからリクルートに対しグループからの離脱について申入れを行いました」
リクルートが保有するRBM株式について、RBM単独で買い取ることは困難な為、新たな引き取り先、いわばスポンサーをRBMが探していたところ名乗りを上げたのが英国系ファンドのシュローダー・ベンチャーズ(以下・シュローダー)だったという訳だ。
この様に今回の一件は一般的に言われる企業買収とは異なり、買収される側の企業が積極的に参加するのが特徴で正確にはマネジメントバイアウト(MBO)方式と呼ばれる。
今回シュローダーのファンド及びRBMの経営陣・従業員持ち株会社らがリクルート保有分の株式買い取りの為に出資した額は50億円で国内のMBOとしては過去最大となる。
「通常、買収といいますと引取先が役員を送り込み買収先の経営にタッチするというイメージが強いのですが、今回はその様なことも無く社長以下全社員が全く変わらず仕事をしています。今回、引き取り先をシュローダーに決定したのも『出資はするが当社の経営には口を出さない』という態度を表明したからです」(RBM)
今回シュローダーがMBOという方式を用いたのもRBMの経営権を保有するのでは無く、RBMの好業績に魅かれ利回り確保の為の投資先として有望視したからに他ならないと思われる。将来的にシュローダーはRBMの株式を公開させた後に売却してゆくものと見られる。
現在外国系ファンドは日本の不動産そのものに投資の鉾先を向けており数多くのビルで「投資家オーナー」が誕生している。純粋にビルを金融商品としてとらえている彼らは国内の不動産慣習に通じて無いこともあって、ビルの資産価値、投資効率を向上させるマネジメント会社も急速にニーズが増加している。今回の一件は海外の機関投資家が不動産そのもののみならず、ビルマネジメント事業そのものにも将来の発展性があると判断したことの証しともいえそうだ。
MBOという方式を採用したのは、これまで順調な形で業績を伸ばしてきたRBMに対し「これまで通りのスタイルでやってもらって構わない」ということを理解してもらう為だったともいえる。