不動産トピックス
今週の一冊
2024.04.15 10:26
4つの視点で働く場を検証
著者:花田 愛
出版:彰国社
発行:2024年4月10日
価格:2200円(税込)
オフィス家具メーカー大手のオカムラ(横浜市西区)は、1980年に働き方や働く空間に関する研究機関「オフィス研究所(現・ワークデザイン研究所)」を発足し、調査・研究を行ってきた。同組織は働き方や働く場の研究を中心に、人間工学に基づく家具や空間の開発、オフィス環境の提案を行い、各種学会や研究会、研究レポート・冊子の発行などを通して、その知見を広く社会に発信している。本書はワークデザイン研究所のリサーチセンター所長を務める著者による一冊。リモートワークが定着し場所を固定しない働き方が広がる昨今、「行きたくなる」オフィスとはどのような場なのか、人が集い新たな価値を創造するためには、どのような環境が求められるのかに焦点を当て、ユニークなイラストや図版とともに解説する。
場所を固定しない多様な働き方には、さまざまなメリットやデメリットがあるとされる。本書では「空間」、「視線」、「接触」、「位置」の4つの視点で、働く場のデザインの要件について働き方から家具の形状まで多方面から疑問を提示。その答えを導き出すための検証やその結果についても伝えている。また豊富なノウハウを持つ同社の知見にとどまらず、建築家や哲学研究者といった外部の有識者へのインタビューも交えながら、リアルに集まることの意味や、集う場づくりに何が求められているのかを考察している。著者は「リアルだからこそ生じる、思いがけない出会いや何気ないやりとり、会話、そしていまのリモート技術では実現できない感情共有や体験が生まれる場のデザインを考えていきたい」と述べている。