不動産トピックス

【週刊不動産経営6/10号・今週の最終面特集】新ビルめぐり 横浜シンフォステージ

2024.06.10 12:13

企業集積が加速するみなとみらいで誕生
緑あふれる環境に最新鋭のオフィス 港と市街地を一望するロケーション  大林組(東京都港区)、京浜急行電鉄(横浜市西区)、日鉄興和不動産(東京都港区)、ヤマハ(浜松市中央区)、みなとみらい53EAST合同会社(東京都港区)の5者共同で開発を推進してきた、みなとみらい21中央地区53街区開発事業「横浜シンフォステージ」が3月31日に竣工した。「ウエストタワー」・「イーストタワー」の2棟で構成される本プロジェクトは、オフィスを主体とし低層部には商業、高層部にはホテルの機能を備え、敷地内には人の賑わいをもたらすさまざまな仕掛けが用意されている。企業の業務拠点や研究拠点の集積が加速するみなとみらい21地区において、新たなシンボルとして機能することになる。

敷地内に5つのプラザ 多様なライフスタイルに対応
 「横浜シンフォステージ」は横浜市西区みなとみらい5丁目に位置し、みなとみらい21地区でも重要な歩行者動線と位置付けられるグランモール軸とキング軸の交点に面している。「横浜」駅からはペデストリアンデッキを経由して徒歩8分、雨に濡れることなく到達が可能だ。また、みなとみらい線「新高島」駅にも近接しており、こちらは徒歩1分。交通アクセスの優位性が本物件の特徴の1つとなる。敷地面積は2万620・58㎡、2棟合計の延床面積は18万2937・70㎡で、建物規模は、「ウエストタワー」が地上30階地下1階塔屋2階、「イーストタワー」は地上16階地下1階塔屋1階である。
 本プロジェクトを担当した日鉄興和不動産の事業開発本部、事業開発第一部の伊藤駿太氏は本物件のセールスポイントについて、「広大な敷地を活用した豊かな緑と開放的な空間は、東京都心の大型開発ではなかなか実現できない『横浜シンフォステージ』ならではの強みといえるでしょう」と話す。敷地内にはさまざまなライフスタイルに対応する5カ所のプラザ(広場)を設置。建物正面に広がるゲートプラザは開放的な芝生広場。人々の憩いの場として機能するだけでなく、製品発表会や記者会見などの企業イベントでの活用も想定されている。またこのゲートプラザには大林組の建設用3Dプリンター技術で造られたベンチが設置されている。ベンチは廃棄予定の貝殻を主原料とした塗料が用いられており、最新技術と環境への配慮を表している。「横浜」駅方面からデッキを通じて到達する2階のグランモールプラザは、大屋根により全天候に対応したイベントやアクティビティにも適した空間となっている。
 「ウエストタワー」は開発事業者であるヤマハの拠点オフィスならびにR&D拠点が設けられている。2階のオフィスエントランスから入り、ヤマハ専用のオフィスロビーは2階、賃貸オフィス用のロビーは3階に配置することで動線を分離。2階のオフィスエントランスには芸術家・田島美加氏によるパブリックアートが展示されている。作品について前出の伊藤氏は「本物件の新築工事の際に発生した作業音などを録音し、音の波形を表現した作品となっています」と述べる。賃貸オフィスは、「ウエストタワー」が地上9階から24階までの16層、「イーストタワー」が地上3階および地上4階から16階までの13層。「ウエストタワー」の基準階フロア面積は約1000坪で天井高2800mmの整形無柱空間。共用設備等を中央部に配置した「ロ」の字型の形状で、横浜ベイエリアの水辺の景色や横浜市内の都市部の様子を一望することができる。西向きの開口部からは、晴れた日には富士山を望むこともできるという。オフィスフロアは最大4分割まで対応可能となっており、製造業を中心にさまざまな企業からの問い合わせがある状況で、外資企業からも一定の引き合いがあるとのことだ。
ヤマハが旗艦店を出店 高層階にはホテルも
 1階から3階にかけてはヤマハが体験型のブランドショップ「ヤマハミュージック 横浜みなとみらい」を今月6日に開業した。同施設は楽器経験の有無にかかわらず、音楽や楽器に関する新たな楽しみの発見を提供する店舗。3フロア合計の床面積は約2600㎡で、1階は大型ビジョンを設置したブランドの体験エリアと、ヤマハならびに子会社のベーゼンドルファーのピアノショールーム、2階は誰でも気軽に楽器に触れることのできる楽器売場とエリア最大級の品ぞろえを誇る楽譜・書籍売場、3階は大人向けの音楽教室が営業する。
 「ウエストタワー」・「イーストタワー」共に地上1階から3階の3フロアは商業ゾーンとなっており、合計15店舗が出店する。飲食のほか、クリニックやドラッグストア、コンビニエンスストアなど、働く人々や周辺に住む人々の利便性を考慮した店舗構成となっている。また「イーストタワー」3階では、多様な働き方に対応し新たな賑わいを創出するオープンイノベーションオフィスとして、ATOMica(宮崎県宮崎市)が運営する「chilink WORKSITE MINATOMIRAI(チリンク ワークサイト みなとみらい)」が5月にオープンしている。
 「ウエストタワー」の地上26階から30階は、京急イーエックスイン(横浜市西区)が運営するホテル「京急EXホテル みなとみらい横浜」が今月24日に開業する。全150室の客室は27階以上の高層階にあり、客室からはみなとみらいの開放的な景色を楽しむことができる。また「京急EXホテル」ブランドとしては初の大浴場・露天風呂を設け、ビジネス・レジャー双方の需要の取り込みを図る。
 「横浜シンフォステージ」は、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の建築物全体評価で、最高ランクである星5つを獲得。オフィス部分の評価で、みなとみらい21中央地区初となる「ZEB Ready」認証を取得した。また横浜市建築物環境配慮制度(CASBEE横浜)の最高ランク・Sランク届出予定のほか、再生可能エネルギー由来の電力の導入を予定するなど、建物全体を通してさまざまな環境対策が施されている。業務・研究拠点の集積が加速している同地区において、「横浜シンフォステージ」は最先端のワークスタイルやライフスタイルを実現するフラッグシップとなるだろう。


<物件概要>
名称:横浜シンフォステージ
所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい5-1-1、ほか
主要用途:事務所、ホテル、店舗、駐車場
敷地面積:2万620.58㎡
延床面積:18万2937.70㎡
事業主:大林組、京浜急行電鉄、日鉄興和不動産、ヤマハ、みなとみらい53EAST合同会社
設計・施工:大林組




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