不動産トピックス

【9/23号・今週の最終面特集】既存物件を長持ちさせるリフォーム・修繕サポート集

2024.09.23 10:07

資材価格上昇・職人不足の中で低コスト・高品質な工事を実現
 不動産オーナーであれば誰しもが建物の修繕やリフォームで悩んだ経験があるのではないだろうか。工務店選びや適正価格の精査と、オーナーサイドではわかりにくいポイントも多いのがこの領域。加えて昨今は建設業を取り巻く様々な課題もある。今回はオーナーにとってメリットのあるサービスを紹介していく。

大家と職人を直接つなぐマッチングサイト開設
 キタムラコーポレーション(さいたま市大宮区)は、地元・さいたまを中心に不動産の賃貸管理や関東一円を営業エリアとしてリフォームや原状回復工事などを手掛けている。今年7月にはアパート・マンションの大家と原状回復工事等を行う職人が直接コンタクトをとって取引ができるマッチングサイト「職人ダイレクト」の運用を開始した。大家と職人を結ぶ今回のサービスを開始した経緯について、代表の北村政義氏は次のように話す。
 「私は前職でサラリーマンだったのですが、一念発起して脱サラし、不動産投資の世界に飛び込みました。そして地道に知識や経験を積み重ねていく中で、原状回復工事がキャッシュフローを圧縮する要因となっていることに気付いたのです。同じように不動産投資を行う方々に対しコストを抑えて原状回復工事を提供することを目的に、親が代表を務めていた異業種の法人を引き継いで不動産会社として始動したのが2009年のことです」
 不動産の賃貸経営を行うにあたり、リフォームや原状回復工事は大きなコスト負担を伴う。特に不動産管理会社を介して原状回復工事を発注すると、中間マージンが発生してしまうことから思わぬ高額請求を負担しなければならないケースもあるという。北村氏は現在も自身で保有している物件については自社管理を徹底し、質の高いリフォームや原状回復工事をより多くの大家に提供したいという思いから、今回の「職人ダイレクト」のサイト開設に至った。
 アパート・マンション大家は「職人ダイレクト」の利用に関する費用は無料。職人側は初期費用1万6500円のほか、月額8800円で何度でも大家側とのダイレクトなやり取りが可能となる。工事品目はクロスやタイルの張替えといった内装工事から、ハウスクリーニング、電気工事、大工工事など種類豊富で、現在「職人ダイレクト」に登録している職人は130名余り。従来の不動産管理会社を通じて工事を発注するケースに比べ、平均で2~3割のコストダウンを実現するそうだ。北村氏は「来年5月までに職人の登録数3000名を目指したい」と意気込む。サイトの利用者は工事終了後に担当した職人の評価を書き込める機能があり、職人が手掛ける工事の品質を担保。今後はサイトに登録している大家に対して、職人側から直接アプローチできる機能の実装を予定しているとのこと。資材価格の高騰、職人不足の問題が長らく続く状況ではあるが、少しでもコストを抑えて質の高い工事を求める大家は同サイトを活用してみてはいかがだろうか。

外壁洗浄フランチャイズ 開始3ヵ月で20店舗突破
 山口県下関市に本社を構えるPLジャパンは、高品質塗料の開発・販売・施工を中心に展開している。今年6月には住宅の外壁洗浄に特化したフランチャイズ事業「ガイヘキ洗浄バスターズ」を全国規模で始めた。
 PLジャパンの開発・販売している高品質塗料は、超耐久性の「無機ハイブリッドチタンガードシリーズ」。国内でも最も気象条件が厳しいと言われる、沖縄県宮古島の屋外暴露試験で他社製品を抑え品質の高さを証明した塗料だ。紫外線、塩害、高温多湿が影響し本土と比較して劣化速度が早いため「3年維持できれば良い」と言われるが、同社製品の場合3倍の約9年経過しても品質を持続した。耐久性や品質の高さは土木の領域で培った技術力が生かされている。PLジャパンはトンネルや橋梁で使用する製品も製造・販売を行っている。土木業界は建築(戸建て・ビル・マンション他)よりも規格や審査基準が厳しい。その高品質を保ちながら建築用に使いやすく改良したのが同社の製品だ。
 そんなPLジャパンが外壁洗浄サービスのFCを今年6月から開始した。背景には住宅メンテナンス市場の拡大に伴い、外壁洗浄サービスの需要高騰があった。しかし外壁洗浄事業は、専門知識や高額な初期投資が必要。参入したくともできない企業は多く、特に中小規模の施工会社やリフォーム会社は多いとのこと。同社はこの課題に着目。既存事業の収益性向上や新規事業開拓の機会創出、住宅メンテナンス市場への低リスクの参入などを特徴に、FC事業の「ガイヘキ洗浄バスターズ」を企画した。洗浄液は独自開発の「ヨゴレバスター」と「カビバスター」の2種を汚れの種類や程度に合わせて使用。植物や人体に影響のない洗浄液で、低臭も強み。初期投資を抑えつつ安定した高収益を見込める事業モデルとしてFC加盟店を募っている。現在のFC加盟店は23店だ。
 東京本部 OFFICEの仲秋達矢氏は、自社の外壁洗浄技術について次のように語った。「特徴は施工スピードの早さ、クオリティ、経済性の3つです。戸建てをはじめとする物件の大半は、新築から5年経過すると外壁に汚れが見えてきます。改めて塗り替える場合、昨今の人出不足などが影響し施工費用は高額なことが多いです。しかし当社の洗浄サービスを利用すれば、塗り替え費用の10分の1程度でカビ、コケ、藻、雨染み等を除去できます。施工後のアフターサービス(定期的な洗浄・メンテナンスの提案など)も充実しています。料金は980円/㎡~で、その他に別途基本料金1980が発生します。施工面積30㎡(外壁1面)の場合、『980円×30㎡=2万9400円』に基本料金がプラスされた金額です。分かりやすさとリーズナブルな価格が利用者から好評です」(仲秋氏)
 注意点は建物の規模と立地環境。洗浄作業は足場が必要なく、伸縮性のポールブラシを利用して地上3階までなら対応できる。また都市部のオフィス・店舗エリアのように、物件が密集および隣接する環境では施工が難しい。物件の周辺に、ある程度作業できるスペースが必要になる。同サービスの利用者と共に、FC加盟店も増やしていく姿勢だ。

個人のセルフリノベーション 工務店がバックアップ
 店舗の設計・施工、デザインを手掛けるTSUDA CONSTRUCTION COMPANY(大阪市東淀川区)は、店舗経営者や個人のセルフリノベーションをプロの工務店がサポートするサービス「教えて!工務店」を展開している。
 「教えて!工務店」は、住まいや店舗などの内装のセルフリノベーションをサポートする事業。図面と工程表をプロの設計士が作成し、効率的に作業ができるように知識と技術でサポート。飲食店等の店舗のオーナーを目指す人や民泊や借家の運営者、自分の家をリフォームしたい人などにおすすめのサービスという。工務店へ依頼すると500万円だったリノベーション費用を、半額の250万円まで下げられた実績がある。工事代金を抑えつつ、無駄な時間の削減になる「工務店とセルフリノベーションのいいトコ取り」のサービスとしている。
 図面と工程表は、同社の設計士が利用者のニーズをヒアリングして作成。材料や道具もプランに合ったものをプロの目で選び、作業に合った電動工具を貸し出すので、工具を購入する必要もない。手順がわからず無駄な工程に時間がかかったり、使わない工具や材料に余計なお金がかかったりといった問題を解決する。
 電動工具の使い方や基本的な工事手順を学べるワークショップも用意。実際にトレーニングも行うため、リノベーションやDIYが初めてでも安心して利用できる。工事も専門スタッフがサポートし、指導しながら安全に行える。分からない部分があればいつでも相談可能で、電気工事や設備の設置といった専門的な工事は同社の職人が行う。自分でできる部分とプロに任せる部分を効率的に分担し、安全かつ確実にリノベーションを進められる。
 同社では建設業界で深刻化する大工不足を念頭に、「『教えて!工務店』はセルフリノベーションを軸としているため、修繕が必要になった時でも、専門的な工事以外であれば自分で対応できるというメリットがあります。これを広めることで、生活者の住まいの問題を解決しながら、大工不足問題の解決に貢献できればと考えています」としている。




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