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三菱地所 国内初の気候テックイノベーション拠点開業 官民の垣根を越えた気候変動対策の場に

2024.10.07 12:09

 三菱地所(東京都千代田区)は今月1日、温室効果ガス削減などの気候変動対策を目的とした気候テック国内初拠点「0 Club(ゼロクラブ)」を開業した。
 所在地は東京メトロ「大手町」駅直通のオフィスビル「新大手町ビル」内。オフィスの延べ面積は1800㎡に上る。同社では2022年10月、東京大学と産学協創協定を締結。大丸有エリアにおける次世代のまちづくり、スタートアップの成長環境の整備等を目指していたことが背景にある。
 オフィスは「我慢しないサステナビリティ」を設計コンセプトに据えた。フロアの改修時に使ったコンクリート打設時の木枠を再利用したデスクなど、アップサイクルした素材の活用を進めた。2~50名までの什器付き個室を39室用意し、ラウンジ、会議室、フォンブース等を設けたほか、ランチやケータリングにも使用できるカフェを併設。官民の垣根を越えたコミュニティの形成と事業連携を目指していく。
 多くの大企業が拠点を構える丸の内に、スタートアップや金融機関、研究機関、官公庁といった気候変動対策に関わる事業者が集積することで、国内のカーボンニュートラルに向けた取り組みの加速を目指す。東京大学に加え、グリーン電力事業等を行うクリーンエナジーコネクト(東京都千代田区)、企業と研究者のマッチングを支援するアークレブ(東京都港区)とも連携する。
 先月27日に行われた記者説明会の中で、三菱地所の執行役常務 荒木治彦氏は「コロナ禍を経て対面でのコミュニケーションの大切さが認識されたことも後押しし、当エリアに対する事務所開設ニーズは強くなっています。片や私たちはまとまった空室ができた際、てっとり早く賃料収入を得るのではなく、地球レベルの環境負荷低減に尽力したいと思案しまして、当拠点の開設にいたりました」と話した。

「xLINK大手町」増床 共有スペースを充実化
 三菱地所は今回、昨今のフレキシブルオフィスのニーズの高まりを受けて「新大手町ビル」のリニューアルも図った。1958年竣工の同ビルは、2001年に全館リニューアルを実施。2018年には3階にフレキシブルオフィス「xLINK(クロスリンク)大手町」を開設。同年には9階で約898㎡の増床を行っていた。
 コンセプトには中庭を意味する「Patio」を掲げる。エレベーターホールは共有ラウンジとデザイントーンを統一することで、フロア全体の一体的な世界観を演出した。
 リニューアルに伴い3期増床も計画。188㎡を増床し、延床面積約2522㎡の広大なスペースを確保した。30名を収容できるイベントスペースや集中ブース、キッチンエリアなどの機能が追加される。




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