不動産トピックス
【11/4号・今週の最終面特集】ポテンシャルは都内随一 発展つづく品川・高輪の未来
2024.11.04 11:27
大型再開発相次ぐ注目エリア 大手企業のオフィス移転も加速
リニア建設で交通利便性向上 国内外から人々が集まる拠点づくり
東京都心の中で、今後再開発によって最も街の変化が起きるとされている品川エリア。構想段階の計画も含めれば、「品川」駅の東西で大型の再開発が計画され、隣接する「高輪ゲートウェイ」駅前では来年3月の街びらきを控えている。リニア新幹線の建設でますます利便性が高まるこの地域の最新動向を紹介する。
街びらきまで150日 高輪ゲートウェイシティ
東日本旅客鉄道(東京都渋谷区、JR東日本)がJR「高輪ゲートウェイ」駅周辺で開発を進めている「TAKANAWA GATEWAY CITY」が、2025年3月27日に街びらきを迎える。街びらきの150日前にあたる先月30日には記者発表会が開催され、開発の進捗や今後の計画について報告がなされた。
「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、品川車両基地の跡地において展開されている大規模再開発街区で、区域面積は9・5ha、南北約1・6kmにわたる敷地に超高層複合ビルやタワーマンション、文化施設等を建設するものである。1872年に日本で初めて鉄道が開業した際、高輪付近は海の上に築堤が整備され、今回の開発では土中からこの築堤が発掘されている。約150年前にこの地でイノベーションが生まれた歴史を持つことから、JR東日本では街全体を「100年先の心豊かなくらしのための実験場」と位置づけ、街の中で様々な社会課題の解決への取り組みが実践されることになる。
来年3月27日の街びらきでは、「高輪ゲートウェイ」駅の全面開業ならびに駅前に位置するツインタワー「THE LINKPILLAR 1」が開業となる。「THE LINKPILLAR 1」には街の共創パートナーであるKDDIやマルハニチロをはじめとする大手企業が本社オフィスを構え、国際会議の誘致が可能な大規模コンベンション・カンファレンス施設が整備される。また、SOUTH棟の高層階にはラグジュアリーホテル「JWマリオット・ホテル東京」が首都圏で初の出店を予定。このほか、約200のショップで構成される商業施設「ニュウマン高輪」が来年3月の街びらき時に一部先行開業し、秋に全面開業を控えている。
「TAKANAWA GATEWAY CITY」で行われる取り組みについて、JR東日本の喜勢陽一社長は「地球益」をキーワードに挙げる。地球益とは、地球に対する負荷が高いこれまでの経済活動を見直し、地球と人間が調和する利益を目指すことを意味する。この地球益の実現に向けて軸に据えるのが「人財・叡智」、「医療」、「水素・GX」の3点である。
「少子化や優秀な人財や才能の海外への流出といった社会課題に対して、国際的な教育者を集結させた人財・叡智のプラットフォームを形成することで、埋もれた才能や専門領域を発掘し、秀でた才能の伸長を目指します。また、重大な疾病を早期発見できる予防医療拠点の整備、2050年ゼロカーボンに向けた水素の積極的な利活用により、街が標榜する『100年先の心豊かなくらし』を実現して参ります」(喜勢氏)
総事業費は約6000億円(見込み)、都内最大級とされる本プロジェクトでは、来年3月以降も計画中の建物は順次完成し、2026年春にはグランドオープンを迎える予定だ。国内外の人々をつなぐ未来の交流拠点として、早くも注目が集まっている。
品川エリアで15年ぶり30階建て以上のタワーマンション
日鉄興和不動産(東京都港区)、関電不動産開発(大阪市北区)、九州旅客鉄道(福岡市博多区)、京浜急行電鉄(横浜市西区)、中央日本土地建物(東京都千代田区)は、港区港南3丁目にて地上34階建て、総戸数815戸の超高層タワーマンション「リビオタワー品川」の建設を行っている。今月2日には、JR「品川」駅前の「品川グランドセントラルタワー」22階にゲストサロンをオープンした。
「リビオタワー品川」は、JR「品川」駅を最寄りとする超高層タワーマンション(地上30階建て以上)としては、15年ぶりの新規供給となる。そのため本年2月のエントリー受付開始から多くの反響が寄せられ、現在までのエントリー数は1万4000件超を記録している。物件は「品川」駅から徒歩13分に位置し、「高輪ゲートウェイ」駅への歩行者専用通路が完成すれば、同駅へのアクセスも容易となる。建物の外観デザインは、東京湾の水辺に近接したロケーションを考慮し、時代を先導する船をデザインコンセプトとした。内部にはスカイラウンジやワークラウンジといった、様々な共用施設を整備。このほか、居住者専用のシャトルバスの運行や、フィットネスラウンジ・ゴルフレンジの設置など、幅広いホスピタリティで居住者の生活をサポートする。間取りは1~3LDK、専有面積は約42~130㎡となっている。
環境への取り組みにも積極的で、「リビオタワー品川」では快適性と省エネ性を両立する「ZEH-M Oriented」の基準を満たし、生物多様性保全に配慮した「ABINC認証」、緑の取り組みを評価する「SEGES認定制度」を取得。また、地球環境に配慮する認定低炭素住宅の認証を取得するなど、未来を見据えた住まいの環境性能を整える。日鉄興和不動産の住宅事業本部、井上慎也再開発推進部長は「当社のマンションブランド『LIVIO』は、ホスピタリティ、高い品質、優れた立地、機能性と美しさの4つのバリューを提供価値に据えております。『リビオタワー品川』は再開発が各所で計画されている品川エリアで15年ぶりとなる超高層タワーマンションとして、早くから注目をいただいております。本物件に関心を寄せるお客様は港区や中央区といった東京都心にお住まいの方が中心で、30代のパワーカップルの割合は想定以上に多い印象です」と述べる。
共用部には廃材などを使用したアートワークを展示するなど、サステナブルな建物づくりにも注力している点が本物件も大きな特徴といえるだろう。