不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2019.01.08 14:04
フェリーチェが東京で新ブランド始動 新しいスタイルを提案し他社との差別化を図る
「ホテルリリーフ」、「リリーフプレミアム」、「ホテルストーク」、「ホテルフェリーチェ」ブランドでデザイナーズホテルを展開しているフェリーチェ(東京都港区)では12月、「イチホテル神田」(東京都千代田区)を開業させた。
「イチホテル神田」 ”街”意識した造り
同ホテルは、JR「神田」駅より徒歩約3分に位置、客室はシングル32室・ダブル62室・デラックスダブル4室・デラックスツイン1室・ツインルーム32室の合計全131室。「ONE EYE"Another Journey もうひとつの世界"」がテーマで、大森真社長は話す。「神田エリアはその昔、鍛冶打ちの街として栄えてきました。職人たちはまるでルーペをのぞくように片目をつぶって鉄の温度を正確に測っていたそうです。こうした物語をロビーはじめ随所にデザインとして取り入れています。設計に当たっては様々な新進気鋭のデザイナーの方にも協力していただきました」。
客室はグループゲストやファミリーのゲストに向け、2室の行き来を可能とした「コネクティングルーム」を配置。荷物の多いインバウンドのゲストを想定して、キャリーバックを置くスペースを確保した。シングルルームはベッド下や壁面が収納家具になっており、コンパクトな中にも空間を有効に生かす工夫を施している。
また、ウルトラファインバブルを発生させるクレンジングミストシャワー「ミラブル」を装備したバスルームを全室完備した。これはファインバブル技術のアプリケーション開発メーカー サイエンス(大阪府大阪市)が開発したもの。ISO国際基準規格にも定められた0.001ミリ以下の極めて微細な気泡(ウルトラファインバブル)を作りだすシャワーヘッドで、シャワーを浴びるだけでウルトラファインバブルが毛穴まで浸透。肌に負担をかけることなく汚れや臭いを除去する。
さらに泡の力で肌の潤いが増し、血流が促進されるので、カラダの内側からも健やかさを保つことができるという。「女性や敏感肌の方、頭皮や臭いが気になる方、冷え性のゲストなど、お子様から大人まで、ゲストすべてに普通に泊まるだけでキレイになって、気持ちの良い1日を迎えていただけます」(同社)。
客室には日本語・英語・中国語・韓国語・タイ語・スペイン語の6カ国対応ルームコントロールタブレットを常設。レストラン、ランドリーの混雑状況がひと目でわかるほか、内線電話、目覚まし、貸し出し備品の申し込みなど各種サービス問い合わせが可能となる。インバウンドにとってわかりづらいテレビリモコンの操作説明も見ることができる。
1階にはオールデーダイニング「イージーポイント」を設置。「気軽に簡単に、リーズナブルに」利用できる24時間OPENのカフェレストランとなる。早朝の出発や深夜の到着など便利に利用できる場を目指していく。
2012年から始動 出店ペースが加速
同社ではこの「イチ」ブランドを昨年、「イチホテル上野新御徒町」(東京都台東区)、「イチホテル赤坂」(東京都港区)と相次いで開業させた。これは「利便性が高く駅からスグの便利な位置(イチ)」、「ここでしか体験できないオンリー1のおもてなし」、「リーズナブルで使いやすい」をコンセプトにしたもの。「ホテルが建つ街の歴史や文化、人々の活気ある息吹をホテル滞在に体現してもらおうと考えています。第一号となる『イチホテル上野新御徒町』は森、11月にオープンした『イチホテル赤坂』は石畳、そして『イチホテル神田』は鉄をモチーフにしています。それぞれその土地の歴史にインスパイアされたデザイン造りに注力しました。そのため同じブランドでも同じものはありません」(大森社長)という。
同社は2012年に、沖縄県那覇市に「ホテルストーク」を開業したのを皮切りに、各地で相次いでオープンさせてきた。昨年からは更に出店ペースを加速させ、現在、沖縄・大阪・東京などで11店舗を展開している。
「2025年までに30店舗の店を計画しています。そのため今後も年3~4棟のペースで出店を進めていきます」(大森社長)
前HIS社長が手掛けるインバウンド中心施設
旅行大手エイチ・アイ・エス前社長の平林朗氏が設立したJHAT(東京都港区)がホテル事業に乗り出した。
昨年10月、第一号店として東京・豊洲に「hotel MONday Toyosu」を開業させた。同ホテルは、地下鉄「豊洲」駅から徒歩10分に位置し、地上13階建て、客室数は263室。うちシングルルームは20部屋。大浴場を備える代わりに客室の60%はシャワーブースのみだ。客室は小上がりの畳敷となっており、下部は荷物の収納スペースとなっている。全室で無料貸出スマートフォンであるhandyも設置している。無料で宿泊者が通話や観光情報の取得などができる端末によって、顧客満足度向上を図る。
同社は既に2月には西葛西でのオープンも控えているほか、2020年2月には浅草橋、3月には浅草言問通り、4月は御徒町、7月京都東九条、8月京都烏丸通りを開業させる。この他にも計画しているものも含めると15施設のプロジェクトを抱えている。
同社はまた、外国人人材の教育と、外部の施設への紹介・派遣事業を展開していく計画。実際、「hotel MONday Toyosu」のスタッフも14名のうち8名が中国、台湾、韓国、インドネシア、ベトナム、タイなど海外で採用をした人材だ。まずは自社運営施設で経験を積ませてから事業を展開していきたいという。
中古マンションをコンバージョン
サン・クレア(広島県福山市)は、「福山」駅から徒歩3分の場所にある中古マンションをコンバージョン、「国内外のお客様と広島・福山のカルチャーをアンカリングする(繋がっていく)場所」をコンセプトとしたホテル&バー「ANCHOR HOTEL FUKUYAMA(アンカーホテル福山)」を12月15日に開業した。
同施設は18㎡のクイーンベッドルーム34室、36㎡のペントハウス1室の合計35室。
福山市の建築家・西村崇氏を起用し、アートディレクターの飯島広昭氏がプロデュースを務める。広島・福山を代表する伝統産業の新しいデザイン&カルチャーの発信の場と捉え、ファブリックから家具に至るまで地元の伝統産業とのコラボレーションにより誕生したオリジナルプロダクトを使用している。
福山市が日本屈指の生産量を誇るデニム素材、地域経済の主力を担う鉄鋼・造船などの地域産業を観光ブランド創出のキーワードと捉え、福山の今と伝統文化に見て、触れてもらえる空間を提供していきたいという。
また、一階のバーの運営や観光アクティビティ、地元大学とのコラボイベントを通じて、宿泊客と地元の人との自然なコミュニケーションの場を創出し、新しい観光体験を提供していく。
ビッグデータに基づく宿泊施設運営をスタート
メタップスのグループ会社で、ビックデータを活用した宿泊施設の開業支援・運営を手がけるVSbias(東京都港区)では、新たに宿泊施設事業に進出した。
富士山の麓、富士河口湖町に「Dot Hostel & Bar」を、2019年1月にオープン。同施設は、宿泊施設ブランド「Dot」の第一号施設となる。
同社では外国人観光客はもちろん、友人・家族など複数人の旅行ニーズの増加を見込み、2017年12月に同エリアに10人で1棟貸切が可能な宿泊施設をテスト的にオープン。同施設がある富士東部エリアは、4人以上での宿泊比率が全体の5割程度と非常に高いことから、このエリアの宿泊事業の可能性を高く感じたという。
そこで、同エリアでの需要に合わせ、コンセプト、レイアウト、デザイン、インテリア、細部のコンテンツに至るまで、同社のデータ分析、運営で培ったノウハウを基に自社で企画を行い、この度ホテルを開業することとなったもの。
同社は「テクノロジーによる空間価値の最大化」というミッションを掲げ、テクノロジーの力を駆使し、空間資産を運用する顧客と空間を利用する顧客をサポートしていく。
横浜ロイヤルパークホテルが最上階を改装
横浜ロイヤルパークホテル(神奈川県横浜市)は、65階から67階の客室最上部3フロアを改装し、2019年3月にリニューアルオープンさせる。
同ホテルは、2018年1月から3月に実施した第一期と今回の第二期により、60階から67階と高層階に位置する「スカイリゾートフロア」の改装が完了し、1ランク上のラグジュアリーホテルとして運営していくこととなった。
「スカイリゾートフロア」は、このリニューアルを期に、フロア名にも統一名称・スカイリゾートフロアを付け、その後に「ザ・クラブ」「ザ・トップ」「アトリエ」という個別名称を続けることで、個々の違いを出していく。