週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
トヨタの実証都市「ウーブン・シティ」今秋始動 2000人が暮らす”街の形をしたテストコース”へ一歩
2025.01.13 12:03
トヨタ自動車(愛知県豊田市、トヨタ)は、自動運転車のテストコースなどを中心とした実証街区「Toyota Woven City(ウーブン・シティ)」のフェーズ1の建築が完了し、2025年秋以降の始動に向けた準備を本格化すると発表した。
開発地は静岡県裾野市御宿のトヨタ自動車東日本東富士工場跡地。現在の敷地面積は約5万㎡で、将来的には約70万8000㎡まで拡大させる。2020年1月7日にコンセプトを発表し、21年3月に造成工事を開始。24年10月31日にフェーズ1を竣工させた。
ウーブン・シティは「ヒト中心の街・実証実験の街・未完成の街」をコンセプトとした街区で、一種の実験都市。トヨタでは「街の形をしたテストコース」と位置づける。街区内には研究開発拠点などを整備するほか、旧工場を一部残してものづくりの起点として活用すべく、リノベーション工事中で、フェーズ2の造成工事も開始している。
トヨタグループ以外のスタートアップや研究機関、企業などからも参画企業を募っており、これまでにENEOS(東京都千代田区)、日本電信電話(東京都千代田区)、リンナイ(名古屋市中川区)、ダイキン工業(大阪市北区)、ダイドードリンコ(大阪市北区)、日清食品(東京都新宿区)、UCCジャパン(神戸市中央区)、増進会ホールディングス(静岡県三島市)が参加を表明。参画企業には「Inventors(インベンターズ/発明家)」としてプロダクトやサービスを生み出し、実証を行う場として活用してもらう構想だ。
街区内には実際に人が住む。今秋の始動時点ではトヨタグループの関係者とその家族など100名程度が住むことを想定しており、その後社外のインベンターズやその家族などに少しずつ拡大。フェーズ1エリアでは最終的に約360名を予定しており、将来は2000名程度となる予定。2026年度以降は住民やインベンターズ以外の一般者も実証に参加する予定としている。
トヨタでは、グループが長年培ってきたものづくりの知見やソフトウェアのスキルなどの強みを生かしたツールやサービスなどのしくみを社外のインベンターズに活用してもらい、社会課題の解決や未来のための新価値創造をサポート。住民やビジターからのフィードバックを受けながら、様々なコラボレーションを通じ、未来につながるイノベーションを生み出していくとしている。
トヨタの豊田章男会長は発表会で「クルマのテストドライバーと同様に、ウーブン・シティの住民には、インベンターが開発した新しいプロダクトやサービスを体験していただき、未来を共に紡いでいく大切な役割を担っていただきます。ウーブン・シティではコラボレーションが全てです。多様な視点や才能、能力を一つの布に一緒に織り込み、私たちの未来の当たり前をつくるチャンスです」とコメントし、「その未来で、私たちはヒトの移動だけではなく、心も動かしたいと考えています」と意気込みを見せた。