不動産トピックス

クローズアップ インバウンド対応編

2017.06.19 11:05

 訪日観光客が増加するなかでネックとなっているのが言語対応。ホテル業界でも海外のOJTサイトに登録しているのは3割ほどという。インバウンドを取り込もうとしているオーナー層は最新の対応策を知っておきたい。

トーキョーサンマルナナ 浅草駅前に「カミナリラウンジ」開設 訪日観光客向けデバイス「Tomaruyo」展開へ
 トーキョーサンマルナナ(東京都世田谷区)は今月より東京メトロ銀座線・都営浅草線「浅草」駅から徒歩5分の場所に立地する「メッツみやじま」2階に「カミナリラウンジ」を開設した。
 休日・平日問わず多くの外国人観光客が訪れる浅草。都内有数の観光地であるだけに、現在でもホテルオープンが続くとともに、大手事業者が開発を進めている案件もある。そのなかで今回の「カミナリラウンジ」は訪日観光客向けにリアル店舗として外貨両替や荷物預かり、将来的にはレンタサイクルなどのサービスを提供していくとともに、スペースを利用してインバウンド向けの文化体験など、訪日観光客向けのイベントも行っていく予定だ。
 「そのサービスの一環として目玉となるのが、当社が開発した訪日観光客向けデバイス『Tomaruyo』です」と話すのは代表取締役の八坂太洋氏。「Tomaruyo」は訪日観光客にコンシェルジュサービスを提供するものとなっていて、通話サービスを利用しての外国語と日本語の通訳や、浅草エリア内のおすすめスポットの案内などを行う。6月より実証的な運用を開始していて、実証が終了する9月以降に本格的な運用を行っていくことになるという。
 「『Tomaruyo』のサービスを開始したきっかけはホテル観光業界が訪日観光客需要の取り組みに積極的な反面、言語の壁に行き詰まっていることが多いからです。実は日本のホテル・旅館などの宿泊施設で海外のOJTサイト(集客サイト)に登録している施設数は全体の3割程度しかありません。登録を行っていない事業者が挙げる理由の大半は言語対応の懸念からなのです。同様の問題は物販店舗や飲食店舗でも挙げることができます。今回の『Tomaruyo』はこの課題を解消するひとつのツールになるのではないかと考えています」(八坂氏)
 現在は実証実験の段階だが、すでにホテル側からは好評を得ているという。中堅・中小のホテル・旅館への導入が主なメーンとなるが、「大手のチェーンからも導入に向けた交渉が進んでいる」とのこと。ハコを増やしても肝心の対応ができてない業界の現状が垣間見えるが、そのような業界にとって今回の「Tomaruyo」は待望のサービスとなりそうだ。
 当面は浅草エリア限定のサービス展開となるが、「エリアの拡大、全国展開を視野にいれている」と八坂氏。ハコの対応だけではなく、訪日観光客への「おもてなし」を具体的に行っていくための術としても活用の機会は多そうだ。

インベスターズクラウド/iVacation 参入企業向けに「民泊ビジネスパッケージ
」を展開~ビジネスチャンス到来の宿泊事業~
 インベスターズクラウド(東京都港区)は、子会社であるiVacation(東京都港区)とともに企業の民泊事業をサポートするIoTを活用した「民泊ビジネスパッケージ」として土地探しから企画運営までワンストップで対応する法人向けサービスを2月23日より開始している。
 民泊ビジネスパッケージは土地を保有している企業から土地を保有していない企業へも提案、企業ブランドを活用した物件の企画、施行、また「TATERU Phone」のカスタマイズによる企業オリジナルのIoTデバイスを使用した運営と宿泊者へのサービスを提供し、スマート民泊の推進につなげていく。
 「TATERU Phone」は宿泊者にレンタルし、快適に過ごせるIoTデバイスで、シームレスにサービスを体験できるだけでなく、ホストサイドの民泊オペレーションの提供も行う。通常ホテルなどに宿泊するようなフロント業務を「TATERU Phone」を通じてスマート化し、予約の受付から滞在中の対応、宿泊後のフォローなど、ゲストが快適に過ごせるサポートや多言語対応のトリップコンシェルジュがチャットにて海外からの顧客の要望に応えていく。


ピースポーク 訪日外国人の質問にいつでも対応できる「Bebot」初の中国語サービス提供を開始
 ピースポーク(東京都渋谷区)は今月10日より訪日外国人向けAI(人工知能)チャットコンシェルジュ「Bebot」のサービス提供を中国語にて開始します。「Bebot」では初の中国語での提供となる。
 2016年に日本で初めて訪日外国人向けホテルコンシェルジュ業務をAIで対応可能にした「Bebot」は365日いつでも訪日外国人の質問やリクエストにリアルタイムで多言語対応することができチャットボット。これまでは英語を中心とした言語に対応してきたが、このたび中国語で対応するAIコンシェルジュサービスの提供を開始することとなった。
 「Bebot」はスマートフォンを介して訪日外国人へ道案内からレストランの予約など、旅行中に発生する様々な質問やリクエストにリアルタイムで多言語対応するAIチャットポットです。訪日外国人からの質問やリクエストにコンピューターが自動で応えることを可能にした。利用施設はサービス開始時に「Bebot」へアクセスするためのコードを付与し、外国人宿泊客は自身のスマートフォンから普段利用しているメッセージングツール(Facebook Messenger等)を利用して、サービス終了時までいつでもチャットで「Bebot」への相談が可能となる。




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