不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2019.01.21 11:53

ベッセルホテル開発 3月に千葉、12月は熊本へ 2020年まで30棟、海外進出も視野に

 ベッセルグループ(広島県福山市)は、主に「ベッセルイン」「ベッセルホテル」「ベッセルホテル カンパーナ」と3つのブランドを全国で展開、現在21棟が稼働している。同社は「2020年までに30棟体制」を目標にしているが、このペースでいけば十分クリアできそうだ。ホテル開発・運営の中核を担うベッセルホテル開発(同)の瀬尾吉郎社長に話を聞いた。

全国で21棟を展開 3月には千葉駅前に
ーホテル事業を展開するにあたって「全国で30店舗体制」を目標にしてきましたが、十分視野に入ってきました。
瀬尾 2018年は「ベッセルホテル カンパーナ名古屋」、「ベッセルイン栄駅前」と名古屋に2棟出店しました。現在全国21棟です。今年は3月に「ベッセルイン千葉駅前」を皮切りに、5月には札幌で「ベッセルホテル カンパーナすすきの」、12月には「ベッセルイン熊本新市街」の開業が控えています。2020年には全国の政令指定都市、中核市に30棟という目標は達成しそうです。
ー今年竣工する物件も駅近で好立地です。
瀬尾 「ベッセルイン千葉駅前」はJR千葉駅徒歩4分に位置し、施主は東急建設です。鉄筋コンクリート造14階建てで、客室は全172室。シングルルームのほか、ツイン・トリプルルームも用意し、ファミリー層の利用も期待しています。一方、「ベッセルイン熊本新市街」は、2004年に開業した「ベッセルホテル熊本空港」に続き熊本で2棟目になります。客室数は全225室で、1階がテナント、2階以上がホテルの複合ビルとなります。シングルルームに、シャワーブースの客室とユニットバスを設けた客室を用意し、フォースルームは、広々とした客室に露天風呂を備えているのが特徴です。
ー既に2020年には沖縄で本館・別館含めて227室の計画も発表されています。
瀬尾 沖縄2棟は「ベッセルリゾート」の名を冠しています。「リゾート」の名にふさわしく、別館ではキッチンやプールのついた客室も用意し、ロングステイでも対応します。広さも24㎡~173㎡とバリエーションに富んであり、メゾネットの客室・専用プール付き客室、温泉付き客室等特徴のある空間構成が特徴となっています。最上階には、プール・ジャグジー・ネックシャワー・アウトサイドリビング・バー・スパ・大浴場・温泉等、大人から子供までリゾートを楽しめる「大型バーデゾーン」を目指しました。
ー他にも関東エリア、関西エリアで続々と決まってきました。
瀬尾 2020年という区切りはもちろん、2021年以降も夏ごろには四国で初進出となる「ベッセル松山市駅ホテル(仮称)」208室も決定しています。「福山ニューキャッスルホテル」を加えれば現在、公表できるものだけで28ホテル4396室となります。
複数所有する土地オーナーも
ー御社は1974年、福山キャッスルホテルからホテル事業をスタートさせ、その後ロードサイド店を中心に展開してきました。2010年に「ベッセル」ブランドに名称変更して以降、全国進出を加速しています。この2~3年は大手デベロッパーとの協業が目立ちます。
瀬尾 確かに数が増えるにつれて大手デベロッパーとの協業も増えてきました。これは多店舗化を進めることによってブランド力も同時に高まってき証拠でしょう。当グループは90年以上の歴史がありますが、広島県福山市のいち地方企業が全国展開していくためには、パートナー企業との協業が不可欠でした。ここ数年、地道な営業と実績を高めたことで、今ではゼネコン・不動産会社・鉄道会社・投資ファンドなどとのパイプが固まり、優良な土地の情報が入手できるようになりました。これが出店スピードを速める要因になっているのです。
ー既存店も高稼働なことから2棟目・3棟目を手掛けるオーナーも増えている。
瀬尾 実際、3月に開業する千葉駅店はNTTグループがオーナーなのですが、弊社ホテルの実績を踏まえて多店舗化していただいたものです。この数年間の当社の取り組みがオーナーや投資家との絆を強めていると自負しています。この他にも様々な企業からお声がかかっています。
ー企業の遊休地活用によるものが多い。
瀬尾 企業に限らず、個人の方の相続税対策としてのご協力も可能です。
ーこれまでの施設は新築が殆どです。
瀬尾 もちろん、既存ホテルの再生にも対応していきます。その場合は人口30万人以上の都市で、客室数80室以上が基準です。一方、新築ならば、主要駅から徒歩5分圏内で、客室数130室などが条件です。既存物件の取得や賃貸借、運営受託など様々な契約形態によって出店を加速させていきたいと考えています。
企業の遊休地から個人地主活用まで
ー今後も多店舗展開していくうえで「ベッセル」以外の新たなブランドを展開していく計画は。
瀬尾 チェーン店にとってはブランド力の浸透が重要ですので、基本的には「ベッセル」ブランドを踏襲していきます。条件や立地によってブランドを選択していますが、例えば「ベッセルホテル カンパーナ」は、客室の広さはもちろん、細部にわたりゆとりの演出と快適性を追求しているものです。 ー2020年以降の展望は。
瀬尾 当社が手掛けるホテル事業は2020年以降も積極的に多店舗化を進めていきます。当面は50店舗が目標になります。また今後は、海外への進出も視野に入れています。具体的にはミャンマーなどのアジア圏内になると思います。実際、いくつか案件も上がっており、しばらくすれば発表ができるでしょう。

東ビルエンタープライズ ライフスタイルホテルをスタート
 東ビルエンタープライズ(大阪府大阪市)では、初のライフスタイルホテル「hotel it.(ホテルイット.)」の展開をスタートさせる。第1 弾として「hotel it.osaka shinmachi」を春にオープンさせる計画だ。
 同施設は大阪メトロ千日前線・長堀鶴見緑地線「西長堀」駅より徒歩2 分に位置、客室数は全160室。フロア構成は1階エントランス、4階フロント・ラウンジ・バー・レストラン、5~11階が客室となる。
 同社は1934年創業の河野商店を原点とし、大阪の商人文化を継承する船場を拠点に繊維業を営んできた。現在の事業領域は繊維業からホテル・不動産業へと変遷しており、同社が初めて手がけるライフスタイルホテル「hotel it.」は、これまで培ってきたホテル開発・運営のノウハウと、同社のDNAである「紡ぐ力」を掛け合わせ、新たなにぎわいを創出して地域の価値を高める「地域貢献型ホテル」。
 「hotel it.」は、同社創業の地である大阪からスタートする。ボタニカルな空間が特徴のラウンジ「it. living」は、ホテルでは世界初となる超音波技術を活用したサラウンドと世界最高峰のサウンドシステムを組み合わせた居心地の良い空間を演出。常設のアートウォールでは、「紡ぐ」をテーマにしたさまざまなポップアップを展開し、こだわりのあるパーティやイベントなど、多彩な用途に対応する。4階の「it. bar」は、ラウンジと合わせて、旅行客だけでなくノマドワーカーや地域の方々が気軽に集うことのできる空間となる。新鮮な食材を薪窯で調理したイタリアンを提供するレストラン「it.dining」では、大阪らしさも取り入れた多彩なメニューを提供する。客室はエディターズルームをはじめ、 3名で宿泊できるコンフォートルーム、4名から6名まで宿泊できるファミリールーム、更に居心地の良さを追求したプレミアルームまで、ゲストのニーズに合わせた多様なスタイルでの宿泊が可能だ。

鴨川グランドホテルがリニューアル フロント・ロビー・プレミアムフロア新設
 鴨川グランドホテル(千葉県鴨川市)は、温泉リゾートホテル「鴨川グランドホテル」(同)をリニューアルオープンさせた。
 2018年4月から12月にかけて実施した耐震補強工事がすべて完了したもので、フロント&ロビーの改装工事、プレミアムフロアの改装工事の一部も完了させた。
耐震補強工事と並行して共用スペースの刷新。 フロントとロビーは、木のぬくもりを感じさせる温かみのある意匠と開放的な大きな窓ガラスにより、眼前に広がる太平洋を間近に眺めながらゆっくりとくつろいでもらえる空間へと改装した。
 2階から7階に86室あった和室客室のうち、6階から7階30室中の29室を「露天風呂付き客室」(和室・和洋室)へと改装、プレミアムフロアとした。プレミアムフロアの客室に新設された露天風呂は、遮るものがなにもないまま海を一望できる贅沢な造り。和モダンな雰囲気を取り入れ、伝統ある日本旅館ならではのお布団を敷くタイプの和室のほか、畳の居室にイス・テーブルを備え、ベッドを設置した和洋室など、広さや設えが異なる7タイプの客室へと変更させた。
 2月上旬には、約400畳の大宴会場、8階スカイホールの改装を含む第二期リニューアルオープン、3月下旬にはプレミアムフロアの7階客室部分の、第三期リニューアルオープンを予定している。




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