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森ビル 東京・大規模オフィス動向調査 17年からの5年間では過去平均並み
2017.05.01 14:24
森ビル(東京都港区)は25日「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2017」を発表。東京23区内で1986年以降に竣工した事務所延床面積1万㎡以上のオフィスビル(大規模オフィスビル)を対象に、需給動向に関する調査を継続して行っている。
東京23区大規模オフィスビルの供給量は今後5年間(2017~2021年)の平均が103万㎡/年となり、過去平均並みとなる見込み。2017年の供給量73万㎡は前年に続いて2年連続で減少し、低水準となるが、2018年(140万㎡)と2020年(163万㎡)は高水準となる見込み。2018~2020年の平均供給量に変わりはないものの、昨年の発表内容に比べて2019年が減少し、2020年が積み上がったことで、メリハリの利いた格好となった。主な変動要因は、この1年で表面化した計画と竣工時期が後ずれした計画の2点であり、特に後者の影響が大きかった。
供給量を年代ごとに区分し「事務所延床面積が1万㎡以上3万㎡未満の物件」と「事務所延床面積が3万㎡以上の物件」の割合を集計した結果、今後5年間における「3万㎡以上」の供給割合は85%と過去5年間に引き続き8割を超える見込みとなった。また、エリア別でみると都心3区(千代田区、中央区、港区)の大規模オフィスビル供給量は今後5年間の平均が70万㎡/年となり、過去10年間の平均64万㎡/年を上回る見通し。特に2018年(105万㎡)と2020年(117万㎡)は直近の大量供給であった2012年(97万㎡)を上回る。また、今後5年間の都心3区への供給割合は68%であり、過去5年間に引き続き、約7割が都心3区への供給となる。さらに大量供給が続く2018~2020年に限れば23区全体の3年間の総供給量(400万㎡)のうち、丸の内・大手町、芝浦・海岸・浜松町、新橋・虎ノ門、日本橋・八重洲、渋谷の上位5エリア(275万㎡)で69%を占める。
一方、2003年より継続実施している「東京23区のオフィスニーズに関する調査」(2016年10月に実施した東京23区に本社が立地する資本金上位1万社を対象としたアンケート調査)では、新規賃借予定のある企業に対して面積の拡大・縮小予定を質問したところ「拡大予定」の企業が前年に比べ増加(59%↓64%)。2012年以降、面積拡大予定の割合は一貫して増加傾向にあり、潜在的オフィス需要は高まっていることがうかがえる。また、新規賃借予定のある企業に新規賃借する「理由」を尋ねたところ4年連続で「業容・人員拡大」が1位となった。続いて「1フロア面積が大きなビルに移りたい」が2ランクアップし2007年以来9年ぶりの2位に。「業容・人員拡大」という前向きな移転動機が上位であることに変わりはないが、賃料上昇局面が続く市況で「1フロア面積が大きなビル」に移ることでレイアウト効率を高め、コストを大きく増加させることなく、人員増への対応やオフィス環境を向上させたいとの意図が高まっていると推測できる。