不動産トピックス
今週の一冊
2025.01.20 10:51
築古不動産オーナーの悩みに答える本
~築古不動産に関わる諸問題を専門家がわかりやすく解説~
著者:不動産ビジネス専門家協会
出版:文彩堂出版
発行:2024年9月18日
価格:2200円(税込)
不動産ビジネス専門家協会(東京都中央区)は、不動産のプロフェッショナルである事業者と、士業等の各種専門家を会員に擁し、国内の個人・法人の不動産プレーヤー向けのセミナー開催などの活動を通じて、不動産ビジネスの活性化および健全な発展に貢献することを目的とする組織である。弁護士や税理士、司法書士、宅地建物取引士など、60名を超える専門家が在籍しており、月例の勉強会や外部の講演・執筆活動などを精力的に行っている。
本書は同協会に在籍している登録専門家が、築年数が経過した不動産にとっての大きな課題である「老朽化した建物の建替え」、「競争力低下による賃料の下落」、以上の2点を中心としたテーマで論じている。築古不動産の所有者は今後の事業展望に関して、建替えあるいは存続の二択を迫られることになる。建替えに関する章では、検討段階から準備すべきこと、立退き交渉について分かりやすく解説。特に、立退き交渉を行うにあたっては貸主が借主に対して契約更新の拒絶や解約申し入れを行うための正当事由が必要となる。正当事由は、建物の使用を必要とする事情や建物の現況などの諸要素を考慮して判断される。この正当事由をどの程度満たすのか、立退料の想定額もあわせてシミュレーションしながら合理的な建替えを計画することが望ましい。
一方、建物を長く存続させることを企図する場合においても、最終的な建替え時期を念頭に置きながらリフォームやバリューアップ工事を実施することが求められる。その上で、賃借人との賃料の増額・減額交渉に臨む際の準備を紹介しつつ、継続賃料の考え方と契約更新時に起こりやすいトラブルと過去の判例なども紹介している。本書は項目ごとに異なる専門家が得意領域のノウハウや知見を生かして執筆しており、築古不動産のオーナーであれば誰しも悩むであろう問題について的確なアドバイスを記している点が特徴となっている。