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新帝国劇場の概要発表 設計には建築家の小堀哲夫氏
2025.01.20 12:04
東宝(東京都千代田区)は16日、「帝国劇場」のロビーで記者会見を開き、新たな「帝国劇場」の設計者に建築家で法政大学教授の小堀哲夫氏を選定したと発表した。
「帝国劇場」は東京都千代田区丸の内に立地。1911年に日本初の本格的西洋式劇場として開場し、1966年竣工の現劇場は2代目。59年間にわたって使用されてきたが建替えのため2月末で休館し、新たな劇場建設のための準備に入る。
3代目となる新劇場のデザインコンセプトは「THE VEIL(ベール)」。目の前に広がる皇居の自然と一体となった外観とし、ロビーやホワイエには自然光を採り入れるなど周辺環境を生かした設計とする。また、舞台の正面を現劇場から90度回転させて配置し、エントランスと直線で結ぶことで格式の高さを表現。トイレの数や位置を適正化し、カフェの増設や地下からの動線も整備し、観劇客の使い勝手や混雑緩和にも配慮した構造とする。
客席は建物1階から段差なくアプローチでき、バリアフリーにも配慮。客席数は現劇場(1897席)と同程度とするが、どの座席からでも見やすい配置とする。一方で現劇場の名物でもあった大規模な廻り舞台やセリなどは設置せず、舞台をユニット化することで様々な演出に対応する計画とした。
記者会見に登壇した東宝の池田篤郎常務は「『帝国劇場』は日本の劇場のフラッグシップであり、世界的にも認知されています。これにふさわしい劇場とするべく最新技術とともにオーセンティックな要素も採り入れ、お客様、俳優、スタッフ、そして丸の内の人々にとって『ここちよい帝劇』を目指します」と話し、小堀氏は「設計にあたって『帝国劇場』の歴史を紐解いてみると、ここはいつの時代も夢の結晶であったことに気づきました。3代目は、未来を見据えた日本らしさやオリジナリティを発信していく場になれば」と意気込みを語った。
新劇場が入るビルの開発は東宝のほか、現帝国劇場と一体となった「国際ビル」を所有する三菱地所(東京都千代田区)と、同ビルに入る出光美術館(東京都千代田区)との共同事業となる。新しいビルは敷地面積約9900㎡、延床面積約17万6000㎡、地上29階地下4階で、新劇場は地下2階から地上4階部分に入る。外観は百尺ラインを継承した低層部の上に上層部分が乗った形状とし、低層部には商業施設、低層部最上階には「出光美術館」が入り、上層部はオフィスとなる予定。竣工は2030年度を目指しているが、施工者などは未定となっている。