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香料を使用した漏水診断システム 雨水浸入経路を室内から辿り発見
1997.05.21 13:53
環境美健(東京都台東区・今井周二社長)では、ビルやマンションなどの漏水診断調査を行っている。
経年化した建物は、熱収縮、熱膨張などによるひび割れを始めとして、多くの不都合があるが、この中でも最も厄介なのが雨漏りだ。同社では雨水の浸入箇所、浸入経路を「香料」を使用する特異な方法でキャッチしている。
この漏水診断、システムで、漏水原因及び雨水浸入経路を探査し、補修対策を立案しているため、無駄に防水工事を全般に渡って行わなくても、必要な部分だけの補修対策工事だけで漏水がシャットアウトできる。
漏水診断はそれに先立ち、まず漏水箇所のある室内と、雨水浸入口と考えられる屋外の数カ所の外気臭を測定することから始まる。そして、香料センサーである漏水探知機を雨水の浸入口と見られるラックに設置する。診断源の「香料」を室内にセットし、診断源送給用ホースを室内の浸水箇所に密閉装着する。診断源である「香料」を加圧空気で圧送することで、室内の漏水箇所を経て、雨水浸入経路を逆に辿り、やがて雨水滲入箇所から空中へ放出されることになる。この空中に放出された臭気を探査し、検知器で検出することで、浸入口が特定できる。
診断調査は漏水1ヶ所あたり45万円から。数が多くなれば単価が下がる。診断後は詳細に渡った報告書も提出される。
同社ではこの方法により、都営住宅やマンションなど数多くの物件の補修工事を行なってきたが、中には竣工後1年も経過せずに漏水問題が発生した建物もあるという。