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東京都下水道局 4月21日より一般公募を開始 下水道施設の屋上を事務所ビル用地に

1997.04.21 11:01

 東京都下水道局では、都心にある下水道施設の上部空間を、事務所ビル用地として賃貸するユニークな新事業を開始した。地方公共団体や民間企業等を対象に4月21日からその募集を開始する。現在、窮乏している東京都の財政の起死回生の一手となるか注目される。
 今回、募集の対象となる施設は、JR水道橋駅に程近い「後楽ポンプ所」(文京区後楽1丁目)。敷地面積6611.58平米に建つ同施設は地上2階、地下5階建てで、延べ床面積は約1万4200平米。
 利用者はこの屋上部分に継ぎ足す形でオフィスビルを建築することになる。東京都下水道局では「地上18階程度(高さ約75メートル)、延床面積約2万4000平米規模のものを想定している」と言う。
 区分所有形式で建物を所有することとなるため、建築費が利用者が全額負担し、下水道局は土地を貸し付け、その賃貸料と権利金を徴収するシステムだ。この土地の貸し付けは地方自治法第238条の4第2項、及び地方公営企業法施行令第26条の5に基づいて行われる。賃貸借契約期間は30年(更新可)。
 利用者決定に至る主なスケジュールは、4月21日より公募を開始し、5月12日から2日間、登録を受け付ける。そしてまず利用計画審査を実施、その通過者のみを対象に権利金を入札させるという「2段階方式」で7月上旬には正式に決定する予定だ。
 後楽ポンプ所は、昭和55年着工し、平成6年に竣工した施設。
 このような下水道施設は地下部分がメインとなるため、都では建設当初から上部を合築で有効活用する構想を約20年前から持っていた。そのため、建物の基礎部分は合築に耐えうる強度に設定していたという。しかし、バブルによる土地の高騰によりその計画は頓挫、地価が下落したこのほど、ようやく実現の運びとなったもの。
 下水道局の事務所やポンプ所と合築で建物を建てた例は他にもあるものの、民間企業等を公募するのは「全国でも初めて」(東京都下水道局)だという。




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