不動産トピックス
快刀乱麻
1997.12.21 14:00
▼今年はまさに企業倒産の年だった。各社が崩壊していく様を我々マスコミの目から見ていて、つくづく感じるのが広報体制のマズさである▼その典型例が山一証券。一連の証券不祥事から簿外債務の存在発覚を経てムーディーズの格下げまで、対外広報活動という面で実効的な手が全く打てなかった。社長の不認識とともにこの広報面の甘さがなければ、格下げをまぬがれたかも知れないし、仮に格下げになっても自主廃業という事態には至らずに済んだ可能性もある。最後の最後になって社長が世間の面前で号泣してみせたところで後の祭り。社員が一層情けなくなるだけだ▼倒産例ではないが広報活動のマズさという点で連想するのは、社員の過労死で遺族から使用者責任を問われた広告代理店、電通だ。同社は過労死を巡る訴訟で一審敗訴を受けて、こともあろうに上告し二審まで争ってしまった。こんなことをしても世間には「なんて非情な会社なのだ」と映るし、社員にしても同様で、内外ともにイメージダウンこの上ない。電通といえば「鬼の十訓」など元よりモーレツぶりは知られるところだが、それにしてもこの対応には世界一の広告代理店の名が泣くというものだ▼広報部とは何のために存在するのか。単にニュースリリースや社長コメントを配信するだけが仕事ではないはず。その重要性が高まっている折だけに、真の広報活動の充実は98年の大きなテーマと言えるだろう。