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「ウーブン・シティ」第1期竣工 トヨタの「街の形をしたテストコース」

2025.03.03 11:56

 トヨタ自動車(愛知県豊田市、トヨタ)は2月22日、モビリティの都市型テストコース「Toyota Woven City(ウーブン・シティ)」のフェーズ1の竣工式を行った。施設の稼働は今秋以降の予定。
 ウーブン・シティのコンセプトは「ヒト中心の街・実証実験の街・未完成の街」。実際に人が住む街区を構築して自動運転車などの研究開発や実証を行う施設で、トヨタでは「街の形をしたテストコース」と位置づける。街区内には研究開発拠点などを整備するほか、ものづくりの起点なども設ける計画。すでにフェーズ2の造成工事も開始している。
 開発地は静岡県裾野市御宿のトヨタ自動車東日本東富士工場の跡地。現在の敷地面積は約5万㎡で、将来的には約70万8000㎡まで拡大させる予定。2020年1月7日にコンセプトを発表し、21年3月に造成工事を開始。24年10月31日にフェーズ1の工事を完了していた。
 竣工した施設の1つ「Kakezan Invention Hub」は、「一社や一人では創り出せない新しい価値やプロダクト、サービスの創出を狙う場所」。トヨタの強みと自動車産業以外の業界の強みを「掛け算」して新しいモノやコトを生み出す。Inventors(ウーブン・シティで活動する開発者や発明者)のプロダクトを展示し、Weavers(ウーブン・シティの居住者や来街者)が実際のプロダクトを見て意見を交わし、開発を加速させる。プロダクトは完成品ではなく、仮説や試作段階のものを想定しており、交流イベントなども開催予定。
 ウーブン・シティの地下には物流用の道路が整備されており、物流の実証の場所としても活用される。地上の街区には歩行者専用の道と、歩行者とパーソナルモビリティが共存する道、自動運転モビリティ専用の道が整備されており、地下に専用の道をつくることで天候などの環境に左右されずに自動搬送などの実証ができる。
 街区内には、InventorsとWeaversが集まる広場「コートヤード」も整備。Inventorsがコーヒーや軽食を提供し、Weaversがフィードバックを提供することなどを想定している。
 トヨタの豊田章男会長は竣工式で「『ウーブン・シティがあって良かった』、みんながそう思えるような、未来のモビリティが生まれてくることを期待している」と述べ、意義を強調した。




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