週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

日立ビルシステム AEを用いた損傷診断技術開発 エスカレータの軸受交換に一助

1997.01.21 13:55

 日立ビルシステム(東京都千代田区 深山俊彦社長)では、保全制度の向上を図るため、低速(100回転/分以下)で回転する昇降機軸受のAE(Acoustic Emission)を用いた損傷診断技術を開発した。
 AEとは、材料に力が加わり変形又は破壊する際に、それまで蓄えられていた歪みエネルギーを解放する結果をして発生する弾性波のこと。同技術は、この波をAEセンサで検出し、さらに周囲の機器から発生するノイズ信号を分離し、軸受の交換時期を予測する、というもの。
 転がり軸受の損傷診断は一般的に、振動加速度や騒音測定を主体とした方法で行われている。しかし、これらの方法では、軸受の周囲機器の振動や騒音によって埋もれることが多く、損傷の発見が困難であった。しかしこのAE法では、軸受の損傷によって発生するAE信号と周辺機器のノイズ信号を分離させることで、毎分15~30分回転する軸受の損傷を定量的に測定することができる。
 同社ではこの技術を日立エンジニアリングサービスと共同開発し、さらに小型で軽量なAE診断装置も開発、エスカレータに使用されている低速回転軸受の診断に適用を開始した。今後はエレベータ巻上機など順次各種軸受への応用展開などを図っていくという。




週刊不動産経営編集部  YouTube