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<トピックス>アコスが米国最大のビルメン会社と提携
1997.02.01 15:00
アコスの山田長司会長は、米国最大のビルメン業者のナショナル・サニタリィー社との販売契約をした。山田会長が輸入洗剤に目をつけたのは、家庭の主婦からの提案がきっかけだった。アコスグループでは、昭和60年から年収2000万円以上の高所得者世帯を対象とした家事代行事業をスタートさせている。家事労働のベテランである40歳代・50歳代の主婦を組織化し、週一度巡回清掃させてきた。
「米国駐在経験のある主婦から、いつも使用している洗剤を使って清掃をしてくれといって手渡されたのが最初でした」
そこで山田会長は購入したばかりのインターネットを使って、洗剤売価を調べると国産品と同レベルの洗剤が六割以上安く売られている。そこで機械と洗剤を試験輸入し、自社管理ビル400棟でテストを開始した。
それに米国と日本では気候や建物構造が異なっており、洗剤やワックスは使いにくく、機械もすぐに故障するというのが、ビルメン業界の定説であったからだ。だが国産品と比較して硬質と言われていたワックスは、実際に使用してみて何の問題も発生しなかった。洗剤も同様で、洗浄能力は高く希釈しても汚れが落ちた。問題は作業の効率を高める機械であった。
「定格電圧やプラグも違うので、大幅な改造が必要だと思っていたのですが、試しにそのまま使用してみたら動かすことができた」(山田会長)。また、プロパンガス発生装置を内蔵し、ワックス掛けをしながら瞬時に乾燥できるクラーク社の最新鋭機械は、国産リンネイの半価で購入することができたことも、大きなメリットであった。これで機械類も米国製に切り換える自信を持った。
そして、いよいよナショナル・サニタリィー社と契約を結び、第一便を十二月十五日着と決めた。山田会長は帰国後直ちに、次の手を打った。下請けの業者を中心に共同購入を呼び掛けたのだ。新たに倉庫を借りたのでは余分なコストがかかってしまう。そこで共同購入による必要を考えたのだ。アコスグループが輸入代行の役割を果たし同業者を募り、代金の一割の手数料で配送まで担当すればコストを押さえることが可能。「一〇〇〇社ぐらいが合同で仕入を行なえば月一回以上の往復便を出すことができる。そうすれば在庫を抱える不安も小さくなるはず」と語る山田会長は、このシステムを新しい流通経路の確立として考えている。