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入居保証金融資制度を開始 ベンチャー企業向けに大和銀行と提携
1997.01.01 15:22
共同施設ではこの12月より、ベンチャー企業向けに自社ビルに対する入居保証金融資制度を開始した。同社は都心部を中心に、約90棟の貸しビルを所有する有力オーナー。同社の空室対策への新たな取組みをレポートする。
共同施設が業務開始 将来増床ニーズ期待
東京都内に約90棟のオフィスビルを所有、管理している共同施設(東京都中央区飛山隆夫社長)では、12月よりベンチャー企業向け入居保証金支援システム「一国一城」を開始した。
これは、現在は経営資金調達が厳しいが、将来性の見込まれる企業を対象に、入居保証金を提携金融機関から低利で融資が受けられる、というシステム。
融資には当面、大和銀行が行い、共同施設が債務保証する。また、同社は入居した企業の将来的拡大、増床ニーズにも期待している。
ベンチャー企業が同社のビルを借りる場合、まず同社が面談、VEC、新規事業法の認定を受けているか等の一次審査を行い、その後二次審査として大和銀行が財務内容を中心に☒、これに合格した企業が、1000万円までの保証金融資を受けることができる。
金利は新長期プラインレート(変動金利現行2.125%)で対応し、融資期間は1年以内の措置を含め5年以内。このため同社との賃貸借契約は5年に設定している。
都心部にオフィスを持ち多いベンチャー企業にとっては、ネックとなるのが多額の保証金だ。しかし同社のビルへ入居した場合、手持ち資金から支出せずに済むため、事業資金として活用することが可能だ。
全面の支援体制で各種サービス導入
共同施設では、このシステム開始に際し、千代田、中央、港区など都心の1フロア50坪以下を中心とした自社ビル17棟の合計約2600坪のフロアを用意。賃料も共益費込みで坪単価平均1万円というリーズナブルな価格設定にした。
同社の賃貸オフィスの保証金は、平均して10~12ヶ月。つまり、50坪の事務所をこのシステムで賃貸する場合、最大約500~600万円の融資が受けられる計算だ。
更に同社では、契約後も金融機関系列のベンチャーキャピタル紹介サービスや日経BP社との協力による異業種交流会やセミナー開催等の情報提供など全面的にバックアップ体制をとっていく方針。
「今後は、金融機関の提携先を増やすことで、より多くのベンチャー企業に利用していただきたいと考えています。すでに約100件の案件をいただいており、出足は好調です」(竹田俊郎営業部長)。