不動産トピックス
【4/28号・今週の最終面特集】進化を続ける街・渋谷 フレキシブルな働き方の拠点が増加中

2025.04.21 10:54
シーンに合わせて選択できる働く場 吹き抜け空間で自然の光と風を感じられる設計
駅周辺の繁華街に近接も周囲は緑に囲まれた環境
新しい文化の創造・発信地である渋谷は、大型再開発の進行によって都市機能もダイナミックに変化している。この街でワークスタイルの多様化に対応した新施設がオープン。早くも注目が集まっている。
1名から最大19名までバリエーション豊富な貸室
今月28日、東京・渋谷でフレキシブルオフィスと店舗で構成される地上10階建ての新築ビル「SHIBUYA WayP(シブヤ ウェイプ)」が開業した。
建物は「渋谷」駅から代々木公園へ通じる渋谷公園通り付近の神南1丁目に立地し、延床面積1492・64㎡。建築主は東急(東京都渋谷区)で、ヒトカラメディア(東京都世田谷区)が施設コンセプトの策定やテナントリーシング、施設運営などで携わっている。
施設のコンセプトは「好きに、働く。」。建物名称の「WayP」は、このコンセプトを英訳した「Work as you Please」の頭文字を組み合わせたもので、固定化された空間で働く従来のワークスタイルとは異なり、働く人がその日の気分や業務内容に合わせて働き方を選択できる空間の提供に努めている。建物の外観や共用部分の内装は、ファッションやセレクトショップなど感度の高い店舗が集積する神南エリアの文化やコミュニティ、環境を「編む」をコンセプトとしており、素材や形状の異なる部材を組み合わせ、帯が編み込まれるデザインを表現している。
施設構成は、1階が飲食店舗、2~10階がフレキシブルオフィスを中心としたテナント企業向けのフロアとなっている。テナントの専有区画は全33区画で、最大で19名収容可能な区画から、1名用・2名用の小規模区画まで、サイズのバリエーションが豊富である。すべての区画でデスク・チェアがセットアップされた状態であり、入居企業は移転後すぐに業務を開始することが可能だ。
また4階のラウンジスペースから上階は建物中央部に吹き抜け空間が設けられているため、外壁ガラス面のない区画でも吹き抜けを通じて十分な採光を確保している点が特徴。また吹き抜け空間が風の通り道ともなり、共用廊下は自然光や風を感じられる開放的な空間を実現した。
入居企業が利用できるミーティングルームは3階に6室、オンライン会議で活用できるテレカンブースは2・3・7階に合計18室用意した。ミーティングルームは可動式のパーティションを用いて利用人数に応じて部屋のサイズを柔軟に調整することが可能となっている。
フレキシブルオフィスでは入居企業の専有面積を最小限にして賃料負担を軽減する一方で、ミーティングルーム等の設備は別途従量課金で利用した分だけ負担するのが一般的である。「SHIBUYA WayP」では、これらの設備の利用料を月額賃料に含んでおり、入居企業は追加料金なしでミーティングルームやテレカンブースを利用することができる。ヒトカラメディアのリーシング担当者によれば、専有区画は眺望の良いフロアのほかミーティングルームや後述のラウンジスペースといった共用スペースに近いフロアにも入居を検討する企業からの引き合いが強まっているという。
4階は入居企業向けの専用ラウンジ。フロア全体を貸切利用してパーティやセミナー等に活用できるほか、カーテンで仕切ることで最大3分割まで可能となっている。ラウンジスペースは先述した吹き抜け空間の最下部に位置し、自然の光や風をふんだんに取り込むだけでなく、建物南側で隣接する区立北谷公園の緑を間近に臨む開放的な空間を実現している。この北谷公園は区内の公園で初めてPark-PFI制度を活用して2021年にリニューアルオープンした公園で、運営や維持管理は東急を代表企業とする企業コンソーシアムが担当している。公園内は一休みできるベンチが多く配置されており、周辺のオフィスワーカーがパソコンを片手に気分転換で仕事をする様子や、ランチタイムにはキッチンカーが出店し地域に賑わいをもたらしている。
屋上スペースも入居企業向けに開放されており、利用シーンに合わせてタイプの異なる什器を複数配置。建物から見て南方向には「渋谷」駅周辺の高層ビルを眺めることができ、北方向は代々木公園の広大な緑地空間が広がる。1階の店舗区画には、代々木や横浜で店舗を展開するサンドイッチカフェの「FARO」が出店。今後は入居企業向けのお得なサービスも検討するとのことだ。多様な働き方に合わせた空間が求められるようになり、働く人々はオフィスを拠点としつつも自宅やサードプレイスも組み合わせたワークスタイルを確立している。「SHIBUYA WayP」では多様なビジネスシーンに合わせた空間づくりによって、「働く」・「遊ぶ」・「暮らす」の境界を超えた新しいワークプレイスを構築。次世代のオフィスビルのあり方を体現した。
<物件概要>
●名称:SHIBUYA WayP
●所在地:東京都渋谷区神南1-6-5
●事業主:東急
●竣工:2025年4月
●企画補助・運営:ヒトカラメディア
●共用設備:6名用会議室4室、4名用会議室2室、テレカンブース18室、ラウンジ、屋上
TKP 渋谷などで「fabbit」オープン
ティーケーピー(東京都新宿区)は、本年2月28日付でシステムソフト(東京都千代田区)およびAPAMAN(東京都千代田区)よりシェアオフィス等を展開する「fabbit」事業を承継した。これに伴い、ティーケーピーでは「TKP fabbit渋谷」、「TKP fabbit高松」、「fabbit梅田」をそれぞれオープンし、多様な働き方に対応したフレキシブルなワークスペースの展開を全国で加速させる。
「TKP fabbit渋谷」は、「TKPガーデンシティ渋谷」と「fabbit渋谷」が入った施設。「TKPガーデンシティ渋谷」と「fabbit渋谷」は5月7日に「TKP fabbit渋谷」として再オープン。コワーキングスペース・レンタルオフィス計23室、このほかホールやカンファレンスルーム、ミーティングルームで構成され、日常的なオフィス利用に加えて数十名から数百名規模のイベントまで対応する。