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沖電気工業 汎用性の高い920MHz帯マルチホップ無線
2018.09.03 18:43
無線というと、無線LAN(Wi-Fi)を使われるケースが多い。しかし長距離では通信できない場合や、電波干渉が多く安定的に通信ができないという問題があった。これらの課題を解決するために、2012年から国際的に協調できる、920MHz帯が使用できるようになった。沖電気工業(東京都港区)は2013年から「SmartHop」というブランド名で920MHz帯の無線ユニットと無線モジュールを製品化している。
親機が子機に対して通信を行う場合、長距離あるいは障害物があると、通信不可になることも少なくない。しかし「SmartHop」の無線マルチホップ技術であれば、親機から長距離あるいは障害物があっても、自動的に最適な経路で選び、確実な中継が可能になった。これは、複数の子機が中継機能を持ち、迂回して通信を行えるからである。
たとえば大型ビルであれば、地下に電気室がある場合ことも多い。各階の電気量を計測するために通信を行おうとしても、3Gの電波が届かないケースがある。しかし「SmartHop」の無線マルチホップ技術を使えば中継させながら、電波を到達させることができる。
「『SmartHop』をビル内で使用する場合、親機から上下2フロア程度は電波が到達可能です。たとえば3階に親機を置き、1階から7階の奇数階に中継機を置けば、1階から7階の全フロアで通信が行えます。フロア跨ぎの配線工事が不要になるため、導入コストを大幅に削減できます」と情報通信事業本部の島田貴光氏。
それでは30階以上のフロアを有した、大型ビルの場合はどのように電波を中継していけばいいのだろうか。
「大型ビルの場合は、無線ネットワークを分割して2フロアずつ情報をまとめられます。データロガーは無線の情報を蓄える機能がありますので、それを使うといいでしょう」と語る、沖ウィンテック(東京都品川区)技術統括本部の岸良吉晃氏。
同社の無線ユニットは、最大100台の子機を収容可能。また最大16段のホップ(中継)が可能であるため、広範囲のエリアがカバーできるという。
中でも同社「SmartHop」の最大の魅力は「SmartHop」無線モジュールを搭載した機器やセンサーが、大手電機メーカー各社から発売されていることだ。パナソニック、日本電気、横河電機、エム・システム技研など、枚挙にいとまがない。汎用性の高い「SmartHop」を使えば、IoTソリューションで必要となる配線レス・マルチベンダー・クラウド対応を容易に構築できる。
BEMSシステム(ビル・エネルギー管理システム)はもちろん、ビルの入退室管理やトイレ管理システムなどに、同社のSmartHopを使ってみてはいかがだろうか。