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<業界新潮流>オアシス 高級賃貸仲介専門の新会社立ち上げ
2017.01.23 12:22
質の高いサービスで差別化図る
賃貸物件の仲介ブランド「エイブル」や賃貸物件ポータルサイト「CHINTAI」を展開するエイブル&パートナーズ(東京都港区)は、高級賃貸物件を専門に取り扱うグループ新会社を設立。今月より本格的に事業活動を開始した。
新会社の社名は「株式会社オアシス」。港区や千代田区・中央区・渋谷区といった高級住宅エリアの物件情報を提供し、主に富裕層の顧客囲い込みを図る。新会社の社長を務めるのは、エイブル&パートナーズの筒井敏孝最高顧問。新会社設立の目的について、筒井社長は次のように述べる。
「『エイブル』や『CHINTAI』は全国ネットワークでお部屋探しをサポートする賃貸仲介ブランドとして一般にも広く認知されており、いずれも学生や働き始めたばかりの社会人らをターゲットにした物件情報の提供を中心に展開してきました。一方、少子高齢化が進み住宅供給の増加の見通しが立てにくい現状を考慮すると、新たなビジネス領域の模索は喫緊の課題でした。創業から49年目を迎え、エイブルは好不況の影響を受けにくい賃貸仲介を専業で展開してきました。オアシスは、これまでカバーしきれなかった分野を業容とすることで、グループ全体の更なる成長を目的としています」
エイブルの管理物件は、全国で約25万件。昨年1年間で約16万件の賃貸仲介の成約実績を持つ。グループの中長期経営計画では年間の仲介成約件数を20万件まで伸ばすことを目標としており、新たな成長戦略として、高級賃貸物件を専門に扱う新会社を設立するに至ったのだ。
都内の高級賃貸市場は、ケン・コーポレーションをはじめとする不動産会社が仲介サービスの業界をけん引している。筒井新社長は、質の高いサービス提供に努めることで固定客の獲得に意欲を燃やす。
「当面は自社管理物件ではなく、他社の管理物件の情報をご紹介していくことになります。現在のところ、物件の掲載件数は約500件です。賃料が高額な物件だけに、情報を提供する立場の私たちも、それに見合う丁寧でお客様目線のサービス提供が不可欠になると考えています。そのため、スタッフには電話応対から服装、言葉遣いなど、日頃のささいなことから気を付けるよう指導しています。また、経営者としてはスタッフに対して働きやすい環境整備と明確な評価・報酬を心掛け、やりがいを持って仕事に取り組んでもらいたいと思います。質の高いサービス提供を徹底することができれば、自ずと当社をご評価して頂けるお客様が増えていくものと期待しています」
不動産仲介の世界では、情報量もさることながらサービスレベルの向上や付加価値の提供による差別化戦略が求められている。筒井新社長によれば、店舗内に顧客が気軽に立ち寄れるサロンスペースを設置し賃貸物件の仲介サービスに留まらない価値の提供も将来的に検討しているとのこと。オアシスでは物件を保有するオーナーや、自身のライフスタイルに合う部屋を探すエンドユーザーからの様々な声を集め、高級賃貸仲介の「オアシス」を目指す。