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<新ワークスタイル>ネコと働く!! オーリーズ 「ネコを飼える」ビルは7棟中1棟
2016.11.21 12:48
賃料1.2倍も社内の雰囲気づくりに貢献
「運用型広告」のコンサルティングを手掛けるオーリーズ(東京都千代田区)はオフィス内でネコを飼育しているテナント企業である。東京・神田岩本町に位置する「井門岩本町第2ビル」7階に今年8月末に移転する以前からネコの飼育を開始。新オフィスへの移転を機にタイルカーペットをフローリング、壁紙を木目調に変更した他、ネコ専用の「飼育スペース」まで確保したという。
ネコの名前は「まる美」。メス1歳。主に彼女の世話役を担当するマーケティングデザイナーの藏谷知世氏によると「従業員の働きやすさ・モチベーション向上のために様々な施策を検討する中、当社の副社長から『ネコを飼いたい』との提案があったのがきっかけ」だという。コンサルタントという職業柄、広告の運用状況を分析しだすとPC画面と「にらめっこ」状態になり、社内が沈黙に包まれ、時にはピリピリした空気になることもある。しかし、彼女がオフィス内を気ままに闊歩する姿を見ているだけで心がなごみ、会話の糸口にもなる。そして社内の緊迫した空気が和らぐのだ。半面、飼い始めて判明したのが「社長と従業員がネコアレルギーだった」(藏谷氏)こと。しかし、常にネコと働く環境に身を置くことでネコアレルギーを克服できたそうだ。
今や彼女は社内の「看板娘」。オフィス内には彼女専用の飼育部屋があり、既存の柱を利用してネコ用の階段やキャットウォークを設置。透明パーティションで区切られており、執務室や会議室から飼育部屋の様子が把握でき「打ち合わせに来られたクライアントからも好評でコミュニケーションにも役立つ」(藏谷氏)という。
「ネコを飼育する」という条件下で物件探しは、オフィス移転コンサルティング・施工会社であるフロンティアコンサルティング(東京都中央区)が担当。オーナーへの交渉も引き受けてくれたという。藏谷氏によると「神田岩本町エリアでオフィスを探していたが、条件に合う物件を7棟内覧した。好感触の物件も複数存在したが『ネコを飼いたい』と希望を述べた途端、入居の許可は下りなかった。現在のビルが唯一前向きに検討してくれた」と経緯を説明する。入居時には飼育するネコの毛色や体長、去勢・予防接種の有無などを管理会社に伝え、専有部内でのみの飼育を条件に契約に至ったという。前述した通り、新しい移転先を探す際、最終的に同ビル以外に「ネコの飼育」を許可したオーナーはいなかった。そのため、現在のオフィスの広さは想定内だが「月額賃料が1・2倍になった」(藏谷氏)という。これについては経営陣で検討を重ねたが、最終的に「ネコを飼う」ことを選択したという。
「無人警備システムが反応しないように飼育スペースとキャットウォークの設えを工夫したが、ネコを飼うことにメリットはそれ以上に大きい。今後も移転する際には『ネコの飼育』可能なオフィスを探したい」(藏谷氏)