不動産トピックス
第2回ビル経営アワードノミネート物件紹介
2016.10.03 12:19
ノミネートNo.29
スリーエフ不動産
日本橋NYビル
「日本橋NYビル」は地下鉄「人形町」駅から徒歩6分、「三越前」駅から徒歩7分の場所に立地している。竣工は昭和60年で、奇しくも現オーナーであるスリーエフ不動産(東京都港区)が貸ビル業を始めた年に誕生したことになる。同社はこの「日本橋NYビル」の他にも「スリーエフ南青山ビル」や「クレヨンハウスビル」などを所有しているが、これらはいずれも竣工から約30年を経過。「大規模な改修を行うべき時期が来た」と判断し、3棟それぞれで改修を行うことを決断した。
「日本橋NYビル」においては、エレベーターや空調設備を更新したほか、照明のLED化、また通りに面した場所に設置してある看板の交換などを実施。エレベーターは最新のものに交換したことで効率的な駆動による消費電力の節約、ムダの無い加減速による走行時間の短縮等の効果が得られている。また、エレベーターの扉にはキズがつきづらく目立たないダイノックフィルムを使用し、各フロアのテナントの扉にも同じものを使うことで統一感があり見目良い印象に生まれ変わった。
照明のLED化は共用部だけでは無く、入居テナントの協力のもと専有部でも実施。ビル全体で約30%の電力使用量減という結果を得ている。
今回の「日本橋NYビル」改修には東京都の補助金制度「東京都中小テナントビル省エネ改修効果見える化プロジェクト」を活用しており、改修費用の負担をこの補助金によって約3分の1軽減している。
同社常務取締役の中澤慶人氏は、「これまでも時代やテナントの変化に合わせて手を加えてきましたが、30年という節目を迎えて効率化のために大規模な改修を行いました。当社はテナントのみならずテナントの来客にまで気に入ってもらえるビルにしたいという思いのもとビル経営を行っています。今後も顧客満足度100%をモットーにビル経営に臨んでいきます」と語った。
○改修ポイント:電力使用量約30%削減した改修
ノミネートNo.30
フォンス
第2伊吹ハウス
所在地:東京都港区南麻布5-12-14
規模:地上3階地下2階
延床面積:約555㎡
竣工:平成2年
所有:フォンス
東京メトロ日比谷線「広尾」駅から徒歩3分、住宅街に立地する「第2伊吹ハウス」は平成2年に竣工したオフィス向け賃貸ビル。現在、全フロアのうち4フロアを音楽制作会社、1フロアを映像制作会社が利用する。
今年春に「第2伊吹ハウス」は屋上の防水工事を実施し、塗料によるコーティングや漏水対策を施した。「第2伊吹ハウス」を所有するフォンス(東京都港区)営業部長の横山隆治氏は、「定期的にビルの設備機器の更新やメンテナンス、外装・内装の補修工事などを実施しています。そのメンテナンス業務で屋上の床面に小さなひびがあることを発見し、防水工事を行うきっかけとなりました」と語る。
工事は施工業者に発見したひび以外の漏水箇所を探してもらう事から実施。ひびは数カ所発見されたものの漏水被害は少なく、浸透して下のフロアに雨漏りとなっているケースは見られなかった。その後、直ぐにひびの箇所を修理し、更にその上から塗料によるコーティング剤を塗布した。コーティング剤は防水・撥水性があり、また長期にわたり効果が持続する。施工期間は約2週間で、多少天気の悪い時は続いたが工事内容はスムーズに進んだ。
横山氏は「今回の屋上の防水工事は、早期にひびの発生が確認できたことが重要と思います。業者も『被害がそこまで深刻ではなかった』と語っていることから、万が一、さらに深刻な被害でしたら高額な施工費用が発生していた可能性があります。工事は補助金を使用し、半額で実施できた点も当社としては助かりました」と語る。
昨年は、隣接する賃貸住宅の「伊吹ハウス」で雨漏りが発生し、テナントから改善が求められた。今回はテナントから雨漏りが発生したという報告は来ていない。横山氏は「そのような問題が発生する前に把握できて良かったと思います。これも定期的にメンテナンスを実施していた結果からです」と話す。
○改修ポイント:屋上の防水工事における塗料によるコーティング剤の塗布と漏水対策の実施。