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戸田建設 「(仮称)JECビル」建設すすむ 耐震性とデザイン性を両立
2019.05.20 11:33
戸田建設(東京都中央区)では、建設中のビルに戸田式免震工法(TO-HIS工法)を始めとする各種の構造技術を採用。複雑な平面形状という制約下において、高い耐震性能とデザイン性を両立させている。
建設中のビルは、高宮学園(東京都渋谷区)の管理部機能を有する「(仮称)JECビル」。設計・監理・施工を戸田建設が担当し、工事完了は8月を予定している。
同ビルは建築面積890㎡、延床面積6181㎡、鉄骨造、地上7階地下1階のオフィスビル。JR「代々木」駅前に立地し、街のブランド力の向上など周辺環境にも寄与する計画としている。
建物は三角形の敷地形状に対して建築面積を最大化し、その中で階数を低くすることが求められた。そのため建物の平面形状は不整形なホームベース形状となり、柱や梁への負担が均一ではなくバランスの良くない構造という課題があった。
戸田式免震工法は、高摩擦タイプの弾性すべり支承と天然ゴム系積層ゴム、オイルダンパーを組み合わせた免震工法。地震時の建物の長周期化が図られ、優れた免震性能を発揮することで、地震発生時に建物へ加わる力を耐震構造の半分以下に低減し、高い耐震性能を実現している。さらに高強度の鋼材を活用した柱にコンクリートを充填して強度・剛性を向上させ、柱の断面をφ450mmまで絞り込んで柱の存在感を極力減らし、自由度の高い空間を実現する。
内部にはφ100間柱+粘弾性ダンパーを用いた床制振システムを活用し、事務所としての良好な機能を実現している。建物先端の三角形の跳ね出しスラブの揺れを抑え、軸力を低減する粘弾性ダンパーをφ100の極小径間柱で実現し、床の居住性を大幅に改善している。
同社は、今後も顧客の要望に最も適した性能が確保できるシステムを構築・改良し、高品質な建物を実現していきたいとしている。