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akippa 駐車場シェアリング2社提携

2018.09.25 15:05

事前予約アプリのakippa、スマホでかんたん決済のシードと事業提携
相互代理店紹介し合う
 駐車場予約アプリサービスを展開するakippa(大阪市西区)は、13日、駐車場シェアリングサービス「Smart Parking」を展開しているシード(名古屋市西区)との事業提携を発表した。競合する企業同士の提携に驚いた業界関係者も少なくないが、この2社の駐車場サービスは相互に補完できる形態であり、この提携により更にユーザーの利便性が高まることとなる。
 2009年創業のakippaは会員数90万人超、年内に100万人突破を見込み、駐車場拠点数が2万3000拠点を超え、日本で最も多くの駐車場を確保している。一方でシードは2002年創業、特許を活用したサービスでスマホのみで駐車場入出庫・精算まで完結する「Smart Parking」を愛知県中心に約1800カ所で展開している。ユーザーは事前予約アプリのakippaと現地で手軽に利用できるSmart Parkingのそれぞれの強味のサービスを相互に利用できることとなる。シードのSmart Parkingで運営している駐車場をakippaにも掲載し、また同社のIoTデバイスを搭載したカラーコーン「ビーコーン」をakippaにOEM提供。akippaユーザーはakippaアプリ内でOEM版のビーコーン設置駐車場を探し簡単なチェックイン/チェックアウト機能で利用できる。事前予約で確実に駐車場を抑えたいときにはakippaのサービスが便利であるが、一方で予約するのが面倒な小用のときにはシードと、「駐車場シェアリング」にきめ細かいサービスで付加価値がつく。
 また、両社ともに「駐車場オーナー」と契約を交わし、駐車場情報を自社アプリに掲載するビジネスモデルであるが、この提携では相互に代理店となり、それぞれにマッチするオーナーを紹介し合う。これは営業戦略上、非常に有益だ。駐車場オーナーの中には「コーン設置したくない」、または「コーンを置くなら契約する」と様々な希望があるが、2社それぞれの営業活動の効率化にもつながる。
大手の参入・撤退 業界全体の向上
 akippaの代表取締役社長CEO金谷元気氏は、「お互いの強みをかけ合わせていきたい。会員の利便性を更に強化できる」と期待を語る。  シードの吉川幸孝代表取締役は大手企業の参入については「脅威に感じてはいない。今は市場を作っていくことを優先と考え、駐車場シェアリングの業界認知度が上がると歓迎している」と語った。
 2019年内にシステム連携、在庫連動の実現を目指す。
 駐車場シェアリングビジネスは大手企業の参入・撤退が相次ぐ激戦ビジネスであるが、地道な営業活動から最新技術の特許まで備えるという広範囲な武器を持つ2社の提携は心強い。業界の更なる発展が期待される。




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