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2019年上半期「ナインアワーズ」2ホテルオープン 「なんば駅」と「中洲川端」駅直結ビルに入居
2019.09.02 15:47
カプセルホテル「ナインアワーズ」を展開するナインアワーズ(東京都千代田区)は2019年4月に「ナインアワーズなんば駅」、8月9日に「ナインアワーズ中洲川端駅」をオープンさせた。これにより、12店舗体制となる。今回の出店では双方ともに空港、主要ターミナル駅など要衝へ通じる路線の駅に直結したロケーションへの出店となった。
4月に開業した「ナインアワーズなんば駅」は南海電気鉄道(大阪市浪速区)が所有する「パークスタワー」3階に出店。駅直結型で展開される大型商業施設はこれまで小売店を中心に構成されてきたが、ECサイトの普及など消費動向の変化に直面。これまでも体験型店舗や公共施設など様々な業態が入居し、時代に即した利便性の高い施設へと変化の試みを行ってきた。
今回の「ナインアワーズ」の出店を主導した南海電気鉄道上席執行役員の清原康仁氏は「2007年に全館開業した『なんばパークス』は商業、オフィス、レジデンス、屋上公園等で構成された都市型複合施設。南海なんば駅に直結した立地を活かして、オフィスと商業施設が結節するロケーションに、新たに"泊まる"という機能を付加し、インバウンド旅客を始め、都心で働くワーカーに高品質なトランジットサービスを提案できる施設として期待している」と話す。同社にとってナインアワーズの出店は赤坂に続いて2例目。期待も高そうだ。
今回、両施設の空間デザインを担当したのは成瀬・猪熊建築設計事務所(東京都杉並区)。「なんば駅」では水回りと身支度のエリアを連続化。ラウンジ機能も加えることで、シャワー後睡眠に向かうまでの少しの時間や身支度から外出するまでの時間をストレスなくつなぐことを可能にした。またこれまでは全体を同じトーンでデザインすることが通常だったが、今回は場所の機能に応じて最適な色や 素材を選定。より機能に特化した空間を追求した。
「ナインアワーズ中洲川端駅」は「博多リバレインモールby TAKASHIMAYA」地下1階。九州地区初の出店となる。ここでは商業施設内ということもあり、店舗や飲食店と並ぶ「極めて特殊な立地」。躯体を生かしつつ、新設の壁などとの対比をアートとして体験できる空間設計とした。
ナインアワーズは全国に主要ネットワークとして50店舗の開業を目指している。そのために自前で賃貸借契約を結ぶだけでなく、様々なスキームを駆使する。今回の2物件に関しては、賃貸借契約をビーロット(東京都港区)が結び、同社との間でナインアワーズが運営委託の契約を結ぶ、マスターリース方式だ。両社は今年1月に業務提携を結んだ。
ビーロット執行役員の岡島伸治氏は「東京オリンピック開催やインバウンド人口増による宿泊需要の高まりを、不動産再生の一環として、どのように取り込めるか考えてきました。9h北新宿での新築PJを皮切りに、一貫した独自性と高い運営能力と魅力を感じ、お互いベンチャー企業としていろいろな取り組みを仕掛けましょう、という中で業務提携から、本件への取り組みが決定しました。都心や各都市の好立地では土地の取得も困難であるが、本モデルではそのような魅力的な都市へ出店が出来ること、また、投資開発業務は短期的な事業モデルであるが、そのノウハウを中長期安定収益につなげることが出来たと考えます」と提携の妙味を明かす。
ナインアワーズ執行役員の渡邊保之氏は今後のホテルマーケットについて「インバウンドなどの需要が緩やかに伸び続けるとともに供給過剰により飽和するマーケットが出てくる。そのようなマーケット環境において、本件のような駅直結という立地は非常に優位性が高い」ととらえる。今後の開設についても「エリアを絞りながらも積極的に展開したい」ということだ。